埼玉工業大学、循環型農業を深谷の企業と共同研究 ~牧畜の地産地消を目指す深谷市畜産企業コンソーシアムを科学的に支援~

0
465
埼玉工業大学、循環型農業を深谷の企業と共同研究 ~牧畜の地産地消を目指す深谷市畜産企業コンソーシアムを科学的に支援~のメイン画像
 埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市、学長:内山俊一、略称:埼工大、https://www.sit.ac.jp/)は、尾熊牧場グループ有限会社ホームメンテナンス(本社:埼玉県深谷市、代表取締役:木村任)と、循環型農業(SDGs)に関する共同研究契約を埼玉縣信用金庫(本店:熊谷市 理事長:池田啓一)と一般社団法人さいしんコラボ産学官(代表理事:橋本義昭)の仲介により、2022年6月1日に締結しました。

 この共同研究は、本学工学部生命環境化学科(環境物質化学研究室)本郷照久教授の研究チームが、深谷地域の地産地消による牧畜活動の循環型農業を推進する深谷市畜産企業コンソーシアムの活動を科学的に支援するものです。
 本郷教授は環境化学の専門家として、地球温暖化防止に向けた二酸化炭素の回収・貯留技術、植物資源(バイオマス)から化学製品やエネルギーを生産する技術、汚染水・排ガスの安価で効果的な浄化技術の開発を研究しています。また、廃棄物を資源として活用する循環型社会を目指したシステムの開発も行っており、これらの研究活動を活かして本共同研究に取り組みます。
 

 

埼玉工業大学、循環型農業を深谷の企業と共同研究 ~牧畜の地産地消を目指す深谷市畜産企業コンソーシアムを科学的に支援~のサブ画像1_写真:共同研究調印式の出席した各代表者写真:共同研究調印式の出席した各代表者

<写真:共同研究調印式の出席した各代表者> 

埼玉工業大学、循環型農業を深谷の企業と共同研究 ~牧畜の地産地消を目指す深谷市畜産企業コンソーシアムを科学的に支援~のサブ画像2_図:深谷市畜産企業コンソーシアムによる循環型農業図:深谷市畜産企業コンソーシアムによる循環型農業

<図:深谷市畜産企業コンソーシアムによる循環型農業>

 循環型農業を推進する際に、牧畜農業の牛糞による堆肥製造時の悪臭問題があります。その臭気成分を定性・定量的に分析して臭いの原因物質を解明し、悪臭の低減策を探索し、臭気成分に効果的な吸着剤を農業廃棄物から作製することを目指します。また、メタン発酵残渣の成分を分析し、牛糞堆肥に適した植物を探求し、成分調整(チッソN、リン酸P、カリK)による差別化と付加価値化を目指します。さらに将来的には牛糞の積極的な活用として、メタン発酵によるエネルギー生産(発電)や発電されたエネルギーの貯蔵(バッテリー)の利用が期待されます。

 深谷市の尾熊牧場(代表取締役:尾熊 将雄)は『埼玉県彩の国優良ブランド』の認定を唯一受けているブランド和牛である武州和牛を県内で最も多く飼育しています。ここで飼育している牛(現在:約4,000頭)が増えることの対策から、発生する牛糞を発酵処理して堆肥化し、牛舎や関連設備の建築を手掛けているホームメンテナンスが堆肥を商品化します。

 埼工大は「深谷市アグリテック集積都市宣言」を支援しています。さらに今後、工業大学として学内の研究者の科学的な知見を活かして、地元深谷地域の地場産業の発展に貢献し、SDGs時代に対応した循環型農業の推進に向けた課題解決に向けて産学官連携で協力していきます。

●共同研究に関して
 本共同研究は「畜産における深谷地産地消の循環型農業(SDGs)に関する検討」を課題としています。今回の目標としては、①牛糞発酵による堆肥製造時の環境負荷軽減(臭気、その他粉塵,排水等)と、②製造される堆肥の窒素・リン・カリ含有量表記等、製品付加価値化です。
研究内容としては、臭気物質の定性・定量分析と、それらに適した吸着除去方法を検討します。また堆肥中の窒素・リン・カリの迅速な測定方法の確立と、堆肥成分の最適化に取り組みます。
 
<参考情報>
●関係各社

・尾熊牧場(株)
 尾熊牧場は埼玉県深谷市を拠点とする、黒毛和牛専門牧場である。『味を極める』をモットーに、本当においしい黒毛和牛の生産を追求し続けている。https://ogumabokujou.com/

・(有)ホームメンテナンス
 1997年に埼玉県深谷市にて設立し、現在は、太陽光発電設備の申請・設置・メンテナンスなどを手掛けている建築設営企業。地域に根差した経営を心掛け、近年では近隣牧場の牛舎や堆肥棟などの鉄骨建築事業まで手がけている。

●環境物質化学研究室
 物質化学の知恵や技術を使って、SDGsの達成を目指した研究を行っています。持続可能な社会を実現するためには、解決しなければならない様々な問題を抱えています。その中でも、地球温暖化問題、環境汚染問題、廃棄物・再生資源問題、エネルギー問題の解決に取り組んでいます。当研究室の研究成果の一部である「もみ殻のリサイクル技術」については、現在、そごう大宮店のサステナブル企画にてポスターを掲示中です(6月1日~30日)。https://hongolab.wordpress.com/

●埼玉工業大学工学部生命環境化学科について
 生命環境化学科では、生物学および化学を基盤とし、生命科学・環境科学・物質化学を教育研究の3本柱に据え、各専門分野の教育・研究を進めています。さらには食品・薬品・生活分野への展開や社会人・職業人への育成も、本学科の特色のひとつです。科学・技術だけではなく、総合的な思考力、実践力が身につくよう判断力や感性を磨き、現代社会の規範となる優れた技術者の育成と多彩な職業人の養成を目指しています。
・学科オリジナルHP https://dep.sit.ac.jp/lsgc/
・生命環境化学科 バイオ・環境科学専攻 https://www.sit.ac.jp/gakubu_in/kougaku/bio_kankyo/
・生命環境化学科 応用化学専攻 https://www.sit.ac.jp/gakubu_in/kougaku/oyokagaku/

●埼玉工業大学について
 1976年4月に現在の深谷市で大学を設置し、創立46年目を迎えます。埼玉工業大学は、工学部(機械工学科、生命環境化学科、情報システム学科)の3学科7専攻と、人間社会学部(情報社会学科、心理学科)2学科4専攻、計2学部11専攻で構成されます。大学院において、工学研究科では、「機械工学専攻」、「生命環境化学専攻」、「情報システム専攻」の3専攻があり、人間社会研究科では、「情報社会専攻」と「心理学専攻」の2専攻があります。学部学生、計2,392名、大学院生、計91名(2022年5月現在)が学んでいます。

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください