MSC評議員会、MSC漁業認証規格改定版を全会一致で承認

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新しい漁業認証規格により、MSC認証取得漁業が今後も持続可能性において世界を牽引

1,000名を超えるステークホルダーとの協議および重要な科学的調査を伴い4年にわたって行われたMSC漁業認証規格の改定作業について、MSC(海洋管理協議会)評議員会(注)は、これを「大きな成果」と評し、新しい漁業認証規格を満場一致で承認しました。

現在、認証を取得している539件の漁業によって、天然魚介類の総漁獲量の16%相当が漁獲されており、MSCの漁業認証規格は、世界最大の持続可能な漁業認証プログラムとなっています。MSC漁業認証規格の影響はそれだけにとどまらず、規格の要求事項は、海洋の持続可能性の向上を目指すための枠組みとして世界的に活用されています。

今回の改定は、漁業、科学者、審査員、環境NGO、業界代表者など、MSCがこれまでに実施した中でも最も広範な協議を含め実施されました。海洋の生物多様性保全や海洋ガバナンスの強化など、海洋が直面している最も困難な問題に対処しながら、小規模漁業や新興市場の漁業がMSCの市場主導型のサステナビリティプログラムに参加しやすくすることを念頭に行われました。

評議員会で承認された重要な改善により、MSC認証取得漁業はこれからも持続可能性における世界のリーダーとして認知され、過剰漁獲の終了を含む国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた進展に貢献することになります。MSCは、新しい漁業認証規格への適用に向け、漁業と審査員をサポートするための研修プログラムとガイダンスを提供する予定です。

2022年6月24日(金)に発表されたMSC評議員会の声明で、会長のウェルナー・キーンは、次のように述べました。
「この規格の改定に参加してくださったすべての方に感謝いたします。特に、多大なる献身と専門知識によってこの広範かつ複雑な見直しを主導してくれたMSCの科学者のみなさん、そして、新規格の策定に時間と知識を惜しみなく提供してくださった世界各国のMSCのガバナンス組織のメンバーに心よりお礼を申し上げます。MSC評議員会は、MSC漁業認証規格の重要性と、海洋の変化を促進させる役割を強く認識した上で、この価値ある作業を高く評価します。漁業認証規格に何を盛り込むべきか、どこに基準を置くべきか、時に意見が対立することもありますが、この改定版は、持続可能性に対する高い目標を設定しながらも、世界の最優良漁業が適切な移行期間で実行できる現実的な要求事項を盛り込んでおり、適正なバランスが取れていることを確信しています」

MSCの最高責任者であるルパート・ハウズは、次のように述べています。

「4年間にわたり、非常に多くのステークホルダーに参加いただき、貴重なご意見をいただいたことに深く感謝いたします。また、MSCのガバナンス組織の献身と尽力により、MSC評議員会が新しい認証規格の承認に至ることができました。リスボンでの国連海洋会議を前に、世界の関心は、現在そして未来の世代のために海洋資源の持続的管理を確実にすることの重要性に集まっています。MSCの新しい漁業認証規格は、パートナーの継続的な関与と支援によって真の利益をもたらし、SDGsの達成を加速させることにつながるでしょう。これは海洋、漁業者、そして消費者すべてにとっての朗報です」

新しい認証規格には以下を含む改善点が含まれています。

  • 絶滅危惧種・保護種を保護するための新しいアプローチ。漁業には、こうした種への影響を最小限に抑え、その個体数の回復に寄与することが求められます。
  • サメ類を漁獲・混獲するすべての漁業に対して、ヒレをつけたまま水揚げするFNA(Fins Natually Attached)ポリシーの徹底が必須となります。MSC認証漁業によるシャークフィニングは既に禁止されていますが、この措置によって一層強化されます。
  • 審査の効率化のために、いくつかの既存要求事項が簡素化され、また、データが少ない漁業への支援方法の改善によって、MSCプログラムへの参加が容易になります。
  • RFMO(地域漁業管理機関)によって管理されるような複数の管轄をまたぐ漁業に対し、信頼性が高く、厳格な漁獲方策(harvest strategies)を確実にするための新たな措置を導入。
  • 審査に必要な情報の信頼性に関する新たな要求事項により、漁業、特に公海で操業し、海鳥等を含む混獲が起きてしまう漁業は、その影響をどのように管理しているかについて、より客観性のある資料を提示しなければなりません。
  • MSC漁業認証規格の改定版は、2022年10月に発行される予定です。初めて本審査に入る漁業については、2023年5月から改定版が適用されます。 既に認証されている漁業については、改定版に適合するまでに最大6年間(従来の移行期間より短縮)の猶予が認められます。

MSC評議員会は、MSCのガバナンス組織です。小売、海洋科学、自然保護、行政、漁業管理などにおいて国際的に著名な専門家15名から構成されています。そのメンバー構成は、MSCのミッションの役割を担う幅広いステークホルダーを反映しています。

MSC(海洋管理協議会)について

将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度と水産エコラベルを通じて、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際的な非営利団体です。本部をロンドンとし1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所をおき世界中で活動しています。MSCジャパンは2007年に設立。MSC「海のエコラベル」の付いた水産品は世界約100か国で49,000品目以上、日本では1,000品目以上が承認・登録されており、イオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、西友、ライフ、マクドナルドなどで販売されています。
持続可能で適切に管理された漁業のためのMSC漁業認証規格は、世界で広く認知されており、最新かつ確実な科学的根拠に基づき策定されたものです。漁業がこの規格を満たすためには、(1)水産資源が持続可能なレベルにあり、(2)漁業による環境への負荷が抑えられており、(3)長期的な持続可能性を確実なものにする管理システムが機能していることを、第三者審査機関による審査を通じて実証することが求められます。

詳しくはMSCウェブサイトをご覧ください:https://www.msc.org/jp

MSC「海のエコラベル」について

MSCの厳正な認証規格に適合した漁業で獲られた水産物にのみ認められる証、それが「海のエコラベル」です。

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