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AIを活用し、結核のスクリーニングや検出能力の向上を目指す
サステナブルな事業変革を促進するAIソリューションを開発する株式会社Recursive(本社:東京都渋谷区、代表取締役:ティアゴ・ラマル、日本語:リカーシブ、以下「Recursive」)は、サウジアラビア王国最大の医療研究機関であるキング・アブドラ国際医療研究センター(King Abdullah International Medical Research Center、以下「KAIMRC」)と、結核(※1)の早期スクリーニングを実現する、高度なAIシステムの共同開発に向けた覚書を締結したことをお知らせいたします。KAIMRCは、サウジアラビア王国のサウード・ビン・アブドゥルアズィーズ保健科学大学(KSAU-HS)の一部であるほか、専門病院や移植センター、一次医療から三次医療施に至るまで広範囲にわたる医療ネットワークをサウジアラビア国内全域に展開する同国の国民衛生局(Ministry of National Guard-Health Affairs、以下「MNGHA」)の傘下組織でもあります。
この覚書は、AIを活用してサステナビリティを促進するというRecursiveの専門知識とコミットメント、そして画期的な研究を通じた感染症対策に対するKAIMRCのコミットメントを融合させたものです。正式な締結は、サウジアラビアの国家警備省が、同国の投資省との戦略的パートナーシップのもと2024年11月11日に開催した「リヤド・グローバル・メディカル・バイオテクノロジーサミット」で行われました。Recursiveは、診断の精度と速度の向上、並びに研究および予測能力の加速を可能にするAIシステムの開発において、KAIMRCを支援します。両組織は、サウジアラビアの医療制度の改革と市民の生活の質の向上も含む、同国の成長戦略「ビジョン2030」にも大きく貢献することを目指していきます。これに加え、このパートナーシップは、国際連合が定める持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みにも一致しており、中でも目標3として掲げられる「あらゆる年齢のすべての人の健康な生活を確保し、福祉を推進する」という取り組みにおいても、重要な役割を果たすことも期待できます。
【背景】
2023年、世界で最も多かった感染症による死因は、新型コロナウイルスを越え、結核が再び一位となりました。世界全体で約125万人が結核で命を落とし、新たに診断された約820万人を含む、約1,080万人が結核に罹患しました。推定40万人が多剤耐性結核(MDR-TB)またはリファンピシン耐性結核(RR-TB)を発症(※2)しましたが、2023年に診断・治療を受けたのはその内44%にとどまりました。MDR-TB、RR-TB患者の治療成功率は68%にのぼり(※3)、結核は予防可能かつ治療可能な疾患ではありますが、適切なタイミングで医療介入がなければ、致命的な病気であることには変わりありません。そのため、2030年までに結核を根絶させることは、国際連合が定めるSDGsの目標3「あらゆる年齢のすべての人の健康な生活を確保し、福祉を推進する」においても重要な要素となっています。
また、サウジアラビアでは、国家結核プログラム(National Tuberculosis Program、NTP)の一環として「結核終息戦略」(End-TB Strategy)を掲げており、2015年の水準と比較して、2035年までに結核による死亡率を95%、罹患率を90%減少させることを目指しています(※4)。さらに、同国は、野心的な計画「ビジョン2030」を通じて国内の医療インフラを革新する中でも、結核対策に取り組んでいます。
【期待されるインパクトと今後のビジョン】
RecursiveはKAIMRCの科学者およびMNGHAの医師と連携し、胸部X線画像データを活用した結核のスクリーニングと検出を迅速化するAIシステムの開発に取り組みます。この協働により、診断と治療も迅速化することで、結核による死亡リスクを低減するとともに、感染拡大の防止を目指します。
また、この協働を通じて、サウジアラビアにおける結核の診断能力を向上させるのみならず、結核がもたらす負担が大きい他地域でも応用可能なAIモデルの構築を進め、将来的には規模を拡大して展開することも視野に入れています。さらに、AIとデータサイエンスを活用したこの共同開発の取り組みを他の感染症にも応用し、世界の医療システムを強化し、公共医療のさらなる進展を促進できるイノベーションの推進にも寄与できることを期待しています。
Recursiveの共同創業者 兼 CEOであるティアゴ・ラマルは、次のように述べています。
「KAIMRCさまのパートナーとして、このような画期的な取り組みでご一緒でき、大変光栄です。この協働は、最先端のAI技術を活用し、持続可能な未来を実現するというRecursiveのコミットメントを体現しています。KAIMRCさまの先駆的な医療研究とRecursiveがもつAIに関する専門知識を融合させることにより、サウジアラビアのみならず、結核をはじめとするあらゆる感染症の問題が深刻化する世界各国の地域においても、有意義なインパクトを与えることができると確信しています。」
Recursiveは今後とも、世界的な課題に取り組むためにAI技術を引き続き開発・活用し、イノベーションを促進するとともに、より持続可能な世界の実現に向けた取り組みを一層進めていけるよう、精進してまいります。
※1 結核:主に肺に影響を与え、時には脳などの他の臓器にも影響を及ぼす細菌によって引き起こされる感染症です。発症した人が咳やくしゃみをしたり、唾を吐いたりすることで、空気中に広がります。
※2 多剤耐性結核(MDR-TB)、リファンピシン耐性結核(RR-TB):リファンピシンは結核治療における最も高い効果を示す第一選択薬であり、MDR-TBはリファンピシンとイソニアジドに耐性を持つ、より重篤な結核の一形態です。
※3 このセクションに記載されている統計について:世界保健機関(WHO)が2024年10月29日に発表した『世界結核報告書2024』に基づいています。https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/379339/9789240101531-eng.pdf
※4 サウジアラビアの国家結核プログラムや結核終息戦略について:サウジアラビア王国保健省発行『National Tuberculosis Program Manual 2021』に基づいています。https://www.moh.gov.sa/Documents/National-TB-program.pdf
株式会社Recursive
持続可能な未来を構築するための AI ソリューションを提供するサービスプロバイダーです。環境、エネルギー、医療、製薬、食品、小売など多岐にわたる業界の知見と高度な技術力、サステナビリティ事業に関する専門知識を組み合わせ、AI のシステム開発やコンサルテーションサービスを提供しています。より良い地球環境や社会を未来の世代に残すために、比類なきプロフェッショナルが世界標準のテクノロジーで新しい社会つくりをリードします。
会社名: 株式会社Recursive (英語名称:Recursive Inc.)
本社所在地:東京都渋谷区渋谷一丁目7番1号 渋谷S-6ビル 6階
設立: 2020年8月
共同創業者:ティアゴ・ラマル / 山田勝俊
事業内容: AIの研究開発およびサステナビリティに関連するソリューションの提供
従業員数: 44名
URL: https://recursiveai.co.jp/ja/
〈同時配布先:厚生労働記者会、総務省記者クラブ、科学記者会〉