毎年恒例の「まるごと1冊SDGs号」最新版。2022年を迎える前に知っておきたい、SDGs最新事情、トピックを総力取材。
世界を変える、はじめかた。2022 Where there is a will, there is a way. 意志のある美しさを探しに。
- 手塚治虫とSDGs特集のきっかけ
漫画界の巨星・手塚治虫が手がけた約700タイトル、ページ数にして約15万枚という膨大な作品の多くは、自然、環境、生命、動物、科学、戦争、人種などをテーマにしており、現代のSDGsにつながるテーマがたくさん描かれています。また、1989年に亡くなった直後に刊行されたエッセイ『ガラスの地球を救え 二十一世紀の君たちへ』には、今の世界をそのまま予言するような内容が残されています。エッセイの中で手塚治虫は、このまま環境破壊が進むと「二十一世紀さえあやうい」と嘆く一方で、それでも「やはり、人間がいとおしい」「とても人類の未来をあきらめて放棄することはできません」と強い決意をにじませます。さらに『宇宙からの眼差しを持て』という章では、宇宙から地球を眺めるような俯瞰した視点を持つことで、地球が今どのような危機にあるのか、まっすぐに受け止めることができるとも語ります。
手塚治虫が懸念していた地球危機は、現在ずばりそのものとなってしまいました。今回の特集は、二十一世紀を生きる私たちに向けられたメッセージに、今こそ耳を傾けるべきなのではという思いで企画しました。誌面では、印象的な漫画のシーンと手塚治虫の言葉を掲載しています。ここから現代のSDGsにつながる共通点を見いだしてもらえたらと思っています。
- FRaU1月号のメインテーマは美。未来へと継ぐ、美しさの再定義
メインテーマは「美」です。第1特集は「Our Sustainable Planet 〜この星を美しく 」主に地球の環境問題にまつわる企画を中心としています。生物学者・福岡伸一先生と考える生物多様性の問題、わかっているようでわかっていないことも多い気候変動と脱炭素社会について、環境活動家グレタ・トゥーンベリのこと、自然から学びを得た人々の取材や俳優・黒木華が着こなすサステナブルファッションなどご紹介しています。
第2特集は 「Better Myself〜私も美しく」として、おもに自分を美しくするためのスキンケアやメイクアップをはじめ、ジェンダーレスでボーダーレスな美を考えるポートレート、俳優・小島聖が体験する心と体の整え方などをご紹介しています。
- 編集長・熱田千鶴よりコメント
2018年12月に初めてまるごと1冊のSDGs号を刊行してから、MOOKも含めて今号で10冊目となりました。「世界を変える、はじめかた。2022」では、「意志のある美しさを探しに。」と題して、地球と自分を美しくするためのコンテンツをご紹介しています。
副題である“Where there is a will, there is a way. ”は、「意志あるところに方法はある」という英語のことわざです。強い意志があれば、おのずと道が開けていくという意味ですが、私はこの言葉にSDGsを達成するためのヒントがあると思いました。現在の世界を見渡すとSDGsのゴール達成には到底追いつかない、気が遠くなることも多いですが、それでも私たちは前に進むしかなく、強い意志を持ってこの星をかつての美しい地球に戻すべく、変えていく努力をしなければなりません。地球を美しくすることは、巡り巡って自分の美に還ってくることでもあります。
意志を持って道を開いている人は美しさも兼ね備えている、ということも今号の取材から教えてもらいました。1冊を通してそんな気づきを得てもらえたら幸いです。
【商品情報】
FRaU2022年1月号
2021年12月21日(火)発売
価格:800円(税込)