企業等における最新のSDGs実態調査の結果を解説した「SDGs進捗レポート 2023」を発行

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~GCNJ会員の約90%が脱炭素に向けた外部環境整備として再エネ比率拡大を重視、女性活躍からジェンダー平等への移行が急務~

一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)および公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES=アイジェス)および一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」について、GCNJ会員企業・団体の進捗度に関する最新の調査結果をとりまとめた「SDGs進捗レポート2023」を2023年3月6日(月)に公開しました。

本レポートは、2022年9月~11月に行った調査結果に基づき、SDGsに関する認知度のほか、国連グローバル・コンパクト(国連GC)が重視するSDGsのゴール5、8、13、16と、日本企業で取り組みの加速が期待されるゴール12の計5つのゴールの取り組みの進捗について、各分野の専門家による分析・考察をまとめています。5つのゴールの分析・考察にあたり主題にしたテーマは、企業・団体の活動にとって重要な「ジェンダー平等」、「はたらきがい・人権」、「持続可能な消費と生産」、「気候変動」、「腐敗防止」になります。前回の調査でSDGs認知度と取り組み進捗度の十分な高まりが明らかになったことを踏まえ、今回は、SDGsの経営への組み込みや取り組む際の課題など、実践段階における取り組みの「質」について深堀りした内容となっています。

 【「SDGs進捗レポート 2023」のハイライト】

  • 【SDGsの認知・浸透度】経営へのSDGsの組み込みに関して、従業員数10~249人の企業では、方針・表明はなされているが具体的行動に結び付いておらず、250~4,999人の企業では、取り組みの実効性を引き上げる要素であるKPI(重要業績評価指数)の設定、定量目標・実績の開示、役員報酬との結び付けが課題となっている。5,000人以上の企業でも、役員報酬との結び付けが課題。
  • 【ジェンダー平等】役員における女性比率の目標値設定、男性の育児休業取得に向けた取り組みなどで進捗が見られた。他方で、サプライチェーン・マネジメントにおけるジェンダー平等を考慮した取り組み、自社を超えた地域・社会のジェンダー平等推進への貢献は、ともに約半数が未実施。まだ日本の企業に十分浸透していないこれらの項目については、理解を深め、自社の取り組みと照らし合わせて考えられるようにし、推進の目的およびアプローチを「女性活躍」から「ジェンダー平等」に移行させることが重要。
  • 【はたらきがい・人権】「国連ビジネスと人権に関する指導原則」が具体的に示す項目を「尊重(原則)」として設定。「尊重(原則)」全項目の平均回答率は42.1%→44.3%と微増したものの、依然として半数以下。引き続き「尊重(原則)」項目の実施・見直しが喫緊の課題。消費者の人権を人権課題として十分に認識していない企業、地域住民の人権に取り組んでいない企業がともに3割を超えており、消費者や地域住民の人権尊重への意識が十分ではないことも引き続きの課題。
  • 【持続可能な消費と生産(SCP)】SCPに関する社内方針を明確化している企業は78.9%(前年比24.8%増)。取り組みとしては、持続可能な原材料調達(59.9%→71.1%)、前年は限定的であったシェアリングサービスの展開(14.0%→26.3%)が特に増加。今後は、生物多様性や汚染問題など他の環境問題にも同時に貢献できるような事業展開、消費者やサプライヤーに向けた循環性・物質効率性などの環境情報およびトレーサビリティ情報管理の検討を進めていくことが期待される。
  • 【気候変動】気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)やスコープ3排出量の情報開示への対応が必要なことから、サプライチェーンを巻き込んだ働きかけが26.0%→41.7%と進展。ネット・ゼロ達成に向けた活動を後押しする制度として、GCNJ会員の約90%が再生可能エネルギーの比率拡大を重視。削減インセンティブを与えるカーボンプライシングの導入への期待も36.5%→47.1%と大きく増加。

    企業等における最新のSDGs実態調査の結果を解説した「SDGs進捗レポート 2023」を発行のサブ画像1_GCNJ会員の90%が脱炭素に向けた外部環境整備として再エネ比率拡大を重視GCNJ会員の90%が脱炭素に向けた外部環境整備として再エネ比率拡大を重視

  • 【腐敗防止】トップ・コミットメントや規定類整備が進んでいるのに対して、「サードパーティのリスク評価」や「評価結果に応じた契約条項による管理や教育トレーニングの実施」などは20%を下回っており、両者の間にギャップが生じている。GCNJを中心に企業間で連携し、サードパーティ管理や記録化の徹底をはじめとしたリスクベース・アプローチのさらなる推進が求められる
  • 【5つのゴールの共通課題】5つのゴールのガバナンスに関する共通選択肢を設けて比較したところ、「方針として明確化」についてはすべてのゴールで8割以上の会員から回答を得られたが、その他の項目ではゴールごとに進捗の差異が見られた。「人権」、「ネット・ゼロ」については「コミットメントの表明」をはじめ特に高い進捗が確認できた。
  • 【総括】前回の2021年調査から様々な面での進展が確認されたものの、5つのゴールの専門家の評価としては、「SDGs達成に求められる水準の企業行動としてはまだ不十分」で一致。加速化の一つの具体的な手段となりうるのが、国内外のイニシアチブへの参加。世界最大のサステナビリティ・イニシアチブである国連GC署名企業による人権尊重プロセスの取り組みが、東証一部・二部上場企業などを対象とした政府調査結果(2021年)と比べて進んでいた。さらにジェンダー平等とネット・ゼロについては、女性のエンパワーメント原則(WEPs)およびScience Based Targetsイニシアチブ(SBTi)への署名の有無により一部取り組みに顕著な差が見られた。GCNJ会員をはじめ、各企業においては、本レポートで示した調査結果と考察を自社に持ち帰り、経営層に直接語り掛け、自社としてやれることが他にないか、今一度確認することが期待される。

「SDGs進捗レポート 2023」の目次(抜粋)】

 

企業等における最新のSDGs実態調査の結果を解説した「SDGs進捗レポート 2023」を発行のサブ画像2_SDGs進捗レポート2023SDGs進捗レポート2023

・SDGsに関する国内外の動向
・SDGs実態調査の結果と解説
「SDGsの認知・浸透度」
「ジェンダー平等」(ゴール5)
「はたらきがい・人権」(ゴール8)
「持続可能な消費と生産」(ゴール12)
「気候変動」(ゴール13)
「腐敗防止」(ゴール16)
「5つのゴールの共通課題」
「ノン・ビジネスによる取り組み状況」
・まとめの考察
・SDGs実態調査関連データ
・GCNJ SDGsタスクフォース特集ページ

「SDGs進捗レポート2023」は下記URLより、ご覧いただけます。


https://www.ungcjn.org/activities/topics/detail.php?id=547

【調査概要】
■調査目的
・GCNJ会員企業・団体が、調査結果により自らのSDGs進捗度を測り、活動を推進させることに役立てる。
・会員企業・団体の現状のSDGs取り組み・浸透の進捗と課題を分析し、SDGs達成に貢献する。
■調査スケジュール:<実査>2022月9月26日~11月14日 オンラインで実施
■調査対象:513企業・団体(2022年9月1日現在のGCNJ会員すべて)
■調査回答:279企業・団体(54%) その内、企業が259、ノン・ビジネスが20
※本レポートでは企業の回答結果の分析・考察を掲載。ノン・ビジネス会員による連携・協働の取り組みは別冊で紹介
■設問数および内容:
「SDGs認知・浸透度の進捗」に加えて、SDGsの5つのゴールの進捗度等、計約50問。
対象とした5つのゴールは、国連GCが重視するSDGsのゴール5、8、13、16と、日本に特に進捗が期待されているゴール12。それぞれ企業・団体の活動にとって重要な「ジェンダー平等」、「はたらきがい・人権」、「持続可能な消費と生産」、「気候変動」、「腐敗防止」を分析・考察の主題とした。
GCNJ会員に毎年回答いただくことで、企業のSDGs目標達成に向けた進捗度を測るガイドラインあるいはチェックリストとして活用いただくことを期待している。

【一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ: Global Compact Network Japan)について】

国連グローバル・コンパクトは、各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、人権、労働、環境、腐敗防止の10原則とSDGsを実践し、持続可能な成長を実現するための世界的な組織。GCNJは、2003年12月に日本におけるローカルネットワークとして発足し、2023年2月現在会員数は536。SDGsの達成に向けて会員の皆様や関連機関と共に推進する活動情報等はこちらをご覧ください。
GCNJウェブサイト:https://www.ungcjn.org/index.html

【公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES: Institute for Global Environmental Strategies)について】

IGESは、アジア太平洋地域における持続可能な開発の実現に向け、国際機関、各国政府、地方自治体、研究機関、企業、NGOなどと連携しながら、気候変動、自然資源管理、持続可能な消費と生産、グリーン経済などの分野において実践的な政策研究を幅広く推進。1998年、日本政府および神奈川県の支援により設立。本部は神奈川県葉山町に所在し、約150名の研究者を擁し、その3分の1強が外国籍。関西(兵庫県)、北九州、北京、バンコク、東京の各センター・事務所と共に、グローバルおよびアジア太平洋地域のネットワークを生かした戦略研究を展開。
 

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