東京ガス株式会社(社長:内田 高史、以下「東京ガス」)は、このたび、100%出資子会社であるアカリオ・インベストメント・ワン社(社長:奥井 智治)を通じて、大気中から二酸化炭素(CO2)を直接回収するDirect Air Capture(以下「DAC」)技術に関して、先進的技術を有する米国グローバルサーモスタット社(以下「GT社」)に、日本のエネルギー企業として初めて出資するとともに、同社との協業に向けた基本合意書を締結しました。
DACは、大気中のCO2を直接回収することから、ネガティブエミッション(*1)技術として世界的に注目されており、将来のCO2ネット・ゼロの実現に資する技術です。
GT社はe-fuel(*2)生産プロジェクトにてDAC導入を進めており、米国エネルギー省プロジェクト(*3)では、大型化に向けて取り組むなど、先進的なDAC技術を有しています。また、GT社は、効率的に大量の空気を処理することや、CO2回収エネルギーコストの低減に向けて、独自の固体吸着方式(*4)に関するDAC技術開発を10年以上にわた進めています。
東京ガスは、今後、GT社のDAC技術によるCO2回収試験を日本で初めて実施するとともに、DACの実用化を進めていきます。さらに、将来的にはDACで回収したCO2を国内外のメタネーションやCCUS(*5)等に活用するなど、新たな脱炭素エネルギービジネスを展開していきます。
- グローバルサーモスタット社 CEO ポール・ナヒのコメント
当社の目標とする世界規模での低コストDACの普及拡大において、東京ガスとのパートナーシップは重要なステップとなります。気候変動抑制に資する技術として、CO2排出量を削減し、大気中のCO2の量を安全かつ持続可能なレベルとする上で、DACは重要な役割を果たすものと考えております。東京ガスのパートナーとして、東京ガスの「CO2ネット・ゼロ」実現に協力していくことを嬉しく思っています。
- 東京ガス株式会社 専務執行役員 デジタルイノベーション本部長 木本憲太郎のコメント
GT社への出資及び協業に関する基本合意書の締結を発表できることを大変嬉しく思います。GT社のDACは、脱炭素社会への移行に必要な技術と確信しています。GT社との協業を通じて、Compass2030で掲げた「CO2ネット・ゼロ」の実現に向け、脱炭素分野でのソリューションの開発に取り組んでいきます。
目次
【GT社の概要】
社 名 | グローバルサーモスタット社 (Global Thermostat, PBC) |
代表者名 | ポール ナヒ(Paul Nahi) |
設 立 | 2022年8月(前身となる会社は2010年に設立) |
事 業 所 | アメリカ合衆国コロラド州 |
事業内容 | DAC技術の開発および展開 |
【アカリオ・インベストメント・ワン社の概要】
社 名 | アカリオ・インベストメント・ワン社 |
代表者名 | 代表取締役社長 奥井 智治 |
設 立 | 2017年12月 |
事 業 所 | アメリカ合衆国カリフォルニア州 |
出資比率 | 東京ガス100%出資 |
事業内容 | エネルギー企業およびエネルギー関連ベンチャーキャピタルへの投資 |
東京ガスグループは、グループ経営ビジョン「Compass2030」で掲げた「CO2ネット・ゼロへの挑戦」に向け、脱炭素化に向けた技術開発の早期実現を図り、CO2ネット・ゼロをリードすることで、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に貢献してまいります。
*1:大気中からCO2を除去する等により正味としてマイナスのCO2排出量を達成すること
*2:CO2と、再生可能エネルギーを使って生産した水素を合成して製造する燃料
*3:年間10万トンのCO2を回収するDACの基礎設計プロジェクトとして採択されたもの(補助金額: 250万ドル、2021年6月発表)
*4:CO2を吸着する固体を用いてCO2を回収する方式
*5:CO2の回収・利用・貯留(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略称)
<GT社DACのイメージ>
(GT社提供)