モバイル建築ユニットの製造ノウハウのライセンス提供を開始

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~地方創生の推進と応急住宅の社会的備蓄、新型コロナウィルスの感染症対策支援を目的として~

 一般社団法人日本モバイル建築協会(本社:東京都千代田区内神田2-12-1、 代表理事:長坂俊成、 立教大学教授)は、モバイル建築〔注1〕を活用した地方創生の推進と応急住宅の社会的備蓄〔注2〕の普及、新型コロナウィルスの感染症対策支援を目的として、正会員〔注3〕に対して本年9月からモバイル建築ユニットの製造ノウハウのライセンス提供を開始します。

 同ライセンスの対価は原則無償〔注4〕となります。協会とライセンスの覚書を締結した正会員は、国産材等を利用するなどして、自らモバイル建築ユニットを製造・建築及び販売することができます。

 第1弾として、本年9月より木造在来工法のモバイル建築ユニット(1ユニットあたりサイズ 長さ約12m×幅約2.4m×室内天井高約2.4m)の製造ノウハウのライセンス提供を開始します。このユニットを複数組み合わせて任意の数連結し広い間取りを構成することや、積層して2階建の住宅や非住宅等各種施設を建設することができます。

モバイル建築ユニットの製造ノウハウのライセンス提供を開始のサブ画像1_写真1 ライセンスの対象となるモバイル建築ユニットの例写真1 ライセンスの対象となるモバイル建築ユニットの例

 当協会では新型コロナウィルス対策の臨時医療施設(軽症者から中等症者に酸素供給や点滴などの治療ができる療養施設ユニット並びに感染した妊産婦が入院・分娩可能で新生児室を設けた臨時産科病棟ユニット)を設計中です。この医療用ユニットの設計情報もライセンスの対象とします。

 同ユニットは工場で生産し現地に輸送して建築基準法に準拠して本設の住宅または非住宅として建設することができます。また、一般の在来工法の木造建築と同様に現地で施工することもできますし、現地で施工しても基礎から切り離しクレーンでトラックに載せて他の場所に迅速かつ簡便に移設することが可能です。何度でも移設を繰り返すことが可能です。

 

 同ユニットはモバイルながら一般の恒久住宅以上の高い省エネ性能〔注5〕を有し、また、耐震性は病院や公共施設に求められるレベルの耐震等級3(住宅性能表示)を実現しています。

 製造ライセンスの申し込みは9月1日より当協会ホームページのお問い合わせフォームから受け付けます。
 https://mobakyo.or.jp/contact/

 また、10月以降、第2弾としてCLTパネル工法のモバイル建築ユニットのライセンスを開始する計画です。

 今回ライセンスする木造在来工法のモバイル建築ユニットは以下のような特徴を有し、「世界で一番 人と環境にやさしいモバイル建築ユニット」を目指します。

・構造躯体は100年の耐久性を持ち、一般の恒久住宅と同等以上の住宅性能と耐震性能を有します。
・社会的備蓄によって災害時は被災地に緊急搬送・設置して、避難所、応急仮設住宅等に活用できます。
・恒久住宅の性能を保持するので、本設の住宅・公営住宅としても使用できます。
・内装材に地元産材を使用するなど、製造会社独自の仕様で建設可能。地産地消に貢献します。
・全国各地の企業によって製造されるので、災害時の大量需要にも対応できます。
・ライセンス生産をおこなう複数メーカーの協働により、量産時の規格統一が容易にできます。
・基本的な構造はライセンス提供によって品質を確保、他業種からの参入を容易にします。
 

モバイル建築ユニットの製造ノウハウのライセンス提供を開始のサブ画像2_図1 写真1の平面図(イメージ図)図1 写真1の平面図(イメージ図)

 

モバイル建築ユニットの製造ノウハウのライセンス提供を開始のサブ画像3_写真2 ライセンスの対象となるモバイル建築ユニットの例写真2 ライセンスの対象となるモバイル建築ユニットの例

 

モバイル建築ユニットの製造ノウハウのライセンス提供を開始のサブ画像4_写真3 ライセンスの対象となるモバイル建築ユニットの例写真3 ライセンスの対象となるモバイル建築ユニットの例

■用語注
〔注1:モバイル建築〕
 完成した建築物を解体せずに容易に基礎から分離し、 ユニット単位でクレーン等を用いて吊り下げ、 トラック等に積載し、 目的の場所に輸送し、 迅速に移築することを繰り返し行うことができる構造を有する建築物の総称を意味します。
 建築ユニットが標準化されているため複数のユニットを連結・多層化することで様々な間取りや規模、 用途、 階数の建築物が構成できる。 住宅とで利用する場合は、 一般住宅と同等以上の安全性、 耐久性、 断熱性、 遮音性、 環境性能を有します。
 建設後も建物を解体せずにユニット単位で簡単に分離しトラックや船舶で輸送し何度でも再利用が可能なため環境負荷を軽減し、 かつ、 ライフサイクルコストを考慮すると高い経済性を有する建築物となります。

〔注2:社会的備蓄〕
 行政による防災目的の公的備蓄とは異なり、 平常時は地方創生に資する社会資源として自治体や民間が使用収益しつつ、 災害時は被災地の対策資源として活用することを目的とした官民協働による新たな備蓄の取り組みです。
 社会的備蓄に使用するモバイル建築ユニットは恒久住宅としての品質・性能を有するので、被災地では、避難所や応急仮設住宅だけではなく、本設の公営住宅や自力再建などにも使用が可能です。
 正会員はライセンスに基づきモバイル建築ユニットを社会的備蓄以外の目的で製造・販売することは可能ですが、販売先に対して当協会の社会的備蓄の取り組みを紹介し当協会が推進する社会的備蓄の登録制度に参加することを推奨することなどに協力していただきます。

〔注3:正会員〕
 モバイル建築の製造・建築を行う個人または法人に入っていただくためのものです。部会等、協会の事業の推進に参画し貢献する個人または法人の方々に参画いただき、協会が保有する技術ライセンスや情報サービスを正会員価格で利用することができる権利を有することができます(詳しくは事務局までお問い合わせください)。

〔注4:ライセンス数に応じた会費〕
 製造ノウハウのライセンスの対価は原則無償となりますが、ライセンスに基づき製造した場合は、製造した数に応じた変動的な会費が次年度の会費として付加されます。

〔注5:省エネ性能〕
 樹脂サッシや窓ガラスの仕様によって性能は異なりますが、最高レベルの窓の仕様ではUA値(外皮平均熱貫流率)0.35を達成できます。UA値とは、天井、窓やドア、床、外壁など家の中から外に逃げる熱損失量を合計して、住宅の外皮面積で割った数値となり、UA値が小さいほど断熱性能が高いという事になります(換気による熱損失は含みません)。なお、北海道エリアのZEH基準(Net Zero Energy House/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のUA値は0.4になります。

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