チャレナジー、フィリピン初号機の稼働開始

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~風速70m/秒、日本の3倍台風の多い離島で「電力の地産地消」を目指す~

台風もエネルギーに変える「垂直軸型マグナス式風力発電機(以下 マグナス風車)」を開発する株式会社チャレナジー(本社:東京都墨田区、代表取締役:清水敦史、以下 当社)は、フィリピン共和国バタネス州でマグナス風車のフィリピン初号機を、2021年8月25日に本格稼働したことをお知らせします。

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  • 背景 

フィリピン共和国(以下、フィリピン)は、2016年に同国エネルギー省が発表したデータによると、急激な経済成長によりエネルギー需要が著しく増大しており、電化率は92%に達しています。一方で、約800万人が未電化地域に住んでおり、電気が通っている地域でも24時間の電力供給が受けられない弱電化地域が40%以上あるのが現状です。 

その理由は2つあると言われています。一つは、7,600以上の島で構成される島国であり、離島や山間部のように地形的なハンディを有している地域では、電力系統インフラが整備されていないこと、もう一つは、台風の襲来頻度が高く、安定した電力供給が難しいことが挙げられます。実際に、2016年~2020年の気象データに基づくと、フィリピンには平均16.8回、日本の約3倍の台風が通過しています。 

送電網から遠く離れた無電化・弱電化地域では再生可能エネルギーが地産地消のエネルギーとして期待されていますが、この台風の多さが風力発電普及のネックとなっております。そこで、台風などの強風速域においても発電できる「垂直軸型マグナス式風力発電機」を開発するチャレナジーは、今般、フィリピンにおいて“地産地消”できる電力供給を目指し、実証事業をスタート致しました。 
 

  • フィリピンでの実証事業について 

本プロジェクトは、環境省「コ・イノベーションによる脱炭素技術創出・普及事業」の一環として実施しております。フィリピン初号機は、2018年に石垣島でスタートした実証成果を反映し、性能・耐風速設計がともに向上しております。より強風が吹く地域でも設置が可能となり、フィリピンの建築基準をクリアする70m/秒まで耐えられる設計となっております。 

また、発展途上国の離島は、インフラが未整備な地域も多く、これまで大型クレーンなどの使用が難しいため、風力発電機の設置に向かない場所とされていました。今回はその様な環境での建設性を向上させる取り組みとして、重機などを使用せずに建設しました。 

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初号機で発電された電力は、当面、独立電源として街路灯・農業用水ポンプなどの地域生活に密着した用途に活用される予定です。 

今回の初号機は、当社とスカパーJSAT株式会社が新たに開発した、マグナス風車専用の監視システムにより遠隔からの稼働状況モニタリングと操作が可能です。監視システムは衛星通信を用いており、携帯電波が繋がりづらい遠隔地でも継続的に監視が可能となります。加えて、災害時に当該地域で携帯通信が使えない場合、マグナス風車により発電した電力を用いる衛星通信は、災害地域でも安定的な通信を継続的に提供することが可能です。本実証モデルは、電力、通信インフラともに脆弱なフィリピンのデバイド地域での普及が期待されます。
関連:2018年1月30日付 プレスリリース https://challenergy.com/2018/01/30/post_76/

今後も、チャレナジーが掲げる「風力発電にイノベーションを起こし、全人類に安心安全なエネルギーを供給する」というビジョンの実現を目指し、今まで再生可能エネルギーの設置が困難であった遠隔地や離島でのエネルギーの地産地消に尽力していまいります。 
 

  •  今後の展望 ~マイクログリッド技術で、地産地消の電力供給を目指す~ 

今後は、マグナス風車を活用したコミュニティでエネルギー供給源と消費施設を持つ小規模なエネルギーネットワーク(「マイクログリッド」)の実現を目指してまいります。マグナス風車に、太陽光発電・蓄電池を組み合わせることで、昼夜問わず安定した電力を供給する事業を展開していきます。 

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、地域単位のマイクログリッドの整備が実現すれば、2030年までに電力アクセスが50〜60%改善されるとされています。今回の初号機の設置を皮切りに、同国の島嶼地域でのマイクログリッド需要を捉え、電力アクセスの向上・脱炭素化の推進に向けて挑戦して参ります。 
 

  • 垂直軸型マグナス式風力発電機について 

マグナス力と垂直軸を組み合わせた、プロペラのない次世代型風力発電機。プロペラによる揚力ではなく、円筒の回転で発生するマグナス力を利用することで、制御できる風速域が広いのが特徴です。 

一般的な風力発電機では風速25m/秒を超える場合、破損や故障のリスクがあるため止めるように設計されるのに対し、垂直軸型マグナス式風力発電機は風速40m/秒まで安定的に発電できます。また、垂直軸を採用することであらゆる風向に対応できます。さらに、一般的な風力発電機と比較して低回転のため、騒音やバードストライクなどの周辺環境への影響を軽減することも期待できます。 
 

  • 会社概要 

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”風力発電にイノベーションを起こし、全人類に安心安全なエネルギーを供給する” 
福島の原発事故をきっかけに日本のエネルギー問題に着目し、世界的にも気象環境の厳しい日本において風力発電を普及させるべく、風向風速の変化に強い垂直軸型マグナス式風力発電機の開発を行っています。 

https://challenergy.com 

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