林業人材と異分野の事業開発経験者のオープンイノベーションで森林事業を創造するアクセラレーター
■日本全国計42名、14チームが約2ヶ月間の事業開発を実施:
『SUSTAINABLE FOREST ACTION (SFA)』は、“民間で収益を生み出す森林事業を創造する” ことで、持続的な森林づくり、広義の林業に寄与することを目的としたアクセラレーター(事業開発)プログラムで、2019年度より開始しました。今年度は第3期目となる開催です。林業に課題意識を持った林業人材と自らの経験・知見を林業に活かしたい異分野の事業開発人材でチームを組成し、2ヶ月間という短期間で、課題の再定義とアイディア創出から事業計画まで練り上げ、事業化を目指します。
SFA2021では、2021年5月~8月の間で参加者を募集し、合計42名(林業従事者23名、事業開発経験者19名)が選ばれ、両者をマッチングの上、14チームが採択されました。前年度よりも15人、3チーム多い採択です。各チームは、8月21日のキックオフから10月23日のデモデイまで、約2ヶ月間に渡って、ユーザーインタビュー、実証実験などを通じた仮説検証と事業開発を進めてきました。
■事業開発講義と伴走メンタリング:
『SUSTAINABLE FOREST ACTION 2021(SFA2021)』では、8月21日に開催されたキックオフでの講義を始め、オンライン視聴にて、Spero社より、全4回約10時間に渡る事業開発講義とその約700ページに渡る資料が提供されました。
また、参加チームには、それぞれ、事業開発経験のあるメンターがつき、週次のオンラインメンタリングとビジネス用のメッセージングアプリ『Slack』を用いた随時のコミュニケーションを行い、事業開発が初めての経験でであっても、進めていけるよう伴走支援を行いました。
■鳥取県智頭町での合宿:
参加者には、林業の底上げ理解を目的として、2021年9月の週末に2回、鳥取県智頭町(ちづちょう)にて任意参加の合宿が提供されました。智頭町は、面積の93%を森林の占める町で、智頭町とSperoは、2021年4月28日、中山間地の事業創出を目的とした包括協定を締結しています。
合宿で、参加者は、金児町長と智頭役場の山村再生課、企画課を始め、森林組合、製材所、自伐林家、森林フィールドを用いた教育機関、山菜料理店などを訪れ、ディスカッションを行い、林業現場と林業に関わる関係者、隣接産業などの理解を深めました。
■10/23に、デモデイ開催 新宿会場に約55名、オンラインで約30名:
約2ヶ月間の事業開発の成果発表の場として、2021年10月23日にデモデイが開催されました。新宿会場(ヒルトン東京地下1階『Glade Park』)とオンラインの同期進行にて実施され、参加者、審査員、林野庁関係者含め、新宿会場に約55名、オンラインで約30名の関係者が集まりました。
デモデイ は、勝ち抜き方式にて実施されました。予選では、14チームが事業計画のプレゼンテーションを行い、予選のプレゼンテーション内容を以って、5チームが決勝に選出。5チームに対し、6名の審査員からの質疑が行われ、本審査にて、決勝に進出した全5チームが入賞し、その中から順位が決まりました。
<SUSTAINABLE FOREST ACTION 2021の審査員>
・フォレストエナジー株式会社 代表取締役 沼 真吾氏(写真右)
・SEVEN Founder 山本 敏行氏 (写真右2番目上)
・株式会社日本クラウドキャピタル ベンチャーパートナー 竹下 慎一郎氏 (写真右2番目下)
・デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 パブリックセクター/シニアコンサルタント 鈴木 秀明氏 (写真左から2番目上)
・株式会社tsam 代表取締役 池森 裕毅氏 (写真左から2番目下)
・一般財団法人KIBOW 社会投資 ディレクター 山中 礼二氏(左)
《最優秀賞受賞チーム「マウンテンバイカーと森林組合の森林活用事業」》
【チーム】
・ヤマハ発動機株式会社 技術・研究本部 研究開発統括部 先進システム開発部APVグループ主査 小倉幸太郎
・ヤマハ発動機株式会社ランドモビリティ事業本部 SPV事業部開発部 主査 渡邊岳
・トクラス株式会社 業務システム部 業務推進室 課長代理 / 山主 甚沢攻
・掛川市森林組合 施工整備課 望月幸多
【事業概要】
森林内の作業道等を活用してマウンテンバイクのトレイルコースを開設し、サブスク方式のバイカー会員を募集する。 山林利用費として、売り上げの一部を森林組合ヘ還元できると同時に、マウンテンバイカーたちが山林状態の情報を森林組合にフィードバックする効果も見込める。まずは静岡県掛川市森林組合と連携して事業開始予定。
《優秀賞受賞チーム「検索回数に応じて森に道を作る検索エンジン事業」*同率2位》
【チーム】
・新潟大学農学部流域環境学プログラム4年 渡邊匠海
・アサヒグループホールディングス株式会社 事業企画部コーポレートチーム シニアマネジャー 火置恭子
・齋藤木材工業株式会社 経営戦略室長 田島忍
・山形県の林務職員 荒澤 佑樹
【事業概要】
提携する検索サービスを、森林や環境に問題意識のある顧客(個人、企業、行政機関)に使ってもらうことで、検索回数に応じた広告収入を得て、森林の作業道の開設に充当する事業。顧客は金銭の負担なく森林保全に寄与することができる。
《優秀賞受賞チーム「未使用材の定期購入で楽しい木工ライフを手軽に」*同率2位》
【チーム】
・ピーキューブ株式会社 代表取締役 後藤亮介
・ピーキューブ株式会社 企画管理アドバイザー 七田多規子
【事業概要】
通常はバイオマス等にしか使われないC材や未使用材を、木材クラフト材料として製作者(サブスク会員)に定期的に配送するサービス。鳥取県智頭町にて11月より事業実証を開始する。
《受賞チーム「林業(農業)の獣害被害低減事業」*同率4位》
【チーム】
・森庄銘木産業株式会社 取締役専務 森本達郎
・3rdKind株式会社 CEO 細谷太郎
・林野庁研究指導課技術開発推進室技術開発班・林業イノベーション推進係 伊東瑠実子
【事業概要】
獣害に困っている林家と地域外・新米の猟師をマッチングする事業。奈良県宇陀市で実証実験を予定している。
《受賞チーム「アカエゾマツの森林と恵の循環事業」*同率4位》
【チーム】
・ONE-Table合同会社代表 山田朋子
・株式会社舗材サービス 取締役 川上泰昌
・アヤアルケミスト株式会社 代表取締役 瓜田綾子(プログラム途中から参加)
・個人参加 小椋肇(プログラム途中から参加)
【事業概要】
アカエゾマツの枝葉に含まれる抗菌・保湿・整肌成分に着目し、40代男性をコアターゲットにした男性向け化粧品事業。
■受賞チーム以外も、複数チームが引き続き事業化検討へ: 14チーム42人の参加者とメンター
『SUSTAINABLE FORERST ACTION2021』の参加者は、受賞チーム以外でも引き続き事業開発や、本プログラムを通じて拡がったネットワークを用いた活動などを行っていくチームも多く、今回の参加者およびメンターの一覧をご紹介します。
<マウンテンバイカーと森林組合の森林活用事業>
・ヤマハ発動機株式会社 技術・研究本部 研究開発統括部 先進システム開発部APVグループ主査 小倉幸太郎
・ヤマハ発動機株式会社ランドモビリティ事業本部 SPV事業部開発部 主査 渡邊岳
・トクラス株式会社 業務システム部 業務推進室 課長代理 / 山主 甚沢攻
・掛川市森林組合 施工整備課 望月幸多
・メンター:taskall株式会社 代表取締役 星野大輔
<ウッドチェンジしたいデザイナーのための 1 Day Tour>
・西川広域森林組合 業務課 課長 若林知伸
・有限会社創林 井上峻太郎
・株式会社フォレスト萩原 茂木魁都
・メンター:株式会社HARES 代表取締役 西村創一朗
<森林とリゾートを繋ぐカーボンオフセット事業>
・株式会社GOYOH 代表取締役 伊藤幸彦
・合同会社MANABIYA 代表 國岡将平
・某IT企業 ビジネスプラニング部 小笠原崇道
・メンター:PCG取締役兼投資部⻑ 塗矢眞介
<林業(農業)の獣害被害低減事業>
・森庄銘木産業株式会社 取締役専務 森本達郎
・3rdKind株式会社 CEO 細谷太郎
・林野庁研究指導課技術開発推進室技術開発班・林業イノベーション推進係 伊東瑠実子
・メンター:一般社団法人社会実装推進センター理事 猪股涼也
<自伐型林業者による地域林業の再生と活性化>
・下北山村役場 農林建設課 地域おこし協力隊 兼「森のび」代表 安井洋文
・地域おこし協力隊 兼「森のび」 コミュニケーションデザイナー 河野祐子
・株式会社ソニー・インタラクティブエンターテイメント グローバルデザインセンター R&D担当課長 奥村泰史
・林野庁 北海道森林管理局 知森林管理署北空知支署業務グループ 森林整備官 中嶋佑輔
・メンター:元株式会社リクルート新規事業開発プロデューサー 幸田泰尚
<空き森に集う仲間達が織りなすコモンズ創出事業>
・ツリーライフサポート株式会社 代表取締役 松岡秀治
・日揮ホールディングス株式会社/サステナビリティ協創部 吉井拓史
・株式会社リクルート 新卒Division 総合企画部 樫尾 和明
・林野庁 関東森林管理局群馬森林管理署業務グループ 主事 松野直輝
・メンター:株式会社リクルート BizDev 中山好彦
<山のモビリティーサービス事業>
・株式会社FLIGHTS 堀内亜弥
・株式会社中川 フォレストワーカー 佐藤真希子
・林野庁 国有林野部業務課 渡辺万葉
・メンター:ベンチャー顧問、コンサル代表など 多田 款
<都会人材を癒す森林コンテンツ事業>
・富士通株式会社 ビジネス企画本部 宮本洋巳
・自営業 アーボリスト 矢崎道徳
・一般社団法人やましごと工房 山本裕也
・メンター:株式会社Spero 取締役 杉山慎
<受け皿のない小さな山を異業種の力で開く事業>
・株式会社武久4代目(後継者)武久景子
・株式会社山光 山林部 中村純
・林野庁 北海道森林管理局 上川南部森林管理署 双珠別森林事務所 係員 岡田直人
・メンター:株式会社リテイギ 事業開発部 事業開発責任者 浦澤徹
<検索回数に応じて森に道を作る検索エンジン事業>
・新潟大学農学部流域環境学プログラム4年 渡邊匠海
・アサヒグループホールディングス株式会社 事業企画部コーポレートチーム シニアマネジャー 火置恭子
・齋藤木材工業株式会社 経営戦略室長 田島忍
・山形県の林務職員 荒澤佑樹
・メンター:株式会社DoMandA 代表取締役 松本浩伸
<未使用材の定期購入で楽しい木工ライフを手軽に>
・ピーキューブ株式会社 代表取締役 後藤亮介
・ピーキューブ株式会社 企画管理アドバイザー 七田多規子
・メンター:アバロン株式会社 代表取締役 吉見晋平
<アカエゾマツの森林と恵の循環事業>
・ONE-Table合同会社代表 山田朋子
・株式会社舗材サービス 取締役 川上泰昌
・アヤアルケミスト株式会社 代表取締役 瓜田綾子(プログラム途中から参加)
・個人参加 小椋肇(プログラム途中から参加)
・メンター:外資IT企業 Biz Dev. 西沢眞璃奈
<サステイナブルに円環するオフィス事業>
・株式会社JOKE 代表取締役 渡辺力
・東京芸術大学 彫刻家 木彫講師 山口桂志郎
<ユーザー参加体験型 森林×農業育成プラットフォーム>
・株式会社東京ブランディングマーケット・みなむすGOHAN PROJECT 代表 高橋桂子
・某農業用ドローンメーカー サービス企画部 溝上武志
■今後の予定:
受賞した5チームについては、一般社団法人社会実装センターが運用する、林野庁の「令和2年度補正予算 森林づくりへの新技術導入・実証事業 (異分野技術導入・実証)」の間接補助事業者として、それぞれの入賞資金を上限として、事業化の実証を行います。
Speroは、林業領域におけるオープンイノベーションの要点・課題などを整理し、3月末頃に調査報告書をまとめ、一部公開する予定です。
※『SUSTAINABLE FOREST ACTION 2021』の募集時のプレスリリース:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000056075.html
※前年度SFAの報告書:
https://journal.spero.co.jp/sustainable-forest-action-2020の報告書公開/
■実施体制:
本プログラムは、林野庁の補助事業として、株式会社Speroが運営しています。
https://sustainable-forest-action.net/
*株式会社Speroについて:
株式会社Speroは、ソーシャルインキュベーターとして、社会課題解決を目指した新規事業を支援するインキュベーション・アクセラレータープログラムを提供しています。
https://spero.co.jp
<本件に関するお問い合わせ>
SUSTAINABLE FOREST ACTION 事務局
株式会社Spero 髙橋ひかり
[email protected]
03ー6665ー0890
(Spero WEB: https://spero.co.jp/)