「おいしくて安心できる食を育み、美しい自然を未来に残したい。」木村秋則さんの願いです。
木村さんが実践する「自然栽培」では、農薬も、肥料も、堆肥も使用しません。土と植物の力を活かし、田んぼや畑で自然の循環を促すことを目指します。木村さんにその考え方、技術、思いを伺うシリーズ2回目。10/1から1ヶ月配信します。
●前回、2021年2月に配信した第1回オンデマンド講座『なぜ、自然栽培?』で木村さんは、「硝酸態窒素」について教えてくれました。
第1回「奇跡のリンゴ畑から『なぜ、自然栽培?』木村秋則が今、伝えたいこと」
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1238198.html
●有機栽培の離乳食で赤ちゃんが亡くなった理由
化学肥料であっても有機肥料であっても、肥料過多になれば硝酸態窒素は増え、作物に吸収されるだけではなく水も汚染してしまいます。化学肥料の多用だけでなく、家畜の糞尿など生の堆肥を使うと作物に多量の硝酸態窒素が含まれます。緑が濃い野菜には硝酸態窒素が多く含まれている場合が多いのです。自然の草は濃い緑ではなく、やさしい緑色をしています。かつてアメリカやヨーロッパで、硝酸態窒素を含む野菜や井戸水を使った離乳食を食べた赤ちゃんが、泡をふき、顔を青紫色にして死亡した事件が報告されました。これをブルーベビー症候群(メトヘモグロビン血症)と呼びます。
【以下 農林水産省:食品安全に関するリスクプロファイルシートより】
・野菜中の硝酸態窒素に起因する事例として、西ドイツで1959年からの7年間に、ほうれんそう中の硝酸態窒素により15件のメトヘモグロビン血症が発生し、その患者のすべてが3か月齢未満であったことが報告されている。
・その後、北米とヨーロッパで2,000件の事例が報告され、そのうち7~8%が死亡にいたっている。
●第2回オンデマンド講座『見えないものを見るチカラ』
「自然はつねに人の浅知恵を凌駕します。ですから自然を抑え込むようなことはやめて、どうしたら仲間に入れてもらえるかを考えてみてはどうでしょうか。」「この自然の素晴らしいシステムやネットワークを研究して、私たち一人一人の本当の役割を見出していくことが、農業だけではなく、社会全体に求められているのではないでしょうか。」とおっしゃる木村さん。
ほんとうに大切なものは何なのか、今すぐしなければならないことは何か、よく「自然から学ぶ」と言うがどうすればいいのか、「見えないものの中に大切なことがある」といってもどうすればそれがわかるのかーー。桁外れの失敗、そして挫折。そこからたった一人で、一つ一つ答えを見つけていった木村さんからの笑顔のメッセージです。
●【講師プロフィール】
1949年青森県弘前市生まれ。
リンゴ農家の婿養子となり、農薬に弱い妻のために、1978年から無農薬のリンゴ栽培を試みる。農薬と肥料を使うことを前提に品種改良されてきたリンゴを無農薬、無肥料で育てることは「絶対不可能」と言われてきた。数えきれない失敗を繰り返し無収入になるなど、苦難の道を歩みながら、ついに11年目に無農薬、無肥料の栽培に成功。2006年にNHK総合テレビ番組「プロフェッショナル」に出演。2013年にその実話が映画化され、全国で上映された。現在、本業のリンゴ栽培を続けながら、日本のみならず世界に「自然栽培」を普及している。
講座名:奇跡のリンゴ畑から『見えないものを見るチカラ』木村秋則が今、伝えたいこと
講師:リンゴ農家 木村秋則
受講形態:オンデマンド
配信期間:10月1日(金)~10月31日(日)
受講料金:NHK文化センター会員・一般(入会不要) 税込2,640円
主催:NHK文化センター盛岡教室
▼お申込みはこちらから
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1236955.html
●第1回「奇跡のリンゴ畑から『なぜ、自然栽培?』木村秋則が今、伝えたいこと」
▼お申込みはこちらから
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1238198.html