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喜界島のサンゴ礁を「100年後に残す」ためのモニタリング調査
NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所は、2022年9月24日(土)に喜界島にてリーフチェックを実施しましたので、その活動や調査結果についてご報告いたします。
日時:2022年9月24日(土)
場所:喜界島・荒木
主催:NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所
協力:ヨネモリダイビングサービス、BSAC Japan、コーラルネットワーク
リーフチェックとは、世界規模でサンゴ礁の「健全度」を調査するための、世界での統一手法によるボランティアベースのサンゴ礁モニタリング調査です。調査方法は、毎年同じ地点に側線を張り、側線に沿って決められた幅に生息する魚類や底生生物をカウントします。弊所では、2018年より毎年喜界島の荒木にある巨大ハマサンゴの周辺で調査を行って参りましたが、本年度よりその活動を広く一般のダイバーにも参加を呼びかけ、調査結果等は地元と共有できるような体制を構築したいと考えております。また、調査に際して前日の夕方に弊所研究員によるサンゴ礁の基礎知識の勉強会も行われました。
【調査結果】
調査は水深約5メートルの浅場と約10メートルの深場の2地点で魚類、無脊椎生物、底質の3項目に分けられて実施されます。魚類、無脊椎生物は商用やダイビングなどの観光利用が考えられる生物種をカウントし、底質の調査では造礁サンゴやソフトコーラル、岩や砂地など海底の構成物の割合を出し、造礁サンゴに関しては白化の割合の数値も計算しました。
海況にも大きく影響されますが、チョウチョウウオ科、ブダイ科、シャコガイなどの魚類と底生生物では、結果に例年と大きな差はなく調査中ところどころで観察することができました。一方、サンゴの食害生物であるオニヒトデは例年通り喜界島・荒木の調査地点では確認されておりません。
底質の調査では、浅場・深場ともにサンゴが占める割合は約60%で、その後にソフトコーラルや岩などが続きます。前回の調査と比較して、側線の若干のズレによる影響からか、サンゴが占める割合が10%以上増えておりますが、海底におけるサンゴの被度が高いことが依然として示されております。サンゴの白化は、浅場で9.68%(9/93群体)、深場で4.04%(4/99群体)が確認されました。
今回の調査では、4名のダイバーにご参加いただき、研究者とともに調査を実施することができました。弊所では今後も地域や一般の方々と連携して、地域の海の調査を持続可能なものにするとともに、調査結果も含め広く関心をもっていただきたいと考えております。メディア、報道関係者の皆様におかれましては、ご取材やご紹介をご検討いただければ幸いです。
※リーフチェックに関するお問い合わせは下記までよろしくお願いいたします。
NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所
〒891-6151 鹿児島県大島郡喜界町塩道1508
担当者名:椛島賢斗(かばしまけんと)
TEL:0997-66-0200 / FAX:0997-58-9335
メールアドレス:[email protected] /ホームページ:http://kikaireefs.org/
NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所は、国際的にも稀少な隆起サンゴ礁から成り立つ鹿児島県喜界島を拠点として海洋・地質に関る生物に関する調査・研究事業を行い自然科学の発展と普及に寄与することを目的とし、2014年から活動をはじめました。サンゴ礁サイエンスキャンプ・サンゴ塾・サンゴ礁文化の伝承などの教育啓蒙活動、サンゴの飼育・リーフチェック・観測などの学術調査を含め行政・研究者・大学と連携した活動を展開しています。