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~11月3日(木・祝)よりひろしま美術館からスタート~
三菱地所株式会社は、11月3日(木・祝)から来年2月にかけて、全国9会場にて、「第21回キラキラっとアートコンクール優秀賞作品展」を開催します。
「キラキラっとアートコンクール」(後援:文部科学省・全国特別支援学校長会)は、障がいのある子どもたちの可能性を応援したいとの想いから、国内初の障がい者アートライブラリー アートビリティ※1の協力を得て、2002年にスタート。歴代応募者の中からアートビリティの登録作家として現在27名が活躍するなど、子どもたちの才能を支援してまいりました。
本作品展は、21回目を迎える同コンクールの全応募作品1,006作品(38都道府県)の中から、審査会(1次審査、一般審査※2・三菱地所グループ社員審査、本審査)を経て選ばれた優秀賞50作品を札幌から福岡まで全国9会場で展示するものです。また本年8月8日(月)には高松空港にて「みんなで描こう!『かがわ・わくわくため池』」と題した体験型ワークショップを開催し、アートビリティ登録作家を講師に迎え地元の子どもたちと絵画を共同制作しました。ワークショップ作品は一部の会場で展示予定です。
11月10日には優秀賞受賞者及び関係者にご視聴いただく、受賞者のつどいを開催いたします。
※1 アートビリティ・・・1986年に社会福祉法人東京コロニーが設立した障がい者アートライブラリー。現在約200名の作家による約6,000点の作品がストックされ、印刷物等の媒体に貸し出されています。
※2 一般審査・・・丸ビル1階マルキューブで開催し、丸の内地区の就業者・来街者に参加いただきました。
本作品展の各会場では、自由なテーマで子どもたちが思いのままに表現し描いた個性豊かな作品に対し、来場者からメッセージを受け付け、今後の励みにつながるよう、受賞者本人にお渡しします。
また、全応募作品がコンクールホームページで公開されるほか、これまでの応募作品には様々な企業の冊子の表紙やカレンダーなどに使用されているものも多く、子どもたちの作品は、審査会、作品展、作品使用等を通じて、多くの人に感動を与えています。
三菱地所では、本コンクールが子どもたちの優れた才能を評価・発掘・展示する機会となり、子どもたちが絵を描く楽しみや喜びを増し、芸術活動の裾野が広がることを願い、応援してまいります。
優秀賞・全応募作品をホームページ(https://kira-art.jp)にて公開しています。
- 開催概要
①名称
第21回キラキラっとアートコンクール優秀賞作品展
②日程
【広島 ひろしま美術館 1階 第5展示室 】
2022年11月3日(木・祝)~11月6日(日)9:00~17:00(入館16:30まで)
広島市中区基町3-2
【高松 高松空港 2階国内線出発ロビー】
2022年11月10日(木)~11月15日(火)10:00~18:00
高松市香南町岡1312-7
【仙台 泉パークタウン タピオ 南館1階ノースコート】
2022年11月25日(金)~11月27日(日)10:00~20:00
仙台市泉区寺岡6-5-1
【札幌 マルヤマクラス 2階イベントスペース】
2022年12月9日(金)~12月11日(日)10:00~20:00
札幌市中央区南1条西27丁目1-1
【大阪 OAPタワー 1階エントランス】
2022年12月23日(金)~12月25日(日)10:00~18:00
大阪市北区天満橋1-8-30
【東京 丸ビル 1階マルキューブ】
2023年1月5日(木)~1月9日(月・祝)11:00~19:00
千代田区丸の内2-4-1
【福岡 MARK IS 福岡ももち 2階ももステ】
2023年1月20日(金)~1月22日(日)10:00~21:00
福岡市中央区地行浜2-2-1
【横浜 ランドマークプラザ 3階】
2023年2月10日(金)~2月12日(日)11:00~18:00
横浜市西区みなとみらい2-2-1
【名古屋 大名古屋ビルヂング 地下1階アトリウム】
2023年2月23日(木・祝)~2月26日(日)11:00~21:00
名古屋市中村区名駅3-28-12
③入場料
無料
④応募作品
・応募資格:何らかの障がいのある応募年齢18歳までの幼児・児童・生徒
・応募期間:2022年7月15日(金)~9月9日(金)
・作品規定:課題は自由。水彩、油絵、版画、パステル、鉛筆、貼り絵、切り絵、墨絵(習字は除く)など平面表現のもの。
サイズは規定(最大で509mm×660mm(小全紙)、最小でA4サイズ程度)。
- 審査員講評 ※肩書きは2022年11月時点
■O JUN氏(画家・東京藝術大学名誉教授)
第21回キラキラっとアート絵画コンクール1,006点の作品を審査しました。1,000点を超える絵は毎回のことながら壮観です。でも審査はとても困りました。毎年そうです。応募数が多いからではありません。1枚1枚の絵の違いに目を奪われるからです。それぞれが見ている物や事。感触、聴こえたこと、思い、場所、空気、光が、たとえ同じことを体験しても皆さんそれぞれに感じていて、そのことが絵に描かれているからです。その違いに私たちは目を奪われ、言葉や息を呑んで1枚1枚見るので骨が折れるのです。ですがそれは皆さんの絵の魅力と交換された証ということです。なので、審査が終わると入選外の別なく大きな喜びに交換されました。
ところで審査をしていて一つ気になることがありました。学校の授業で描いたのか同じ材料やテーマで描いている絵がありました。そのため似たような絵がたくさんありました。それぞれはよく見ると違うのですが、たくさん見ていると“違い探し”をしそうになっている自分に驚きました。面白い絵の授業だったのでしょう。先生も生徒の充実した制作ぶりや方法に自信をもって応募してくれたのだと思います。もしできたら…の話です。たとえば、1年間を通して授業で描いた絵の中から作品をピックアップするというのはどうでしょう。すると一人一人の絵の特徴や違いや魅力がさらに見えてくる気がします。先生方の仕事も増えますし、私たちの審査もより大変になることと思います。でも、そのぶん後の喜びも倍増することでしょう。
生徒たちに絵の指導をしてくださる先生方、励ましてくださる親御さんたちにお礼申し上げます。彼らの素晴らしい絵と皆さんのご苦労を交換して喜びましょう。
■青栁 路子氏(東京藝術大学准教授、教育研究者)
本年度のコンクールも、魅力ある作品にあふれていました。優秀賞の作品を観ると、描かれたものによって作品一点一点が異なるのはもちろんのこと、どのような画材を用いるか、紙やキャンパスなどの支持体を何にするかによって多様な表現が生まれるということを改めて実感させられます。
子どもたちは用いやすい、描くのに心地よい画材を手にとって、表現しやすい方法を選びながら、絵画を描いているのだろうと思います。なかには少し扱うのが難しい画材や表現方法に挑戦した子どもたちもいるでしょう。そうした子どもたちの姿を、作品一点一点をじっくり向き合って観ていくことで感じることができます。そしてタイトルを手がかりに作品を観ていくと、子どもたちの思いもより伝わってきます。
今年度の応募作品のなかには、新型コロナウイルスの影響で叶わなかった、旅行に行くことができた思い出を描いたというものがありました。これまでの制約が少しずつ緩和され、描こうという思いを抱いたり掻き立てられたりする体験が子どもたちの日常に戻ってきたのだろうと思います。描きたいものを描く、表現する子どもたちの時間と空間とともに、子どもたちの生きる日常がこれからも豊かなものであるように願います。
■西田 克也氏(西田克也デザインオフィス グラフィックデザイナー)
第21回キラキラっとアートコンクールの審査期間ざわついていたココロが、コンクールが無事終了して、どうやら平静を取り戻したところですが、兎にも角にも、こんな時節柄、審査を全うできて正直ホッとしています。そうして今、講評を書くために今回出逢ったキラキラの作品たちを思い返そうと、風化しつつある記憶の襞をがむしゃらに手探りしていると、炙り出しのように現れる作品が何点かありました。
その具体的なディテールを言い表すのは難しいのですが、それは大きく描かれた恐竜の目であったり、ちょっと哀しげにこちらを見つめる白い犬(記憶違いかもしれませんが)の眼差しだったり、画面いっぱいに描かれたポケットゲーム機の黒い液晶画面だったり・・・。一次審査でこれらの作品を僕が選んだことは確かだと思いますが、本審査で優秀賞の候補として選んでいるかどうかの記憶は、実はあいまいなのです。
それは、一次審査の広い会場に並べられた沢山の作品の中から、自分の(ちょっと錆び付いてはいるものの)感性の赴くまま直感的に選び取った候補作品と、本審査の、候補作品150点全てが一堂に会した会場で、行きつ戻りつしながら選んだ場合とでは同じ作品でも印象が違って見えるからじゃないかと、作品選びのぶれの言い訳をしながら、だから、選ばれた優秀賞50作品が額装されて展示される優秀賞作品展の開催が待ち遠しく、開催会場でそれらの絵が今度はどんな印象で立ち現れてくるのか、今から楽しみで仕方がありません。
■髙橋 宏和氏(社会福祉法人東京コロニー アートビリティ代表)
第21回キラキラっとアートコンクールの審査会においても個性が光る作品が多く、優秀賞を選考するにあたり大変悩ましい場面がありましたが、時には審査員同士で協議をしながら、1,000点を超える応募作品から優秀賞50作品を選考させていただきました。優秀賞に選ばれた応募者の皆様、改めておめでとう御座います。
決められた応募期間の中で思い通りの作品が描けたでしょうか。作品からは、何度か描き直した様子が窺える作品も多く、もう少し時間があればという声が聞こえてきそうな作品がいくつかありました。普段の生活でも目標を立てて、計画通りに進められない場合は対策をし、計画通りに進められるように工夫することの連続です。
本コンクールにおいて、満足のいく作品を予定通り完成させる過程は、普段の生活でも皆さんが経験していることだと思います。思い通りの作品を描けた方、思い通り描けず悔しい思いをした方も、何らかの形で今回の経験を活かして欲しいと願います。
未だ続くコロナ禍で作品応募に関する影響を心配していましたが、今年も全国から1,000点を超える作品が集まりました。絵を完成させた時の達成感や充実感を忘れずに、今後も絵を描き続けて欲しいと思います。これからも審査員を更に悩ませる新たな作品のご応募をお待ちしております。
■吉田 淳一(三菱地所株式会社 執行役社長)
今年度も全国から多くの作品を当コンクールにご応募頂きました。子ども達はもちろん、関係各位のサポートに深く感謝いたします。
作品審査では、生命の潤いや温かさ、世界観の深みが直感的に感じられる作品が幾つも目に留まり、心を揺さぶられました。年齢や障がい等、様々な違いがある中で、優秀賞を選んでいくことには常に難しさを感じています。
文化芸術は、街にとっても潤いや豊かさを彩る大きな要素だと思います。単体で素晴らしい作品を生み出すだけでなく、今や介護やリハビリ、リラクゼーション等、WELL-BEINGという観点で新しい分野に繋がっていく可能性があり、その研究が進んでいるという話を聞きます。世の中でアートをどう活用していくかという提案の一つとして、アートを街という空間に息づかせ、就業者や来街者、アーティストが互いに豊かさを享受する、そのような姿を想像し、自由な創作空間をアーティストに提供する等、当社としても一歩を踏み出しているところです。
このコンクールは全国での作品展の展開等、色々な街で多くの方々に楽しんでもらっており、すでにこれから先の街づくりのための重要な嚆矢になっているように感じていますし、今後ともこのコンクールが、引き続き街に住まう人々の心の豊かさを育んでいくものとなるように努めてまいりたいと思います。どうぞ変わらぬご愛顧を宜しくお願い申し上げます。
■野口 玲一(三菱一号館美術館 上席学芸員)
新型コロナ感染症を気にかけながらの生活にはもう慣れたでしょうか。前回の審査までは、皆さんが制約のある暮らしの中でどのように感じ、描いているのか心配していたのですが、なぜか今回はあまり気になりませんでした。感染症の影響がだんだん緩んできたのか、あるいは今の生活様式に当たり前になじんでしまって、そのような中でもそれぞれに新しい発見があり、それを楽しむことが出来るようになっているのかもしれません。思い思いの表現が感じとれる作品がたくさんあってホッとしました。
だから今回の審査は楽しかったです。描く喜びが伝わってきたり、描くときの発見が伝わってきたり、それぞれの声が聞こえてくるようで、作品と対話するような気分で観ることが出来ました。でもその中から優れた作品を選ぶとなると大変です。なぜってどの作品も素敵だから。よく考えて選んだつもりですが、結局は自分の好みも入ってしまったと思います。
ですので賞を取れなかったとしても、入選できなかったとしても、がっかりしないでください。それはそれぞれの作品に表現されていることが、こちらに見えなかっただけなのかもしれません。次の機会には見つけられるかもしれませんから、描き続けてぜひまた出品してくれたら嬉しいです。
- 審査の様子
【参考】「大丸有SDGs ACT5」
10月12日~13日開催の一般審査は、大丸有SDGs ACT5のテーマの一つ「ダイバーシティ&インクルージョン」のアクションとして大丸有ワーカーや来街者も参加可能な審査会として開催しました。大丸有SDGs ACT5とは、東京駅前、大手町・丸の内・有楽町地区(以下、「大丸有エリア」)を起点として、大丸有エリア内外の企業・団体が連携し、SDGs達成に向けた活動を推進するプロジェクトとして、2020年に始動した取り組みです。
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2022年は「サステナブルフード」「環境」「WELL-BEING」「ダイバーシティ&インクルージョン」「コミュニケーション」の5つのACT(テーマ)を設定し、各アクションの実践、効果の検証、そして社会課題の構造的な問題を明らかにすることをミッションとしています。