【現地レポート】食料自給率の健全化を目指して エジプト農機貸出管理の現状とDXに向けた課題

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ウクライナ危機で農業発展が喫緊の課題に 好調な経済の裏に深刻なDXの遅れ

デジタル貿易プラットフォームの開発・提供を手がける株式会社STANDAGE(東京都港区、代表取締役社長:足立彰紀、以下スタンデージ)は、外務省から業務委嘱先として選定を受けた「無償資金協力に関する事前調査」のため、23年1月、エジプトにおける農機貸出管理の現状調査を行いました。好調な経済発展を続ける一方、ウクライナ危機によって食料自給率の向上が急務となっているエジプトにとって、農機稼働の効率を高め農業を発展させることは非常に重要です。
スタンデージは今回、日本がかつてODAで供給したものを含む農機貸出センター全134か所のうち11か所を訪問しました。調査によって、貸出の管理がすべて紙の帳簿で行われていること、壊れた農機の修理手配が複雑で効率よく農機が稼働していないこと、従事者の平均年齢が40代以上と高くPCを扱える人員がいないことなど、数々の課題が明らかになっています。

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エジプトはパンを主食としており、小麦の国内需要は非常に高いものの、国内での生産量では自給量を賄うことができず、他国からの輸入に頼っています。
昨今、主要な輸入先であったロシアとウクライナの情勢が不安定なことから、自給率の向上が急務となりました。
日本は1980年代、ODAにてエジプトに農機を提供するとともに、農機の貸出センターを設立しました。本調査案件は、現在でも紙ベースでの管理が続いている農機貸出をデジタル化することで、農機の稼働率を高め、小麦をはじめとした農産物の国内自給率向上に貢献するものです。
※詳細は2022年11月発表のプレスリリースをご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000033629.html

エジプトの総耕作面積は国土全体の3.88%にとどまりますが、そのなかでも日本が積極的にODAによる支援を行ったデルタ地域の耕作面積割合は他地域よりも高い水準にあります。
今回はエジプト農業省へのヒアリングを実施するとともに、エジプト国内に全134か所存在する農機貸出センターのうち、耕作面積割合の高いデルタ地域を中心に11か所を訪問。調査を通して現在稼働している農機貸出センターの業務の全体像を把握し、考察を行いました。
 

  • エジプト農機貸出管理の現状

調査を通して明らかになった主な課題は下記の通りです。

1)貸出に関するあらゆるプロセスがすべて紙ベースでの管理

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サービスの依頼、機械在庫状況の確認、貸出料金の計算、注文書の作成、支払いといった農機貸出の一連のプロセス、および貸出センターにおける日程表の管理、セキュリティーチェックなど、すべての管理が紙ベースによる手作業で行われています。
過去の記録は整理されていない状態で、貸出センターの棚に積み上げられています。

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また、どの農機が現在貸出可能かを管理するシステム等は存在しないため、貸出依頼が入るたびに担当者に電話で確認したり、実際に人が農機の稼働状況を確認しに行ったりする必要があります。

2)補給部品の供給フローが煩雑 稼働可能な農機が少なく非効率
今回訪問した11か所の貸出センターでは、修理用の部品供給が行き届かないために、稼働していないコンバインやトラクタが多数見受けられました。

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補給部品を依頼して修理やメンテナンスを行うためには紙の書類で、かつ複雑なフローを経る必要があるため、部品供給の効率が悪く、満足に補修が行われていないことが原因です。

3)従事者の年齢が高くPCを扱える人がいない
今回訪問した11か所の貸出センターにはPCや印刷機は存在せず、すべて紙での管理で運営がされていました。国から雇用されている職員の数は実務量に比べて潤沢なものの、40~50代以上がほとんどで、どのセンターにもPCを扱うことのできる職員はほとんどおらず、これがデジタル化やシステム化の遅れの一因であると考えられます。
 

  • 見解・所感

現地での調査を通して、農機貸出プロセスが非常にアナログであるということと同時に、農機の修理やメンテナンスに必要な部品の供給フローがアナログかつ非効率であり、これが現存する農機を効率良く活用できず農業活性化を阻んでいる原因のひとつであるということが分かりました。

今回浮き彫りになった前述の課題に対し、スタンデージはGPSを活用した農機の位置情報把握システムや、料金計算マクロと連動したオンライン農機事前予約システム、修理・メンテナンス用部品の在庫管理システム等の導入が解決策になりうると考えています。
しかしながら、各センターにはPCやWiFiといった設備すらなく、紙に頼った管理が行われていること、そして従事する職員すべてがPCを扱うことができないことから、デジタル化の手前となるインフラの整備、およびPCや管理ソフトの教育から始める必要があります。

また、実務量に見合わない数の職員が従事していることに関しては、過去の政権の意向によって貸出センターの職員を大幅に増員したという経緯があるということが、今回の調査で明らかになりました。安直なデジタル化は職員の雇用を奪うことにも繋がりかねないため、現場との擦り合わせを綿密に行いながら進めていくことも求められます。

エジプトをはじめ、アフリカ地域の近年の発展は著しく、人口増加や富裕層の台頭、仮想通貨のカルチャー的浸透、投資の加速など、景気の良いニュースが日々飛び交っています。
一方で、今回のエジプトのように、国家レベルの根深い問題がビジネスや国の発展を阻んでいるケースが未だ数多く存在しているのも事実です。
2017年の創業当初からアフリカ地域に注力し、現地に4拠点を擁するスタンデージは、今後もアフリカの発展に貢献すべく、社会課題と真摯に向き合いながらビジネスに取り組んでまいります。
 

  • スタンデージについて

2017年3月設立。同年12月にナイジェリアオフィスを設置し、21年にはケニア、南アフリカ、エジプトにも現地法人を設立。貿易の売り手と買い手のマッチングから、決済・ファイナンス、貨物配送に至る、全ての貿易業務を完結できるデジタル貿易総合サービス「デジトラッド」を提供。新興国との決済においてはブロックチェーンと暗号資産を活用し、安全・安価・迅速な支払いシステムを開発。商社機能×テックによって、国内の中小企業と全世界がシームレスにつながる社会の実現を目指す。
◇「デジトラッド」サービス公式サイト:https://standage.co.jp/digitrad
 設立  2017年3月
 代表者 代表取締役社長 足立 彰紀
 資本金 5億4,824万円(2億7,262万円の資本準備金を含む)
 URL  https://standage.co.jp/
 

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