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産業廃棄物として処理される液晶ポリマー(LCP)の再資源化を実現!
半導体基板用材料として生産が拡大している液晶ポリマーは、製造難易度が高く、ロス品となった場合には各企業とも海外への技術情報漏洩を防ぐため、産業廃棄物として処理しています。そこで当社では、新たな機械を導入して液晶ポリマー(LCP)のマテリアルリサイクルを実現し、有効活用を促進する事業を行います。今回、その事業が経済産業省の「廃プラスチックの資源循環高度化事業」三次公募に採択されました。
◆採択事業について
今回、経済産業省の「廃プラスチックの資源循環高度化事業」三次公募に採択されたのは、新装置導入により液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer、以下「LCP」)のリサイクルを実現し、プラスチック資源循環を促進する事業です。
LCPはプラスチックの一種で、電気・電子の分野で多く使われています。需要の60%以上がコネクタですが、ほかにもパソコンや複写機など事務機器の内部構造部品、回転機器の軸受け、油圧機構のシールパッキングなど金属部品の代替えとしても使われています。
電子部品の軽薄・短小化が進んでいる今、フレキシブル配線基板も注目の用途です。スマートフォンなどに使用される電子部品は、高機能・軽量化が求められ、LCPフィルムは半導体基板用材料として生産量が拡大しており、今後も増加傾向が予想されるマテリアルです。
その一方で、LCPフィルムは製造難易度が高く、各企業とも海外への技術情報漏洩を防ぐために、ロス品となった場合などは産業廃棄物として焼却処分しているのが現状です。
そこで本事業では、LCPフィルムを有価回収し、新たに導入する「二軸押出機」を使ってペレット化することにより、LCPの再資源化を実現し資源の有効活用を促進します。
◆「廃プラスチックの資源循環高度化事業」について
この事業は、経済産業省から令和3年度補正「廃プラスチックの資源循環高度化事業費補助金」の交付を受けて一般社団法人日本有機資源協会(JORA)が実施するするもので、その目的は、民間企業等が設計・製造、販売・提供及び排出・回収・リサイクルの各段階において、プラスチック資源循環の取組を実施するために必要な機器及び設備の導入を行う事業に要する経費の一部を補助することにより、廃プラスチックの高度な資源循環の自律的取組への移行を実現することです。
「廃プラスチックの資源循環高度化事業」資料:https://plastic-circulation.env.go.jp/wp-content/themes/plastic/assets/pdf/haipla_jigyou.pdf
◆問題点と解決策
プラスチックリサイクルでは、回収してきたマテリアルを粉砕し、押出機と呼ばれる機械に通して溶融・造粒を行います。しかし、半導体基板に使われるLCPフィルムは厚みが25~100μと極薄で軽量なため、当社既存の「単軸押出機」では粉砕後の細かなフィルムが配管内に詰まってしまったり、スクリューで造粒機に送り込むことができません。
また、LCPの融点は310℃と高温ですが、半導体フィルムとして再利用するには熱による劣化をできる限り防ぐ必要があるため、機械内での熱の発生を抑えなければなりません。
「二軸押出機」を導入することで、粉砕品の移送の問題と熱発生による劣化の問題を解決することができます。
二軸押出機は、配管内に二本のスクリューが装備されているため、極薄フィルムの粉砕品を強制輸送することができ、詰まりを回避することでできます。また、スクリューの噛み合い部で強制混合をすることによって、加熱を最小限に抑え、熱による劣化を防ぐことができます。
◆LCPリサイクルのメリット
今後さらに加速するであろう電子部品の軽量短小化・高機能化により、LCPの用途はますます拡大していくことが予想され、それに伴い、LCPのマテリアルリサイクルは企業にとっても社会にとっても重要となってきます。
LCPフィルムを再資源化することで、焼却処分によって排出されていた二酸化炭素を削減することができます。
また、プラスチック製品生産に際し、石油から精製される正規原料の代替として再生プラスチック原料を使用することにより、化石原料の新規使用量を削減することにつながります。
さらに、これまで産業廃棄物として処理していた材料を当社が有価で回収することにより、廃棄処理にかかっていたコストを削減することができます。
◆(株)中部日本プラスチックとは ~代表取締役 雪下の思い~
株式会社中部日本プラスチックの企業理念は「HAPPYなエコ」です。
環境が破壊され、地球は悲鳴を上げています。
当社は事業として環境活動に取り組むことによって、ボランティアで終わることなく継続的に社会に貢献できるようにしたいと考えます。
私たちの仕事は、地球のため、お客様のため、会社のためだけでなく、最終的には私たちが快適に生活する未来につながっています。仕事は大変でも、それはすべて自分たちに還ってきます。
自分の力で未来を切り開く事ができることはなによりもハッピーだと思います。
自分でやれる能力が上がると、その分地球に貢献できます。仕事をしてお客様から感謝される事で喜びを感じられます。仕事が大変で、問題にぶつかっても、それを乗り越えることでやりがいを感じ幸福感を得られます。
当社に関わる全ての方々にとって、そんな会社でありたいと思います。
(代表取締役 雪下真希子)
当社ウェブサイト:https://www.cnp.co.jp/