目次
10億人の子どもたちが、気候変動のリスクが極めて高いと分類された33カ国で生活
2022年11月6日(日)から11月18日(金)にかけてエジプトのシャルムエルシェイクで開催される国連気候変動会議(COP27)に際し、国際NGOプラン・インターナショナル(所在地:東京都世田谷区 理事長:池上清子 以下、プラン)は、世界中のリーダーが、気候変動の大きな影響を受けている途上国との連帯を示し、気候変動に最も脆弱な国々に住む30億人以上の人々の側に立ってあらゆるレベルでの政治的リーダーシップ、行動、協力を示すことを求めます。
世界人口の40%を占める現代の子どもや若者たちには、大きな試練が待ち受けています。10億人の子どもたちが、気候変動のリスクが極めて高いと分類された33カ国のいずれかで暮らしています。
社会から疎外されたコミュニティの子どもや女の子、若者や女性たちは最も大きな影響を受けているにもかかわらず、彼らは気候変動に関する交渉や意思決定の場からほとんど排除され、その存在感は極めて希薄です。プランは、世界のリーダーに対しCOP27において損失と損害に対する資金調達に関する政治的決定を行い、最前線にいる若者の視点と行動への呼びかけを受け止めることを訴えます。
損失と損害(ロス&ダメージ)とは?
気候変動が引き起こす損失と損害(ロス&ダメージ)は、現在の若者たちが直面する最大の世代間不公平性です。
洪水、暴風雨、干ばつ、熱波、山火事などの異常気象は、年々その頻度と深刻さを増しており、人命、土地、海岸、生活、作物、生態系、生物多様性、インフラなどの損失につながっています。
気候変動による損失とは、失われたもの、取り戻せないもの、例えば、人命の損失、生物多様性、文化遺産、先住民族の知識の損失を指します。気候による損害とは、家屋、学校、病院、道路、橋など、復旧や修理が可能なものを指します。
損失と損害の影響は、不平等の拡大、飢餓、教育や保健サービスへのアクセスの欠如、生活への脅威、愛する人の喪失といった形で、若者や子どもたちに影響を及ぼします。
特に女の子や女性は、ジェンダー不平等が原因で、性と生殖に関する健康と権利、教育、安全、生計の面で女の子ならではの障壁に直面しています。危機の時代においては、有害な社会規範やジェンダー規範の圧力が増し、早すぎる結婚(児童婚)、強制結婚、ジェンダーに基づく暴力、無償ケア労働の増加や、就学の制限になど、より大きな影響を受けてしまいます。
世界中のリーダーは、気候変動の影響を最も受けている途上国との連帯を示し、現実的かつ科学的、実践的な行動を約束することで、損失と損害の資金メカニズムの構築や気候変動に適応する取り組みの拡大を支援する必要があります。最も影響を受ける国やコミュニティにおける損失と損害への取り組みにおいては、世代間の公平性やとジェンダー平等を推進するための行動が緊急に必要とされています。
【プランからの提言】
1. 現代の子どもや若者、特に女の子と若い女性は、気候危機の影響により人生が変わってしまうような重大な局面に直面している。世代間の公平性、ジェンダー平等と包摂を考慮し、損失と損害に対処し、最も弱い立場に置かれた子どもと若者たちの現在および将来のニーズを満たし権利を実現するための資金を早急に拠出すること。そのために、損失と損害の資金メカニズムの運用を可能にし、実施することを約束すること。
2. 2019年のCOP25サンティアゴ会議(マドリードで代替開催)で設置された、政府・国際機関・NGOが連携する「サンティアゴ・ネットワーク」の損害と損失に関する運営を進める中では、子どもと若者の権利、ジェンダー平等、世代間公平性を優先させること。若者、特に女の子や若い女性たちは、技術支援や知識、技能を習得する機会が制限され、さらなる障壁に直面している。気候変動による損失や損害に直面した際、彼らが回復力を持てるよう、サンティアゴ・ネットワークを強化すること。
3. 最も高いリスクに直面している人々の意見に耳を傾け彼らの有意義な参加を確実にすることで、多次元的かつ交差的な根拠に基づく政策を策定すること。損失と損害に対処するためのプログラム、気候変動対策の緩和策と適応策、国が決定する貢献や行動計画の策定と実施など、若者たちが関与する必要のある協議と実施プロセスにおいて、若者は十分な存在感を示せていない。若者は、「地域主導の気候変動適応原則」に沿って、気候に関する意思決定プロセス全般に有意義に関与し、優先的に参加を認められなければならない。
4. 最も気候変動の影響を受けている国やコミュニティが、年齢、性別、交差性※に配慮した包括的な戦略や行動計画を策定するために、確固たるアプローチを用いて損失や損害のリスクを評価できるよう支援すること。
※交差性:人種・国籍・性別・性的指向・社会的階級・宗教・障害などの差別を個別の問題と捉えるのではなくて、交差し合ってるもの、または重なり合っているものとして捉えること。
プラン・インターナショナルは、女の子が本来持つ力を引き出すことで地域社会に前向きな変化をもたらし、世界が直面している課題の解決に取り組む国際NGOです。世界75カ国以上で活動。世界規模のネットワークと長年の経験に基づく豊富な知見で、弱い立場に置かれがちな女の子が尊重され、自分の人生を主体的に選択することができる世界の実現に取り組んでいます。 |