環境エネルギー分野のイノベーション創出を加速するため、CIC Tokyo及びU3イノベーションズは7社のCore Memberと共同で、環境エネルギーイノベーションコミュニティ(以下「本コミュニティ」という。)を立ちあげ、2021年8月24日にキックオフイベントを実施しました。環境エネルギー分野でのイノベーション創出に取り組む7社はCore Memberとして本コミュニティの運営に中心的な役割を果たしていただきます。本コミュニティの活動としては、スタートアップの創出支援・探索から、成長支援を行うとともに、特定の社会課題を設定した上でスタートアップとCore Membersの協業を促進する実践型イノベーションプログラムを実施します。この実践型イノベーションプログラムに参加するスタートアップを9月30日まで募集します。
1. Core Memberおよびコミュニティパートナーについて
本コミュニティの運営のため、環境エネルギー分野のイノベーション創出に取り組む企業を募り、以下の企業に運営に中心的な役割を果たすCore Memberとしてご参画いただくことが決まりました。なお、Core Memberは今後さらに追加される予定です。
- 株式会社INPEX
- ENEOSホールディングス株式会社
- 関西電力株式会社
- 積水化学工業株式会社
- 双日株式会社
- 東京ガス株式会社
- 三菱電機株式会社
2. 実践型イノベーションプログラムに参加するスタートアップの募集
本コミュニティの主要な活動として、特定の社会課題の解決に向けてスタートアップと大企業の協業機会を生み出し、さらには自治体、中央省庁、投資家などのステークホルダーとの連携を加速する、実践型イノベーションプログラムを実施します。具体的には、Core Member各社が独自に持つ課題やその解決のために求める技術領域などを提示、課題解決への貢献が期待されるスタートアップを募集します。選ばれたスタートアップはCore Memberとの協業可能性を探索することで、Core Memberが提供する事業フィールドやアセットを活用、さらに自治体・中央省庁などとも連携しながら、社会実装に向けた実践の場を得ることができます。
この社会課題解決型のイノベーションプログラムは、一定期間、1つの課題(イシュー)に取り組み、初年度は1年間で2または3イシューの実施を予定しています。
1) 2021年度1つ目の社会課題(2021: Issue 1)
住宅の脱炭素化
2) 背景
「2050年カーボンニュートラル宣言」に伴い、全ての部門において二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量実質ゼロが求められ、それは家庭部門についても同様です。住宅については、1980年に省エネ基準が設けられたのち段階的に改正・強化が進み、近年は国をあげて年間の一次エネルギーの消費量の収支をゼロにするZEH(ネットゼロ・エネルギー・ハウス)推進などの取り組みが進められています。しかし、ZEHのさらなる普及や既存住宅を含めた脱炭素化は未だ途上であり、新たなテクノロジーによる一層の脱炭素化推進と、その結果としての住宅関連市場の拡大が期待されます。
3) 求めるスタートアップ・テクノロジー・製品・サービスの例
- 〔建材・マテリアル領域〕住宅の省エネルギー性向上やライフサイクル全体での脱炭素化に資するもの
- 〔エネルギーマネジメント領域〕住宅に関わる設備・機器(創・蓄エネ機器、家電、照明など)のエネルギー利用の効率化に資するもの
- 〔集合住宅向けビジネス領域〕高層マンションを含む集合住宅における再エネ利用促進など脱炭素化に資するもの
- 〔モビリティ・V2H領域〕自家用車のEV化促進および利用の効率化に資するもの
- 〔建設テック領域〕住宅の建設やリフォームの効率化や脱炭素ソリューション強化に資するもの
- 〔不動産テック領域〕不動産産業における脱炭素価値の可視化と流通促進などに資するもの
4) テーマオーナー
「Issue 1: 住宅の脱炭素化」では、以下のCore Memberがスタートアップとの協業に取り組みます。
- 積水化学工業株式会社
- 他1-2社(9月17日の課題説明イベントにおいて説明予定)
なお、「Issue 1: 住宅の脱炭素化」では、上記のテーマオーナーとの連携に留まらず、他のCore Member等との連携や資金調達を探る”オープン枠”でのスタートアップを採択する予定です。そのため、(3)に示すような幅広い領域にて住宅の脱炭素化に貢献できるスタートアップは全て採択の対象となる可能性がありますので、自社の技術やサービスが住宅の脱炭素化に活かせそうと可能性を感じる方は、是非応募をお願いします。思わぬ協業を生む可能性がある、それがコミュニティ型の実践プログラムです。
5) 応募資格
- 設立して10年以内のスタートアップであること、又は企業の中で新規事業を検討してる部門であること。
- 「Issue 1: 住宅の脱炭素化」に関心をもち、環境エネルギーイノベーションコミュニティのCore Memberとの協業を希望していること。
- 実践型イノベーションプログラムへの参加にあたり、事務局(CIC Toranomon合同会社及びU3イノベーションズ合同会社)の指示に従う意思があること。
6) スケジュール
- 公募期間:2021年9月1日から2021年9月30日23:59まで
- Core Memberによる課題説明:2021年9月17日(金)18:00-19:30
- 課題説明イベントの詳細と申込:https://energy-environment-reverse-pitch-1.peatix.com/view
- 採択通知:10月上旬(予定)
- 採択者によるピッチ:10月13日 (水)18:00 – 20:00(予定)
- プログラム実施期間:2021年10月1日から2021年12月31日まで
7) 応募要領
応募にあたっては、以下の応募要領をご確認ください。
https://docs.google.com/document/d/1va6yfRs3TTr_8xSnMxlhZSstsU__4nc54o6pP663PYg/edit?usp=sharing
8) 応募方法
以下の応募フォームよりご応募ください。
https://forms.gle/cDxFPGV2iKtLPsY29
3. キックオフイベント開催レポート
2021年8月24日には本コミュニティの立ち上げのキックオフイベントをCIC Tokyoにて行いました。当日はオンライン参加とオフライン参加のあわせて380名の参加がありました。
【開催概要】
開催日:2021年8月24日 18:00-20:30 (17:30開場)
開催場所:CIC Tokyo(東京都港区虎ノ門 1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階)& オンライン
参加費:無料
1) ご来賓のあいさつ
イベント開会にあたり、経済産業省 産業技術環境局 エネルギー・環境イノベーション戦略室室長 河原様及び環境省 大臣官房総合環境政策統括官グループ 総合政策課 環境研究技術室室長 加藤様より環境エネルギー分野におけるスタートアップや本コミュニティへの期待をお話しいただきました。
河原様には、環境エネルギー分野に特化とした日本初のイノベーションコミュニティ立ち上げの歴史的瞬間に携わることができて運命的なものを感じる、という期待とともに、経済産業省からのサポートに前向きな姿勢を表明いただきました。
また、加藤様にはこれまでの環境省の取り組みとともに、本コミュニティの重要性や期待の声をお話いただきました。
2) 環境エネルギー分野に集まる注目
SDGs分野での投資を行うMPower Partners ゼネラル・パートナー 村上様より、世界中で高まる環境エネルギー分野の注目や、気候変動に関わる情勢についてお話しいただきました。
村上様はアメリカを一例に世界での環境エネルギー分野への関心の高まりや投資の集まりとともに、スタートアップが国際的に果たす役割をお話しいただきました。
3) 環境エネルギーイノベーションコミュニティの立ち上げについて
CIC Tokyo General Managerの名倉より、今回の環境エネルギーイノベーションコミュニティ立ち上げの主旨と活動を紹介させていただきました。これまでにCIC Tokyoで行ってきた、環境エネルギー分野のコミュニティの活動から得られた実感や、今後のコミュニティの活動の概要を説明しました。
4) パネルディスカッション1 "環境エネルギー変革の時!新産業立ち上げに向けたプレイヤー集結!"
最初のパネルディスカッションとしては、スタートアップ、研究者、大企業の立場から環境エネルギー分野のイノベーションについて議論いただきました。環境エネルギー分野ならではの難しさをコミュニティで解決するために、本分野で変革を起こすために必要なプレイヤー像やそれらのプレイヤーが交わりコラボレーションが生まれる場を作るためにはどうしたら良いか、またそのために本コミュニティが果たす役割や期待されるところについて様々な視点でお話し頂きました。
・モデレーター
竹内 純子氏 / U3イノベーションズ合同会社 創業者&共同代表
・パネリスト
高倉 葉太氏 / 株式会社イノカ 代表取締役CEO
浅井 誠氏 / 株式会社アークレブ 代表取締役社長CEO & 共同創業者、慶應義塾大学グローバルリサーチインスティチュート 特任教授
徳富 大治郎氏 / ENEOSホールディングス株式会社 未来事業推進部事業推進3グループ
水落 隆司氏 / 三菱電機株式会社 執行役員 ビジネスイノベーション本部 副本部長
5) パネルディスカッション2 "実践型イノベーションプログラム始動!"
2つめのパネルディスカッションでは、本コミュニティの主要な活動である「実践型イノベーションプログラム」について各プレイヤーがどう関わっていけるか、またIssue 1のテーマである住宅の脱炭素化に向けて取り組むべきことなどについて議論いただきました。住宅の脱炭素化に向けてスタートアップだけではなかなか難しい領域や大企業とのコラボレーションが必要な要素について、スタートアップ・大企業・支援者からお話しいただきました。
・モデレーター
川島 壮史氏 / U3イノベーションズ合同会社 ディレクター
・パネリスト
塩出 晴海氏 / Nature株式会社 代表取締役CEO
小田 健博氏 / フォースタートアップス株式会社 アクセラレーション本部 Public affairs戦略室
吉田 圭佑氏 / 積水化学工業株式会社 コーポレート 新事業開発部 イノベーション推進グループ イノベーション カタリスト
なお、本シンポジウムのアーカイブについては一部のコミュニティメンバーに公開しますので、ご関心のある方は以下のフォームより参加の申し込みをお願いします。
https://forms.gle/MkdMRPYzJrwf7rmu5
環境エネルギーイノベーションコミュニティ運営事務局
・CIC Tokyoについて
CIC Tokyoは、2020年10月1日に虎ノ門ヒルズビジネスタワーの15階と16階(合計約6,000平米)にオープンした、国内最大級のイノベーションセンターであり、スタートアップ(起業間もない、急成長を目指す企業)を中心に250社以上の企業や団体が入居できる広大なワークスペースと、ビジネスの成長とグローバル展開を加速するためのコミュニティやサービスを提供します。
CIC Tokyoに入居するスタートアップ企業は、自由な雰囲気の中、オフィススペースや多彩な共用スペースが利用可能です。加えて、イノベーションコミュニティへの様々な形での参画が可能となり、エコシステム内のキープレイヤーと新たな関係性を構築することができます。また、CIC Tokyoをゲートウェイとして、グローバル拠点へのアクセスが容易になります。CIC Tokyoでは2020年10月のオープン以降2021年7月末までにスタートアップやオープンイノベーションに関係のある130件を超える様々なイベントを開催しており、多くの方が集う場所になっています。
webサイト: https://jp.cic.com/
・U3イノベーションズについて
U3イノベーションズは、エネルギーを中心とする社会システム領域に特化して、スタートアップと共に新たな事業創出と成長を目指す実践者集団です。私たちが実現したい新しい社会システム(Utility3.0)の担い手になると期待されるスタートアップに対して、投資やCxOの派遣などあらゆる方法を通じて、文字通り二人三脚で成長を目指します。
対象はエネルギー産業に限らず、モビリティや水、農業、住宅などと産業横断での事業創出を目指しています。 既に複数のスタートアップの経営に当社メンバーが参画しており、並行してスタートアップ投資や協業に向けたジョイントベンチャー設立などの協議も進めています。
多様な価値観を包含する持続可能な未来を実現するため、エネルギー供給を超えた新しい社会システムであるUtility3.0というコンセプトを初めて世に示した、2017年出版の「2050年のエネルギー産業 Utility3.0へのゲームチェンジ」。この書籍の共著者である竹内純子、伊藤剛の2人により、U3イノベーションズは2018年に創設されました。
webサイト: https://u3i.jp