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観光産業におけるSDGs取組みの先進的好事例として全国共有へ
株式会社日本旅行(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小谷野悦光)と日本旅行協定旅館ホテル連盟(会長:白石武博、以下日旅連)は、3月2日に都内で行われた第61回通常総会において、SDGs推進特別委員会にて実践された取組みの中から、観光産業におけるSDGs取組みの先進的好事例として4事例を『SDGs推進特別賞』等として表彰しました。
2022年3月に開催された前回総会において、日本旅行・日旅連にて合同の「SDGs推進特別委員会」が立ち上げられ、そこからおよそ1年間に渡り、地域課題の解決や各施設での取組みを共創するSDGsの取組みが続いてきました。
当委員会では、日本旅行のソリューション部門・ツーリズム部門・インバウンド部門と、日旅連の営業推進委員会の法人・個人・訪日部門の各委員会が、それぞれ連携しSDGsの取組みを推進してまいりました。日本旅行・日旅連の双方でSDGsの取組みを共創することを通じ、より多角的な視点での地域や施設の課題解決を図りました。
この度、その中でも特に、各エリア・各施設で顕著な成果を収めた取組みを、観光産業におけるSDGsに対する先進的好事例として表彰しました。
- SDGs推進特別賞 : 日旅連 北海道支部連合会 知床地区
「知床発『サステナブル・トラベラー』を育てる教育旅行コンテンツの開発について 知床地区の生物多様性をより深く知り、知床での滞在を充実させるプログラム開発」
アフターコロナのツーリズムに必要とされる「レスポンシブルツーリズム」。〝責任ある観光〟と訳され、観光地の自然や文化・地域社会を守るため、旅行者も一定の責任を担う新たな観光のありかたです。
世界自然遺産/国立公園である知床の環境について学び、知床や自身の生活域の自然などについて思いをはせ行動変容ができる人、名付けて〝知床発『サステナブル・トラベラー』〟の育成を通じ、知床をレスポンシブル・ツーリズム実践地域へと推進する取組みです。
一例として、知床で大きな問題となっているヒグマの人馴れ。ヒトの生活圏にヒグマを立ち入らせないため、ヒグマが身を隠すのに丁度良い笹薮の草刈りを行いヒトとクマの距離・境界を整備する「クマ活」があります。
短期的な観光視点から一歩進み、地域の抱える課題を理解し、地域の方々と交流しながら中長期的な地域づくりにまで参画していただくことで、知床の観光産業が将来的に持続可能なものになるよう貢献すると同時に、ひいては参加者自身の今住んでいる地域へその考え方を還元するプログラムです。
▼ 参考
クマ活(北こぶし知床ホテル&リゾート公式サイトより)
https://www.kitakobushi.jp/csv/
<講評>
- レスポンシブルツーリズムはハワイで積極的に取り組まれており、 観光地と観光客がより深く接点を持ちながら、長期滞在、 リピーター化に繋がったと聞いております。また、 知床は世界自然遺産として景観、 生態系の保全に力を入れていると聞いており観光客も制限が多いと聞いておりました。しかし、きちんとルールを明確にして、その制限の理由を事前に知ることで、観光客も快適に、気分良く楽しめると思います。また、クマ活は地域が主体となり、地域外に輪を広げて活動しているところが素晴らしいと思います。 レスポンシブルツーリズムの先進地として知床エリアが認知されて いくよう私たちも情報発信してまいります。
- SDGs推進特別賞 : 日旅連 北陸支部連合会 加賀地区
「加賀市における教育旅行コンテンツ造成 加賀温泉郷で学ぶSDGs」
2024年春に控える北陸新幹線敦賀延伸(金沢~敦賀)を契機とした教育旅行誘客の一環として教育旅行で活用できるSDGsワークブックを制作。行政(加賀市)や民間(地場産業)と連携し、SDGsをテーマとした探求型教育旅行に適した地域観光資源の調査からコンテンツ造成を行いました。
地域の誇る北前船がもたらした文化・芸術から、古くから地域の交流の場として人々に愛され守られ続けてきた加賀温泉文化等に焦点を当て、加賀温泉郷で活躍する人々や地域との交流を通し、プログラムが地域文化継承に貢献できるものになることを企図しています。
同時に、この取組みには、地元高校生にも参画してもらっており、地域の将来をになう世代の価値観を取り入れるとともに、地域の発展につながる将来世代の人材育成までを見据えた取組みに発展しています。
▼ 参考
加賀市で学ぶSDGs学習プログラム(加賀市公式サイトより)
・伝統工芸「九谷焼」の未来への継承
https://www.city.kaga.ishikawa.jp/material/files/group/15/ishikawa-sdgs-program20.pdf
・北前船がもたらした地域と文化の発展
https://www.city.kaga.ishikawa.jp/material/files/group/15/ishikawa-sdgs-program21.pdf
<講評>
- 観光事業者が中心となり、加賀市観光交流課と調整しながら九谷焼、山中漆器などの伝統産業に携わる方々と連携しながら観光プログラムの開発を行っているところが素晴らしい。そのプログラムをガイドブック形式ではなく、ワークブック形式に整理することにより地域外の子どもたちだけではなく、地元の子どもたちにも地域文化を学ぶ機会を提供しているところが素晴らしい。地元の高校生が加賀棒茶を紹介する動画を視聴しましたが、地元の高校生が、Z世代視点でコメントをしており、プロの作ったプロモーション動画とはまた違った良さがある。 観光発展のための人材育成を高校とコラボレーションしている活動はあまり聞いたことがないので、継続して取り組んでいただき、 新しい視点での魅力を発信してください。
- カーボンゼロ販売拡大賞 : 日本旅行 メディアトラベルセンター
旅行における鉄道移動(新幹線・特急列車)で排出されるCO2相当量をオフセットし実質ゼロにする 「JRセットプランCarbon-Zero」。脱炭素社会の実現に向け、この取り組みを一層加速させるために、オフセット費用についてお客様が任意に選択する形から、予め旅行代金に組込む形に商品の仕様を変更した。結果、利用者数が飛躍的に拡大し、2023年3月時点で、およそ300tのオフセットを実現させた。
<参考>
日本旅行「JRセットプランCarbon-Zero」
https://www.nta.co.jp/kokunai/sdgs/carbonzero/
- SDGsイベント推進賞 : 日本旅行 東京教育営業部埼玉教育支店
石垣島のビーチクリーンを通じ、環境問題である海洋プラスチックゴミ問題から、アップサイクルの仕組みといったサーキュラーエコノミーまでを体感し、かつ石垣市の環境課題に貢献するSDGsを学ぶ修学旅行コンテンツ『Tourism for Tomorrow ~八重山ビーチクリーンプロジェクト~』 に、日本全国から多くの中高生が参加している。
<参考>
日本旅行「Tourism for Tomorrow ~八重山ビーチクリーンプロジェクト~」
<日本旅行×日旅連 SDGs共同宣言>
- 将来にわたり発展できる、地域の実情にあった事業を行います。
- 環境への影響を考え、お客様の行動変容につながる商品を創ります。
- 観光産業のみならず、多様な産業と共創し、地域経済の発展に寄与します。