普段の食生活から、世界の経済や環境問題を学ぶダイナミックな経済学入門
- 食卓からみる、環境問題、SDGs、グローバリズムとは?!
私たちが毎日欠かさず行っている「食べる」という行為、実は地球全体に大きな影響を与えているのです。私たちの普段の食事が地球全体とその未来にどんな影響を与えているのか、経済学の枠組みを使って、わかりやすく解説していきます。SDGsや環境問題に関心が高まっている今、食と経済学という意外な組み合わせから、地球全体の問題を考えていきます。
この一冊で「食べる」を見る目がガラッと変わる!
【目次より】
《第一部 地球と食卓をつなぐ感覚 「食べる」が形づくる社会》
▼1章 「食べる」と「食料生産」
なぜ「食べる」は特殊なのか?/「食べる」の反応を数値化する/「食料生産」もまた特別なもの/食卓の向こう側を見てみよう/私たちはなぜ実感できないのか
▼2章 食料市場が社会をつなぐ
食料市場とは?/安くておいしいのは市場のおかげ/日本が自給自足したら/途上国と国際市場の深い関係/市場の発展に分業はつきもの/分業で見えなくなるもの
▼3章 食料市場の限界
効率性にフェアの精神はない?/市場が力不足な3パターン/最も望ましい「食べる」とは?
《第二部 飢える人と捨てる人 「食べる」にまつわる社会問題》
▼4章 避けられない自然の摂理
食品の値段は変わりやすい/農業で安定収入は可能か?/作物は1日にしてならず/気候変動と食料の複雑な関係/国際食料市場がますます重要に
▼5章 市場が効率的だとしても
「栄養不足と肥満」のどちらも増えている/世界の食料は足りているのに…/貧しい国でも肥満が増えている/栄養不足と肥満は同時に減らせないのか?/「食品ロス」に魚の骨は含まれるのか?/捨てられる日本の食料/世界の食品ロスのパターン/食品ロスの削減は誰のため?/なぜ食品ロスはなくならない?
▼6章 市場の失敗のせいで
「食の安全性と偽装」という課題/偽装はまだまだ続く/なぜ繰り返されるのか?/「肉食と環境」という悩みのタネ/空気や水がほぼ無料という難しさ/肉の食べ過ぎは安すぎるから?/日本の肉食事情
▼7章 つきまとう政治的な思惑
途上国ほど農業を冷遇する不思議/農業優遇政策のパラドックス/自国農業の過保護による混乱/正当化される非常時の輸出規制/輸出規制の日本への影響は?/貿易戦争と森林破壊
▼8章 「人間らしさ」の難しさ
「食べる」はバイアスがかかりやすい?/栄養不足はもっと減っていい/子どもの生死を分ける思い込み/後悔先に立たずの肥満と環境/食の安全への過剰反応/自分の影響力を早とちり/「食料生産」にもバイアスはかかる/なぜか良案が採用されない/肥料を使わない理不尽/まだある厄介な人間らしさ
《第三部 未来に向けた挑戦 「食べる」を今より良くするための試行錯誤》
▼9章 自然の摂理に立ち向かう
長期保存と産地リレー/ゲノム編集の可能性/植物や細胞から肉を作る/昆虫食という選択肢
▼10章 食料市場の限界をふまえて
決め手は相対価格/健康よりも環境の改善に効果的?/アクセスか?それとも需要か?/食品ラベルのツボ/温室効果ガス排出権取引き制度のねらい/DXで安全・安心・サスティナブル?
▼11章 「人間らしさ」を加味する
「食べる」の状況に働きかける/考えて選択する状況を作る/無意識に良い選択をさせる/「食料生産」の状況に働きかける/期待のし過ぎは禁物
《第四部 未来をイメージする 「食べる」から考える未来社会》
▼12章 これからの「食べる」について
「健康的で持続可能な食生活」とは?/必要な変化とコストは?/バランスの取れた対策が大事/未来の視座から考える
【著者略歴】
下川 哲(しもかわ・さとる)
早稲田大学政治経済学術院 准教授。2000年、北海道大学農学部農業経済学科卒業。2007年、米コーネル大学で応用経済学の博士号(Ph.D.)を取得。香港科技大学社会科学部助教授、アジア経済研究所研究員を経て、2016年から現職。これまで、国際学術誌の「Food Policy」や「Agricultural and Resource Economics Review」、国内学術誌の「農業経済研究」や「The Japanese Journal of Agricultural Economics」などの編集委員も務める。専門は農業経済学、開発経済学、食料政策。
【書籍概要】
書名:食べる経済学
著者:下川 哲 著
出版年月日:2021/11/24
判型・ページ数: 四六判・272ページ
定価:1870円(税込)
URL:https://www.daiwashobo.co.jp/book/b590669.html