G7諸国における蛍光灯の廃止は、世界全体の気候目標の達成に不可欠であり、日本政府と産業界によって蛍光灯の廃止を遅らせることは、この目標を危険にさらすことになる。
クリーンライティング連合(CLiC)、気候行動ネットワーク(CAN)、気候ネットワークは、G7サミットの開催にあたり、G7 閣僚に対し、国際的な進展を遅らせようとする日本の試みにかかわらず2025 年までに全世界が LED 照明に移行することを公約するよう要請する意見書を提出した。
2025 年に世界すべての蛍光灯が廃止された場合、2050 年までに累積 3.3ギガトン の CO2 排出が回避され、電気代にしておよそ約179兆円(1.34 兆米ドル)の節約が見込まれている。
意見書は、G7諸国が、国際エネルギー機関の「ネット・ゼロ・エミッション・シナリオ(https://www.iea.org/reports/lighting)」に合わせ、また「2035年までに電力部門を完全または優勢に脱炭素化する」というG7の2022年の約束(https://www.eceee.org/all-news/news/g7-commitment-sets-the-stage-for-a-clean-european-power-system-by-2035/)を支持し、2025年までにすべての照明販売をLEDに移行しなければならないと述べている。
蛍光灯は、有毒な化学物質である水銀を含有する時代遅れかつ非効率な照明技術であるのに対し、LED技術は、エネルギーと排出量の大幅な削減において蛍光灯を凌駕し、気候変動対策への進展を加速することができる。蛍光灯をクリーンかつ効率的なLED照明へと置き換えることは、CO2と水銀の排出を地球規模で削減できる、費用対効果の高い具体的な行動となる。
世界が2025年までに蛍光灯の段階的廃止に移行しようとしているにもかかわらず、日本政府と日本照明工業会(JLMA)は、世界のLED移行を停滞させようとしている。直管型蛍光灯の廃止が2025年以降に延期された場合、世界の利益は著しく減少し、遅延1年ごとのCO2排出量は約300メガトンに上る。
日本は、照明に関する国内の安全基準と国際安全基準との不整合性や、LED代替品不足などの要因により、LEDへの移行に遅れをとっているが、世界的なLED移行の動きを妨げるのではなく、2025年の段階的廃止を支持するか、国際的な進展を妨げないようにしつつも国内のLED市場が追いつけるよう、適用除外を申請するべきである。
今年の後半にジュネーブで開催される水銀に関する水俣条約第5回締約国会議(COP5)では、水銀含有蛍光灯の廃止時期が議論されることから、G7は、2025年のLEDへの移行を支援することで、気候変動と水銀緩和に対し団結した公約を示すことができる。
2013年に採択された水銀に関する水俣条約(https://mercuryconvention.org/en)は、環境と健康に関する最も新しい世界的な協定であり、20世紀半ばに、水銀で汚染された工業排水が数千人に深刻な中毒症状を引き起こした日本の湾にちなんで名づけられた排水による水銀暴露は危険なレベルで、のちに「水俣病」として知られる深刻な健康被害をもたらした。140の締約国が参加する10月のCOP5は、照明による水銀汚染の最大の原因である直管型蛍光灯を段階的に廃止する機会であり、G7諸国は人々の健康とこの地球を守るためにこの機会を逃してはならない。
<意見書についてはこちら>
英語版
日本語版
https://cleanlightingcoalition.org/wp-content/uploads/sites/96/G7-Summit-Letter-JA.pdf