~東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の「選手村ビレッジプラザ」の建築のため提供された「徳島すぎ」の再活用事例~
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の「選手村ビレッジプラザ」の建築にあたり徳島県から提供された「徳島すぎ材」が「レガシー材」として返却され、プロポーザル方式による審査を経て新たな形に生まれ変わり、その完成披露が行われました。
- レガシー材再活用の概要
・本県から選手村ビレッジプラザに提供されたのは、徳島県産の「すぎ」材約23m3。
・関係各方面との協議の結果、返却されたレガシー材積の半分(約12m3)以上を利用し、
①鳴門・大塚スポーツパーク内のソイジョイ武道館2階観客席の改修
②可搬式のベンチ10基
③自由提案による活用事例
を作成するという条件で、プロポーザル方式での募集を実施。
・最優秀提案者である”東京オリ・パラ「徳島すぎ」レガシー創出業務受託コンソーシアム”が製作。
・いずれの作品も「長ほぞ込み栓打ち」や「ほぞ差し割りくさび締め」等の伝統的な大工技術を用い、
金物を極力使わないなど、「再生可能な資源=木」と「伝統構法」を掛け合わせることで、持続可能な
循環型社会の実現に向けた取り組みとなっています。
- お披露目
令和4年1月24日(火)、徳島県鳴門市にある鳴門・大塚スポーツパーク内のソイジョイ武道館にて、建築、木材、行政機関等の関係者を招いて、完成披露が行われました。
県担当者による今回の再活用に関する概要説明の後、2階観客席、武道館前に設置されたベンチ10基、自由提案作品2点(AWAボックスシート、徳島すぎギャラリー)について制作者から説明が行われ、質疑応答でも大工技術に関しての質問が多く出されるなど、参加者の関心を集める内容でした。
①武道館観客席は、背もたれにレガシー材の断面を変えずそのまま用い、また、座面には新たに県産すぎの板材を用いるなど、徳島すぎ材の質感がそのまま感じられる仕上がりとなっている。
②ベンチについては、座面中央に角度(アングル)をつけることで、座った人同士が優しく向き合える形と
なっており、その角度は徳島県の県番号でもある「36」度。5つを連結すると輪になって皆が向き合える
ようになっている。
③自由提案については、
(1)徳島県の旧名である「阿波(AWA)」をモチーフにした「AWAボックスシート」
(2)アート作品のミニギャラリーとして使える「徳島すぎギャラリー」
が制作された。
- 今後について
ベンチについては、県内体育施設等への設置を検討中であり、また、AWAボックスシート及び徳島すぎギャラリーについても、各種イベント等での活用を検討しています。
残っている約半分のレガシー材についても、県内公共施設等での活用を検討しており、このレガシー材再活用を契機に、木材がサスティナブルな素材であるとともに、その質感の良さを知ってもらい、さらなる県産木材の利用拡大に繋がっていくよう取り組んでまいります。