■本資本業務提携の概要
東洋製罐グループは、これまで時代によって変化する世の中の課題に対して真剣に向き合い、“日本初の自動製罐”や“世界初のレトルトパウチ”の発明など、容器のイノベーションに常に挑戦し続けています。100年以上続く長い歴史の中で培ってきた技術とノウハウを活用し、一人ひとりが抱える社会課題に向き合い、持続可能な暮らしを実現するオープンイノベーションプロジェクト「OPEN UP! PROJECT」を2019年10月より開始しました。共に社会課題の解決に取り組むスタートアップ企業とのパートナーシップを通じて、持続可能な未来の暮らしの創出を目指しています。
DAIZは、独自技術「落合式ハイプレッシャー法」をコア技術とするフードテックベンチャーとして、環境負荷が小さい次世代の植物肉「ミラクルミート」の研究開発・提供を通じて、タンパク質危機や地球温暖化の解決の一助となることを目指しています。
東洋製罐グループの、食をよりおいしく、長く、安全に保存し、多くの方に使い易く届ける包装容器の技術をはじめとした食品加工・保存のノウハウを融合することで、「ミラクルミート」は持続可能な食として活用の幅が広がります。両社の強みを活かし、事業開発にとどまらず、様々な地域やシーンで環境負荷や食糧危機といった課題を解決すべく、この度の資本業務提携に至りました。
● ミラクルミートの用途拡大
● 香りや食感、成分の特徴を活かした食品加工技術により、用途を拡大
● 飲料分野での経験を活かした新たな植物性食品の開発
● 流通形態の多様化
● 殺菌や充填の技術を活かした常温保存製品の開発やパッケージの検討
● 保存性を高め、賞味期限を延ばすことで食品ロスの削減
● 植物肉基材から包装容器までのトータルソリューション
● サステナブルな食材の生産、加工、充填、流通、消費、廃棄、再生のプロセスを検討
■東洋製罐グループホールディングス 代表取締役社長 大塚一男様よりコメント
この度、DAIZ社と資本業務提携を結び、環境負荷や食糧危機という私たちが直面する課題に、同じ志を持って取り組める事を大変嬉しく思います。
包装容器は食のインフラです。海洋資源の豊富な日本で取れた新鮮な魚は、缶詰に入ることで数年経っても全世界で美味しく食べることができます。その本質は、産業の発展や利便性だけではなく、社会課題の解決にあると信じています。必要な人や地域に食べ物、飲み物、生活用品を届ける。保存性を高めて食品ロスや飢餓を無くす。そんな包装容器の技術・ノウハウを活かし、ミラクルミートをより多くの方に適切なかたちで届けることで、様々な社会課題を解決できると信じ、一緒に歩みを進めてまいりたいと思います。
■DAIZ代表取締役社長 井出剛よりコメント
包装容器のリーディングカンパニーである東洋製罐グループ社と資本業務提携が実現したことをとても嬉しく思っております。東洋製罐グループ社は、シンガポールの著名な培養肉スタートアップShiok Meats社にもいち早く出資されるなど、「食と健康」の領域で早くからフードテックにご注目されていました。この度、植物肉の提携先として日本のDAIZを選んでいただいたことは大変光栄です。
DAIZは、日本が世界に誇る食品技術を結集して植物肉を世界中に届けたいとの想いから「オールジャパン構想」を掲げております。「新しいぶどう酒は新しい革袋に」という言葉の通り、次世代の植物肉「ミラクルミート」をどのような容器でお客様に届けるかによって、タンパク質危機やカーボンニュートラルといった社会課題の解決に貢献できるかどうかが決まるといっても過言ではありません。東洋製罐グループ社の鮮度保持技術や省資源容器を活用することで、海外向けの販路開拓や「ミラクルミート」の環境価値の訴求が進展するものと期待しています。
■サステナブルな世界の実現に寄与する植物肉
昨今、地球温暖化が私たちにとって大きな課題となっています。地球温暖化は、二酸化炭素・メタン・一酸化炭素・フロンなどの温室効果ガスが原因と言われています。温室効果ガスの最も大きな排出源は電力(火力発電など)ですが、同等に大きな排出源となっているのが、農業・畜産業*1です。世界で飼育されている15億頭もの牛による二酸化炭素や腸内ガス(メタン)の排出が温室効果ガスの大きな要因となっており、私たちの食生活の見直しが求められています。
また、2050年までに地球上の人口は100億人に達すると予測されています*2。世界的な人口増加と新興国の経済成長により、2030年にはタンパク質の需要に供給が追い付かなくなる「タンパク質危機」が起こり、タンパク質の需給がひっ迫することで、これまで以上に食肉価格の高騰が予想されています。そこで、「植物肉」が代替タンパク質として注目されており、その市場は世界で9兆円を超えると見込まれています*3。
牛・豚・鶏に次ぐ新たなお肉として注目されている植物肉は、温室効果ガスの排出を抑える効果が高く、同時にタンパク質危機の解決の一助となる植物性食品です。地球温暖化とタンパク質危機を防ぐため、私たちが今からできることは、植物肉を食生活に少しずつ取り入れることです。DAIZは植物肉「ミラクルミート」の普及を通じて、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の達成とサステナブルな世界の実現に向けて貢献して参ります。
*1 IPCC「Global Greenhouse Gas Emissions Data」より。
*2 国連推計「世界人口推計2019年版」より。
*3 UBS調べ。
■DAIZの発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」について
DAIZは長年研究してきた独自技術により、従来の植物肉で課題とされていた、①味と食感に残る違和感、②大豆特有の青臭さや油臭さ、③肉に見劣りする機能性(栄養価)を解決し、美味しい植物肉の開発に成功しました。
<DAIZの植物肉「ミラクルミート」の特徴>
特徴1.原料に丸大豆を使用
これまでの植物肉は、大豆搾油後の残渣物である脱脂加工大豆を主原料としていましたが、DAIZの植物肉「ミラクルミート」は原料に丸大豆を使用しています。さらに、オレイン酸リッチ大豆を使用することで、大豆特有の臭みを無くし、異風味を低減しています。
特徴2.旨味や栄養価を増大、肉様食感を再現する独自技術
味や機能性を自在にコントロールするコア技術「落合式ハイプレッシャー法」*4で大豆を発芽させ、旨味や栄養価を増大させます。その発芽大豆をエクストルーダー(押出成形機)*5にかけ、膨化成形技術*6により、肉のような弾力と食感を再現しています。これらの独自技術により、異風味を低減した植物肉「ミラクルミート」を製造しています。
特徴3.独自製法による価格競争力
旨味や栄養価が増大した発芽大豆を使用しているため、他の原料や添加物を何も足さずして、植物肉原料が完成しています。発芽タンクを用いた独自の製造プロセスにより、原価低減を実現し、牛肉・豚肉・鶏肉に対し、価格競争力があります。
▲DAIZの植物肉「ミラクルミート」の製造工程
*4 大豆の発芽中に酸素・二酸化炭素・温度・水分などの生育条件を制御し、酵素を活性化させることで遊離アミノ酸量が増加し、素材の旨味を引き出す栽培法。(特許第5722518号)
*5 食品加工時に使用される機械。材料に水を加えながら、高温下でスクリューで圧力をかけ押し出すことにより混練・加工・成形・膨化・殺菌等を行う装置。
*6 特許申請準備中。
■会社概要
商号:東洋製罐グループホールディングス株式会社(https://www.tskg-hd.com/)
代表者:代表取締役社長 大塚一男
本社所在地:〒141-8627 東京都品川区東五反田二丁目18番1号
設立:1917年6月25日
資本金:110億9,460万円
事業内容:容器包装製造をコアとした事業を展開するグループ会社の経営管理等
商号:DAIZ株式会社(https://www.daiz.inc/)
代表者:代表取締役社長 井出 剛
所在地:〒860-0812 熊本県熊本市中央区南熊本五丁目1番1号 テルウェル熊本ビル4階
設立:2015年12月1日
資本金:2億5,002万円 (累計資本調達額:45億円)
事業内容:発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」及びその他の植物性食品の開発・生産及び販売