【国内海外フェアトレード市場動向】国内市場規模131.3億円とコロナ禍にも関わらず伸張

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コロナ禍で困窮する生産者を支援する「救援・復興基金」では19億円が集まる

国内でのフェアトレードの普及・啓発活動を行う認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(東京都中央区,事務局長 潮崎真惟子)は、最新の国内・海外フェアトレード市場動向を発表します。国内でもSDGsやサステナブルなどエシカル関連のワードの市民権が得られつつあり、フェアトレード市場も拡大傾向にあります。一方でフェアトレード先進国と比較をすると、日本の市場規模を鑑みるとより市民レベルで意識を高めていく必要が感じられる結果が見えてきました。

TOPICS

  • 2020年フェアトレード認証製品推定市場規模131.3億円(前年比約106%)
  • ドイツの市場規模と比較すると約18分の1
  • 国民一人当たりの年間購入額104円で初の100円超えもスイスと比較すると100分の1以下
  • フェアトレード・インターナショナルはコロナ禍に「救援・復興基金」を立ち上げ世界で19億円集め現地への直接支援を実施

総括と2021年の傾向事務局長 潮崎 真惟子
[コロナ禍の中のフェアトレード]
コロナ禍で国全体の経済成長にはマイナス傾向があるものの、国内のフェアトレード市場は伸張し2020年は131億円の規模となった。背景には市民や企業のSDGsやフェアトレードに対する関心の高まりなどがある。国内のフェアトレード産品で最も売上が大きいのは依然としてコーヒーだが、それ以外の産品のチョコレート、紅茶、コットン等でも展開が増えつつある。一方で、欧米と比較をすると依然として大きな差があり、日本市場はドイツ市場の約18分の1の規模。経済規模を鑑みてもさらなるフェアトレード市場の拡大が期待される。また新型コロナウイルス感染拡大が開発途上国の生産地に大きな打撃をもたらした中で、フェアトレードの最低価格保証やプレミアム(奨励金)の仕組みはセーフティネットとして大きく貢献した。さらにフェアトレード・インターナショナルは、生産者の救済・復興基金を立ち上げ、総額19億6千万円を政府や企業から調達した。グローバル組織ならではのネットワークを活かし、資金調達から末端の生産者への直接支援までを担った。

[2021年最新傾向]
2021年は、大手小売などを中心にフェアトレードの展開が加速した。イオントップバリュはプライベートブランドとして販売するコーヒーとチョコレートで使用するカカオを2030年までに持続可能な裏付けが取れたもの(主に国際フェアトレード認証)に100%転換すると発表。またナチュラルローソンや西友にてオリジナル商品が初めて発売された。小売りによる調達変更は、商品を納品するメーカーなどの事業者にも影響を及ぼす。フェアトレード先進国である欧州諸国で市場が拡大した背景にも、小売各社によるフェアトレードの急速な導入がある。日本もフェアトレード市場の大転換の兆しが見える年であった。また、世界で200以上の大学が認定されている「フェアトレード大学」に青山学院大学が認定された。教科書も含め教育の場でのフェアトレードへの言及も大きく増えており、今後より一層若者にフェアトレードが普及する見込みだ。若年層は他の年代と比較をしても、購入する製品や就職先などのサステナビリティ観点を重視する傾向にあり、今後の産業界のサステナビリティの取組み拡大の後押しになっていくと考えられる。
 

 

Q.国内フェアトレード認証製品推定市場規模推移と国民一人当たり年間購入額推移

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コロナ禍により、外食産業(カフェ・レストラン、社員食堂等)は休業や営業時間の短縮対応もあり、売り上げ減となりましたが、一方で家庭内消費の大きな伸びによる売上増が見られ、市場規模全体としては前年比約106%の131億円となりました。国民一人当たりの年間購入額は104円と前年と比較すると6円増となり始めて100円を超えました。また、日本の産業界全体でSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが加速していることを受けて、企業のフェアトレードへの関心が高まっており、認証参加組織も増加したことも増加を後押しする結果となりました。
 

 

Q. フェアトレード認証製品推定市場規模と国民一人当たり年間購入額の諸外国との比較

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フェアトレード・インターナショナルの本部があるドイツと日本の市場規模を比較すると、ドイツは2374億円と、日本の約18倍。一人当たりの年間購入額が最も多い(※)スイスと年間購入額を比較すると、スイスは11,267円と日本の約108倍という結果となりました。欧州諸国で規模が大きい背景には、消費者の環境・社会問題に対する意識の高さや、フェアトレードの認知の高さも受けて、ビジネスも積極的にフェアトレードを取り入れる傾向があります。
(※)2020年に市場統計を公表している国の中の順位
 

 

Q.フェアトレードという言葉の知名度

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(出所:一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム)    

10代では8割近い方がフェアトレードという言葉を「知っている」と回答した一方で、年代が上がるにつれて知名度は下がる傾向にあります。この傾向は教育現場やメディア・コンテンツの変化を受けて今後さらに高まると考えられます。2020年度から学習指導要領に教育課程全体を通じて「持続可能な社会の創り手」を育むことが追加され始めたことにより、学習の場での「フェアトレード」への言及が増加しています。また若年層に人気の映画や、TVで「フェアトレード」というワードが使用されることも増えています。さらに、2021年には青山学院大学がフェアトレード大学に認定されるなど、学生主体の活動も盛んにおこなわれています。

【フェアトレードとは?】
フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」です。非フェアトレードの取引では、市場価格の情報や販売先の選択肢の欠如により、末端の小規模生産者は、安く買い叩かれてしまうことがあります。その結果、生産者の生活水準低下、コスト削減を目的とした児童労働、過剰な農薬による環境破壊や生産者が健康被害をうけるという問題が引き起こされます。フェアトレードは、人と環境に配慮して生産されたものを適正な価格で取引し、持続可能な生産と生活向上を支援する仕組みです。フェアトレードによる取引では、適正価格の保証・プレミアムの支払い、児童労働の禁止、環境に配慮した生産などが行われます。

認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJとは?】
公正な取引を通じた世界の貧困問題の解決、生産者の持続可能な生活の実現を目指し、1997年に世界各国のフェアトレード認証ラベル推進組織が設立した国際組織、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)の構成メンバーとして、日本国内における国際フェアトレード認証ラベルのライセンス事業、製品認証事業、フェアトレード の教育啓発活動を行う認定NPO法人です。
国際フェアトレードラベル機構は、開発途上国 72カ国・180万人以上の生産者・労働者と消費国30カ国メンバーが参加するグローバルなフェアトレード組織です。

 

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