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2022年10月〜2023年1月【全国各地での発生体験をオンラインで繋ぎました】
お茶の水女子大学湾岸生物教育研究所は2022年10月から2023年1月にかけて、全国の学校・ご家庭・市民サークルなどに同じウニ由来の卵精子教材を一斉発送して発生実験を同時期に行ってもらいました。また、実験と同時並行でオンライン相談会・報告会や冬休みのオンライン表現作品コンテストを実施し、利用者同士が相互に繋がりながら海やウニを学ぶイベント「全国一斉ウニの発生体験2022年秋」を開催いたしました。これは学校で海洋教育の授業を行うための教材提供と、一般を対象とした体験イベントとを融合させたイベントであり、10月はキタムラサキウニ、11月はアカウニを用いて実験を行いました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
- イベント概要
・開催概要:キタムラサキウニとアカウニの発生実験とオンライン報告会を実施
・日時と実施内容
2022年10-11月:4日程でウニ教材を提供(全国各地に一斉配送し、ウニ発生実験を行ってもらう)
2022年10月27日、11月24日:オンライン相談会
2022年11月2,3日、11月30日:オンライン報告会
2022年12月-2023年1月:オンライン表現作品コンテスト
・参加人数(延べ):学校62校(参加生徒4,551名)、一般24件
- ウニを発生させるコツや注意点を先輩ユーザーからオンラインで伝授してもらいました
「全国一斉ウニの発生体験」ではウニの卵と精子を混ぜるだけで受精実験ができるキット化した教材を配送し、各自で実験をスタート。別途、一般参加の方を対象とした簡単な研修会を兼ねたオンライン交流イベントも開催しました。夏のイベントでウニの発生体験をした中学生と小学生が特別講師やコメンテーターとなって初心者に向けての研修会を行いました。同封するマニュアルだけでは分かり難いところを利用者目線で補足し、また成功例だけではなく失敗体験談も紹介してもらえたので、これから実験を始める人たちには大いに参考となった様子でした。また、11月の相談会では10月の相談会から研修の部分だけをYouTubeで限定公開することで教材の到着前に一部の研修を先取り受講してもらうことも試しました。
- オンラインでウニ発生の最終報告会を実施
キタムラサキウニの発生体験の報告会を11月2日と3日、アカウニの発生体験の報告会を11月30日にオンライン上で開催しました。ここでは一般枠と学校枠からの参加者が一緒になって学んだことを発表し合いました。家庭での実験の報告、学校から部活動で参加している生徒の発表、教員からの授業で用いた際の報告など、様々な立場の人がウニの発生実験や幼生飼育という共通項で繋がり、皆で学んだことを共有する場となりました。ウニ教材で学んだことは「誰かに伝えたい」という気持ちにうまく繋がるようで、この会への参加をきっかけにプレゼン技術が上達していく参加者も多く見られました。
- 学んだことを作品を通して共有する表現作品コンテストを実施しました
参加者達は受精実験や幼生飼育、そして報告会での発表を通してそれぞれ海について多くのことを学びました。イベントの集大成として秋の全4日程合同で、学んだことを様々な方法で表現してもらい、集まった全28作品を冬休み期間の2022年12月27日から2023年1月10日にかけて、オンライン上で共有しました。作品を展示するだけではなく、コンテスト形式での参加者間投票も行い、グランプリも決定しました。コンテスト会場は今までは教材を申し込んだ人のみを対象とした限定公開でしたが、今回から知り合いや親戚などにも見てもらえるように一般公開用のサイトも準備しました。
本コンテストでは、観察レポートとアート作品とを部門分けしただけで、学校からの参加と一般からの参加は区別していません。子どもならではの作品、学校だからこそできる一クラス分のデータをまとめた作品、部活動での参加だからこその自由な作品、大人だからこその洗練された作品、など幅広い作品が集まり、グランプリ作品の投票では多くの人が一つの作品に絞るのにとても苦労したとのコメントを残していました。
- オンライン会に参加した子ども・保護者・学校教員からの声(アンケートの原文どおり)
<相談会>
・みなさん、わかりやすく説明していただき、ありがとうございます。 不安が少し消えました。
・動画もまじえ、とても分かりやすくて、大変参考になりました。素人で書面だけではイメージがわかず、正しくできるか心配していたので、安心しました。ありがとうございます。
<報告会>
・高校生の発表や高校の先生方からの報告が聞けてとても良かったです。
・今回、学校の報告もとても参考になりました。学校と一般を分けずにどちらでも参加できる形だと嬉しいです。
・今後は、生徒たちがテーマを決めて研究活動を行っていく予定です。またいろいろ質問させていただくと思います。よろしくお願いします。
<コンテスト>
・ちょうせんしたり、観察いっしょにしてきたからわかる気持ちがあったり、まねしてみたいアイデアがあったり、まだウニのおせわにいっしょうけんめいですが、作品を見ているうちに またウニの発生にちょうせんしてみたいと気持ちがわくわくして来ました。
・このコンテストを通してウニについてより詳しく知るきっかけになりました。
<団体概要>
団体名称:国立大学法人お茶の水女子大学
URL:https://www.ocha.ac.jp/index.html
活動内容:学部教育、大学院教育
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/