橋梁床版内部の非破壊検査法を新開発 -コンクリート劣化の定量評価が可能に-

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                                             2021年12月1日
                                      JFEエンジニアリング株式会社

                  橋梁床版内部の非破壊検査法を新開発
                 -コンクリート劣化の定量評価が可能に-

 JFEエンジニアリング株式会社(社長︓大下元、本社︓東京都千代田区)と国立研究開発法人理化学研究所(理事長︓松本紘、本部︓埼玉県和光市、以下、「理研」)は、道路橋床板※1の非破壊検査研究チームを結成し、アスファルト舗装の下にある鉄筋コンクリート床版の劣化を非破壊でイメージングし、欠陥の有無を定量的に評価可能な診断システムを開発しました。

 従来、橋梁やトンネルなどのコンクリート構造物の老朽・劣化診断は、目視で行われています。この方法では診断の都度アスファルトを剥がす必要が生じるため、多大なコストと時間を要し、検査を定期的に実施することが困難な状況にあります。事故につながる重大な損傷を未然に阻止するためには、より簡単で安全かつ正確に診断できる検査方法が求められています。

 そこで研究チームは、道路橋床板の内部を非破壊で診断可能な検知法を開発しました。理研で開発した「理研小型中性子源システムRANS-II(ランズ・ツー)」※2を用いて、模擬的な劣化を施したコンクリート床版の内部を、後方散乱中性子イメージング法※3によって可視化し、劣化の位置、大きさの評価だけでなく、劣化の状態が「水分の滞留(滞水)」、「土砂化※4による空洞」または「空洞の底に水分の滞留」かの識別を行えることを実証により確認しました。また、この検査方法の開発により従来方法と比較しコストと作業時間が数十分の一に削減可能です。
 この検査方法の適用により、老朽化が懸念される橋梁・トンネルなどの劣化を早期発見・早期修復することが可能で、重大な事故の防止に貢献するだけでなく、道路橋の長寿命化も期待できます。

 JFEエンジニアリングは、本システムの積極的な導入および更なる開発を進め、建設や保守現場でのAI、IoT技術の利用促進ならびに生産性向上に貢献してまいります。

※1 道路橋の構成物の1つで、舗装の下で車や人の荷重を直接支える部材
※2 検査に用いる中性子の発生装置。低放射線環境で作業者・周辺の安全性を確保しています。
詳しくは理研のリリースをご参照ください。 
https://www.riken.jp/press/2019/20191118_4/index.html
※3 中性子を検査対象に照射し、反射された中性子を測定することで、欠陥の有無など内部の状態を調べる手法
※4 床版のコンクリートが劣化し、砂利とモルタルに分離した状態

■一般的な橋梁のイメージ図および本開発の検知法の概要(土砂化の検知例)
検査用中性子(赤色の矢印)を床版に照射し、正常な部分と土砂化から反射された中性子(緑色の矢印)のエネルギーや量の違いから土砂化部分を検知します。

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             本件に関するお問合わせは下記にお願いいたします。 
              JFEエンジニアリング株式会社 総務部広報室

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