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~愛媛県八幡浜市、静岡県西伊豆町、千葉県船橋市の3地域とともに~
CCCマーケティング株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:田代誠)は、2021年3月より、Tのユニークデータ※1やアセットを活用し、一地域、一企業だけでは解決が難しかった課題に対して、生活者を中心に業界を超えたさまざまな知見を有するステークホルダーと対話を重ねながら、世界的な課題である“持続可能な食”につながるエシカルフードアクションについて考え、行動していく共創型プラットフォーム「Tカードみんなのエシカルフードラボ」(https://ethicalfoodlab.tsite.jp/)に取り組んでいます。このたび、「エシカルフード」の中でも未利用資源に目を向けた商品開発・啓発について取り組む「未利用魚活用プラットフォーム」のプロジェクトを開始しましたことをお知らせいたします。
CCCマーケティングでは、2018年に実施した「五島の魚プロジェクト」(https://tsite.jp/r/tcardsocial/goto/)を通じて、豊かな環境に恵まれた海を持つ日本だからこそ、さまざまな工夫により付加価値をつけることで生活者の共感を得ながら「未利用魚」を活用することができ、ひいては海の恵みや持続可能な漁業、日本の食文化の未来を築いていく可能性があると認識できました。「未利用魚活用プラットフォーム」では、「五島の魚プロジェクト」で得た経験を活かし、一地域、一企業だけでは、解決が難しかった社会課題に対して、「エシカルな食生活を積極的に行っている」T会員や、行政や地元事業者などの地域関係者、流通企業、料理家などさまざまな知見を有するステークホルダーとともに取り組んでまいります。
「未利用魚活用プラットフォーム」ではCCCマーケティングをプロジェクトオーナーとし、ファーストステップとして、2022年7月29日(金)に、プロジェクトを共に進めていくためのパートナーを決めるキックオフ・マッチング・セッションを開催いたします。マッチング・セッションの開催にあたって、日本全国の各地域のニーズを汲み取り、それぞれ対話を重ねた結果、愛媛県八幡浜市、静岡県西伊豆町、千葉県船橋市の3地域が参加することになりました。加えてマッチング・セッションには流通のパートナーとして、株式会社こだわりや、株式会社信濃屋食品そして株式会社マルエツ、また水産経済学、資源管理を基礎とした持続的な漁業経営や漁村活性化に関する研究・活動の専門家として東京海洋大学学術研究院の松井隆宏准教授にも参加いただきます。このキックオフ・マッチング・セッションによって、地域と流通のマッチングが成立した後、11月より未利用魚を活用した商品開発・啓発に向けてプロジェクトが本格的に始動いたします。
- マッチング・セッション参加者 ※五十音順
<愛媛県八幡浜市>
・プロジェクトリーダー:株式会社オーシャンドリーム
・メンバー:愛媛県庁水産課、八幡浜商工会議所、八幡浜センチュリーホテル
・対象の未利用魚:アイゴ
<静岡県西伊豆町>
・プロジェクトリーダー:はんばた市場(西伊豆産地直売企業組合)
・メンバー:塩徳丸、カネサ鰹節商店、有限会社三角屋水産、西伊豆町役場
・対象の未利用魚:アイゴ、ニザダイ
<千葉県船橋市>
・プロジェクトリーダー:海光物産株式会社
・メンバー:株式会社ナガサワ、船橋市漁業協同組合、船橋市農水産課
・対象の未利用魚:コノシロ
<流通>
・株式会社こだわりや
・株式会社信濃屋食品
・株式会社マルエツ
■愛媛県八幡浜市からのコメント
愛媛県八幡浜漁港は西日本でも有数の漁獲量を誇る港町です。平成23年に新設された高度衛生型の魚市場で年間約200種類の魚種が水揚げされています。約30年前は150億あった年間水揚げ高が、昨年は30億まで減少しているのが現状です。トロール船の町であったため底引き漁法が大半を占めており、網目の大きさを大きくしたり、シラス漁の禁漁時期を増やすなどの緊急な対策が必要だと考えています。
今回の取り組みで未利用魚の新たな商品開発を通して地元漁業者の所得向上や、地域飲食店での新たなメニュー開発、持続可能な漁業に貢献出来ればと思っています。
■静岡県西伊豆町からのコメント
西伊豆町は、西に駿河湾を抱き、黒潮の分流が流れ込むため、季節ごとに様々な魚種が水揚げされます。そして、沿岸部のほとんどを磯が占めているため、その中には恒常的に磯魚が混じります。その中でもニザダイ、アイゴは嫌われ者の代名詞となっており、定置網による水揚げはあれど、ほとんど値がつかないため、ターゲットとする漁業者は他におらず、実質野放し状態になっており、磯周りには相当な資源量があると推測されます。また、ニザダイ、アイゴによる海藻の食害が、近年問題となっている磯焼けの原因の一つと言われており、どう対策していくかが今後の大きな課題となっています。なぜこれらの魚種が嫌われているかというと、昔は鮮度維持が難しく内臓が臭くなって食べられなくなってしまったり、もともと独特な磯臭さを持っているというのが主な理由です。
しかし、現在では臭いを発生させないための適正な温度管理や、磯臭さを軽減するレシピなどにより、美味しく食べることができるようになっています。そこで、本取り組みを通じて、ニザダイやアイゴの魚価を上げることができれば、漁業者の収入安定の一助となるだけでなく、資源量の適正化に寄与し、ひいては磯焼け対策にも繋がると考えられます。磯が豊かさを取り戻すことで、西伊豆の主要魚種であるイセエビ、アワビ、サザエ、天草、ヒジキなどの漁獲にも好影響を与えると考えられます。磯焼けは西伊豆に限らず全国的に問題となっており、本取り組みにおいて一定の成果が得られれば、日本の沿岸環境改善にも寄与し、持続可能な漁業の推進に繋がる可能性があります。そんな一歩を踏み出せるかもしれないスタートラインに皆様と立てたことは、大変喜ばしいことであり、大いに期待しています。
■千葉県船橋市からのコメント
江戸前寿司の定番であるコハダ。その〝走り〟であるシンコは、こだわりのすし職人と江戸っ子気質が相まって、市場取引価格がキロ当たり数万円に及ぶこともある。しかしながらその成魚であるコノシロに関して言えば、小骨がさわったり独特のドット柄が好みではないなど、およそヒトの口には縁遠い存在となってしまった。したがって市場では価格もつかず、現状マグロ延縄の餌や飼料向けとなり、その取引価格はなんとキロ当たり20円から40円である。これは魚好きと言われた日本人のエゴ以外の何物でもない。
一方で日本人の魚食に対する趣向は、定番の〝メジャー魚〟に集中し、日本近海における水産資源の減少は、その需要を満たすために海外からの輸入に頼るも、日本経済の停滞や円安も重なり、その確保は益々困難となっている。そしてやがて来る『プロテインクライシス』に対応して行くためにも、資源量の比較的豊富な低利用魚で、しかも食べたら美味しいコノシロを使った加工品の開発は、大きな夢のあるプロジェクトといえよう。
また東京湾という、かつて湾岸開発によって痛めつけられた都会の海に、100年後を見据えて生き永らえる漁師にとってのこのプロジェクトは、全国の沿岸漁業者に対しのインパクトも大きく、「たくさん獲れるけれど安い」、「安いからさらにたくさん獲らなければならない」、「結果資源量だけが減って漁業が衰退する」という負のスパイラルからの脱却への道標となり得よう。
CCCマーケティングでは、「未利用魚活用プラットフォーム」を通じてT会員、SDGsやサステナビリティ、食、海洋政策の領域に関わる知見や多様な視点を有する専門家に参画いただき、共に"持続可能な食"を実現するための対話を重ね、「エシカルフード」の中でも未利用資源の商品開発・啓発に取り組んでまいります。そして、「Tカードみんなのエシカルフードラボ」の活動ひとつひとつが、未来につながる食の循環を作ることに貢献してまいります。
- 【「未利用魚活用プラットフォーム」のメンバー】(以下、敬称略、五十音順)
■公認会計士 植草茂樹(東京農業大学客員教授、事業構想大学院大学産官学共創部ディレクター)
専門領域:6次産業化や地域連携の視点のサポート
■一般社団法人Chefs for the Blue 佐々木ひろこ
専門領域:食・エシカル領域の知見に基づいたプロジェクト推進
■東京海洋大学学術研究院 海洋政策文化学部門 准教授 松井隆宏
専門領域:水産経済学、資源管理を基礎とした持続的な漁業経営や漁村活性化に関する研究・活動
■株式会社フューチャーセッションズ 有福英幸、芝池玲奈
専門領域:マルチステークホルダーによる対話の企画・運営
■CCCマーケティング株式会社 瀧田希、中岸恵実子、石橋輝久、湯浅知里
※1:ユニークデータとは、約7000万のシングルID、年35億件以上の購買トランザクション、15万店舗のネットワークで扱われる60億種類の商品データ、約数千項目からなる顧客DNAのペルソナデータ、オフライン・オンライン上の移動・行動データやメディア接触データ、またCCCMKグループオリジナルのエンハンスデータなどを指します。