【意識篇】日本の生活者に脱炭素意識はどの程度浸透しているか?2021年9月調査結果~
■脱炭素は「生活者も取り組むべき」7割。 ■一方、半数以上が「何をすればいいか分からない」「情報がない」。 |
株式会社博報堂(東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)の「ミライの事業室」と「博報堂SDGsプロジェクト」は今年9月、全国の生活者を対象に「生活者の脱炭素意識&アクション調査」を実施しました。
2030年度の温室効果ガス46%削減(2013年度比)に向けては、66%の排出量削減が必要とされる家庭部門、すなわち生活者の暮らしにおける削減が鍵を握ると言われています。COP26開幕も間近に迫る現在、日本の生活者に脱炭素の意識がどの程度浸透しているのか、その実態を速報します。
(調査実施日:2021年9月18-19日 調査対象:全国15~79歳男女 計1,400名)
<調査結果のポイント>
【「脱炭素」は幅広い層に浸透。若い層の関心も高い】
・「脱炭素」の認知は全体で85.4%、「関心がある」は66.1%。幅広い世代に浸透しつつある。
・特に若年層やシニア層で関心が高い。Z世代(男女15~24歳)では「非常に関心がある」割合も34.5%と高く(全体+9.2ポイント)、若い世代の関心の高さがうかがえる。
【脱炭素の取り組みは、「大企業や政府だけでなく、自分たちも取り組むべきこと」】
・「脱炭素は誰が取り組むべき課題か」を尋ねたところ、「大企業」82.9%、「政府・官公庁」78.9%に続いて、「生活者」67.3%があがった。自分たち生活者も取り組むべき課題だという認識が浸透している。
・「みんながすべきこと」という認識を持っている人も84.4%と高い。
【取り組めていない理由は「何をすればいいかわからない」。出費や手間がかかりそうなイメージも】
・日々の暮らしで脱炭素を「非常に意識して行動している」人は3.3%、「ある程度意識している」を含めても32.1%。関心の高さに比べ、実際に取り組めている人はまだ多くない。
・取り組めていない理由としては、「何をすれば貢献できるか分からない」58.1%、「手軽に取り組めそうなものが分からない」56.1%、「情報が少ない」53.5%などが上位にあがった。生活の中で自分たちにできることが知られていないことがうかがえた。
・また、脱炭素の取り組みイメージは「+αの出費が必要」75.4%、「面倒くさそう」67.9%、「不便になりそう」66.8.%など、何かを我慢したり、手間をかけたりすることが必要になりそうだと思っていることがうかがえる。
<調査結果を踏まえて>
脱炭素社会の実現は、生活者にも浸透しはじめており、社会課題への意識が高いZ世代も含めた幅広い年代で関心が高いテーマであることが分かりました。また、その取り組みは政府や一部の企業に任せるのではなく、みんなで協力して社会全体で取り組むべき課題と捉えて、自分たちも協力しようという意識も高いようです。しかし現段階では、積極的に実践している人は一部にとどまっており、多くの生活者にとって脱炭素は「生活の身近なことで協力できること」ではなく、「出費や手間が伴う大変なこと」というイメージが先行しているようです。 毎日の生活の中で少し意識するだけでもCO2削減のためにできることは多いと言われています。生活者の行動を誘発し、促進するためには、具体的にどのような行動がCO2削減につながるのかの情報提供や、自分にもできると感じてもらえる提案が鍵になりそうです。(分析担当) |
<調査概要>
調査手法 :インターネット調査
調査対象者:全国15-79歳の男女1,400名
※分析時は、人口の性年代構成比に基づきウェイトバック集計を実施。本資料掲載の数値は
ウェイトバック後のものを使用。
対象地域 :全国
調査時期 :2021年9月18日-19日
調査委託先:(株)H.M.マーケティングリサーチ
<実施主体>
本調査は、博報堂の新規事業開発組織「ミライの事業室」と、企業のSDGsへの取り組みを支援する全社プロジェクト「博報堂SDGsプロジェクト」が共同で実施しました。
■ミライの事業室
2019 年に発足した博報堂の新規事業開発組織。「チーム企業型事業創造」を方針に、博報堂が自ら事業オーナーとなり、多様なパートナーと連携して生活者にとって価値ある新規事業の創造に取り組んでいます。博報堂の強みであるクリエイティビティとつながりを力に、ミライの新しい社会と産業をデザインしていきます。
http://mirai-biz.jp/
■博報堂SDGsプロジェクト
SDGsの視点からクライアント企業のビジネスイノベーションを支援する全社的プロジェクト。マーケティング・ブランディング、PR、ビジネス開発、研究開発、クリエイティブなど、SDGsに関する経験と専門性を持つ社員で編成。次世代の経営のテーマとなる、企業の経済インパクトと社会的インパクトの統合に資するソリューション開発や経営支援、事業開発支援、マーケティング支援などを行います。
https://www.hakuhodo.co.jp/news/info/82711/
<調査結果の詳細>
■名称・内容の認知
「脱炭素」という言葉を知っている人(名称認知)は85.4%、内容も知っている人(内容認知)は57.3%。
「カーボンニュートラル」は名称認知77.7%、内容認知38.0%と高く、浸透が進んでいます。
[Q]下記の言葉をどの程度知っていたか
■脱炭素について知っていること
「CO2などの温室効果ガス排出量を抑え、気温上昇を2℃以内に留めないと地球環境に深刻な影響が出ること」が50.8%と最も認知されており、続いて「先進国を中心に、国ごとに具体的な削減目標を決めて取り組もうとしていること」が42.3%と高くなっています。
[Q]知っていたこと(複数回答)
■脱炭素に対する関心度【性年代別】
脱炭素に関心があると回答した人は、全体で66.1%。
特に、Z世代やシニアが高くなっています。「非常に関心がある」と回答した人も、全体25.3%に対し、Z世代は34.5%、女性60代は34.0%、男女70代は約4割と、高い関心が持たれています。
■脱炭素には誰が取り組むべきか
脱炭素に向けた取り組みは、「大企業」の課題だと思う(82.9%)、「政府・官公庁」(78.9%)、次いで「生活者」(67.3%)、「中小企業」(61.8%)と続き、自分たちも取り組むべき課題であるとの認識も高くなっています。
また、「脱炭素はみんなですべきこと」と思う割合も84.4%と同様に高くなっています。
[Q]脱炭素は誰が取り組むべき課題だと思うか(複数回答)
[Q]日々の暮らしの中での脱炭素行動は、みんながすべきことだと思うか
■日々の暮らしの中での脱炭素意識・行動状況
日々の暮らしで脱炭素を「非常に意識して行動している」人は3.3%、「ある程度意識している」を含めても32.1%。関心の高さに比べ、実際に取り組めている人はまだ多くない状況です。
[Q]日々の暮らしの中で、どの程度脱炭素社会に向けた行動をしているか
■脱炭素に取り組めていない理由
脱炭素に向けた行動に取り組めていない理由は、「自分が何をすれば貢献できるのか、よくわからない」(58.1%)、「手軽に取り組めそうなものがわからない」(56.1%)、「『脱炭素社会』に関連する情報が少ない」(53.5%)などが上位となり、生活の中で自分たち個人に出来ることが認知されていないことがうかがえます。
[Q]まだ実践できていないのはなぜか(複数回答)
■脱炭素のイメージ
暮らしの中で脱炭素を意識することは、「+アルファの出費が必要になる」(75.4%)、「面倒くさくなりそう」(67.9%)、「取り組むことで、少し不便になりそう」(66.8%)など、何かを我慢したり、手間をかけたりすることが必要そうだと感じている一方で、「誰でもできること」(70.2%)と、自分にも出来るというイメージも持っているようです。
[Q]暮らしの中で脱炭素を意識することに対するイメージ(そう思う計)