脱炭素・CO2削減など、企業のSDGsの推進に繋がる取り組みはさまざま
■SDGsを知っている人は77.5% 全く知らない人は8.4%のみ
このところ、持続可能な社会の実現に向けて「SDGs」を推進する取り組みに力を入れる企業が増えています。
2021年の流行語大賞にもノミネートされたほど注目を浴びている「SDGs」ですが、働き手にどのように捉えられているのか、全国の20代~40代の男女に調査を行いました。
対象者に、「SDGs」について知っているか聞いたところ、「詳しく知っている」が23.8%、「少し知っている」が53.7%と知っている人が77.5%という結果になりました。「名前だけ聞いたことがある」が14.1%、「全く知らない」が8.4%のみなので、大多数の人に認知されていることがわかりました。
■脱炭素、CO2削減など、SDGs推進に繋がる取り組みを実施している企業は29.4%
現在勤務中もしくは、直近まで勤務していた企業で、SDGsの推進に繋がる取り組みをしているか聞いたところ、「はい」が29.4%、「いいえ」が44.1%、「わからない」が26.6%という結果になりました。
さらに、何らかの取り組み実施していると回答した人に具体的な内容を聞いたところ、「脱炭素化と合わせた環境にやさしい企業づくり」(40代・男性・企画)、「CO2排出削減」(20代・女性・運輸)、「ペーパーレス化」(20代・男性・営業)、「消費電力の低減化を目指した製品の開発」(40代・男性・クリエイター)」など、環境保全にまつわる回答が目立ちました。ほかには、「女性の管理職採用」(40代・男性・企画)などジェンダーにまつわるものから、「認知症カフェや在宅医療の推進、サポート」(40代・女性・管理)など医療や福祉に関するもの、「海外エンジニアを活用したグローバルな活躍支援など」(30代・男性・営業)など世界規模で働きやすさを考えたものなど、さまざまな分野においてSDGsの推進に繋がる取り組みがなされていることがわかりました。その一方で、「何かやってるのは知っているが、詳しくは知らない」(20代・男性・接客販売)など、実際の取り組み内容がわからないという回答もあり、取り組みを実施していても社員に浸透していないケースも一定数あることがわかりました。
▼企業のSDGsの推進に繋がる取り組み(回答者のコメントを一部抜粋)
「カスタマイズサービス、副資材やショッピングバッグの環境対応型素材への変更」(40代・男性・接客販売) |
■個人でSDGsに取り組む人は36.9% 今後始めたいとする人は51.5%
個人的にSDGs推進に繋がる取り組みをしているか聞いたところ、「はい」が36.9%、「いいえ」が63.1%という結果になりました。取り組みを実施中の企業は29.4%だったことを考慮すると、個人の取り組みのほうが若干進んでいるようです。具体的な内容を聞いたところ、「マイバック・マイボトルを持ち歩く、ごみの分別、必要なものだけ購入する」(40代・男性・管理)、「売れ残りの食材を活かした献立を考える。フードロスの削減」(20代・男性・システムエンジニア)など、企業の取り組みと同じく、環境保全に繋がる取り組みが大多数でした。産直通販サイトを利用して生産者から直接食材を購入することで、生産者を応援している人もいました。また、「女性の雇用や活躍推進に関するボトムアップ活動やカンファレンス参加、登壇」(40代・女性・企画)、「同窓会組織で女性のメンタリングネットワークの構築中」(30代・女性・企画)など、ジェンダーに関する取り組みも目立ちました。その他、支援活動を行う団体や企業の活動をサポートするため、継続的に募金や寄付に取り組んでいる人もいました。
現在、SDGs推進に繋がる取り組みをしていないと回答した人に、これから取り組みを始めたいか聞いたところ、「はい」が52.0%、「いいえ」が48.0%という結果となりました。始めたい理由としては、「子供たちが生きていく上で欠かせない観点になると思うため。まずは親として、意識した行動をみせたいと感じるから」(40代・女性・管理)など、将来を見据えた意見が多く挙がりました。一方、始めたくない理由としては、「スケールが大きすぎて、具体的に何をしていいかわからない」(40代・男性・製造)、「取り組む余裕がない」(30代・男性・事務)など、何をすれば良いのか、どのようにすれば生活の中で、取り組みを実施できるかがわからないという意見が大多数でした。SDGsの項目の多さがハードルとなり、足踏みしてしまう人も少なくないようです。
▼企業のSDGsの推進に繋がる取り組み(回答者のコメントを一部抜粋)
「車でなく極力公共交通機関使用」(30代・女性・営業) |
■SDGsの推進に力を入れている企業に転職したい人は74.1%
さらに、SDGsの推進に力を入れている企業に転職したいか聞いたところ、「とても思う」が27.2%、「やや思う」が46.9%と、転職したい人が74.1%と、「あまり思わない」(17.2%)、「まったく思わない」(8.8%)を圧倒しました。「SDGsはあらゆる差別の撤廃や雇用問題や労働問題の改善なども組み込んでいるため、それに本気で取り組んでいるなら、働きやすく、ハラスメントなどの少ない会社だと考えられる」(20代・男性・ヘルプデスク)、「社会的貢献度の高さと会社の良さは比例していると、現職で実感しているため」(40代・女性・管理)など、SDGsという社会問題に向き合う企業は顧客や雇用者も大切にすると考える人が多くいることがわかりました。企業が利益の追求にとどまらず、社会的責務を果たそうとしているかどうかは、企業選びの基準のひとつとなっています。一方、転職したいと思わない理由としては、「まだよく理解できていないため」(40代・男性・営業)など、SDGs自体がよくわからないから、企業選びの基準にはならないという意見が多数挙がりました。今後、SDGsがさらに浸透していけば、企業の評価基準としてSDGsを挙げる人が増えるかもしれません。
今回の調査では、SDGsに批判的な人も少なくありませんでした。例えば、SDGsは聞こえのいいものの、実際の効果がわからない、流行に乗っているだけで継続性が無いなどと、SDGsを一過性のものと捉える人が一定数いたことは見逃せません。また、企業がSDGsに取り組むことよりも、社員の給与待遇改善の優先を望む意見などもありました。企業に対して、SDGsの推進を単なるパフォーマンスにとどめず、社員を考慮した取り組みにしていくことが求められています。
最近では、SDGsと並びESG(環境・社会・ガバナンス)にも注目が集まっています。ESGを基準に企業を分析して投資する「ESG投資」も徐々に広まっています。今回の調査でも、企業の取り組みとして「グリーンボンドの販売企画、顧客へのESGの研修実施」(40代・男性・企画)、個人の取り組みとして「環境配慮企業に対する投資」(40代・男性・企画)など、ESGを意識した意見が挙がりました。ESGは、SDGsよりも企業経営に特化していますが、ESGへの注力により、結果的にSDGsの推進に繋がります。SDGsの個人の取り組みが一般化していく中で、転職希望者はこれまで以上に企業の取り組みに期待を高めていくことが予想されます。
■調査概要 調査内容 :SDGsについて 調査対象者:当社を利用している全国の転職希望者(20代~40代の男女) 有効回答 :320人 調査期間 :2021年11月30日~12月7日 ※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。 |