量子関連技術で勤務シフト作成時間を5割超短縮、業務実証に成功

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株式会社日立製作所/KDDI株式会社/株式会社KDDIエボルバ

株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区、執行役社長兼CEO:小島 啓二、以下 日立)、KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長: 髙橋 誠、以下 KDDI)、株式会社KDDIエボルバ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:若槻肇、以下KDDIエボルバ)は、2022年6月に量子コンピューティング関連技術(注1)を活用して、auのメッセージサポート業務を担うコンタクトセンターのスタッフの勤務シフトを自動作成し、2022年7月に実勤務へ適用する実証(以下 本実証)を行いました。

本実証により、管理者がシフト作成にかける時間を5割超短縮できることを確認しました。また、実際の勤務への適用後に実施した調査では、9割以上のスタッフが勤務シフトの自動作成に肯定的な回答となりました。3社は2023年度以降の実用化を目指します。

 

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勤務シフトの作成は、スタッフの契約条件、勤務希望・スキル要件などの勤務条件、時間帯ごとの必要人員数の調整など、複雑な条件を満たす必要があり多くの時間を要します。

コンタクトセンターを中心とするビジネス・プロセス・アウトソーシング事業を展開するKDDIエボルバでは、従来、勤務シフトを作成する専門の管理者が勤務希望やスキル平準化などの20個以上の勤務条件をもとに人手で勤務シフトを作成していました。日ごと・時間帯ごと・スキルごとに必要なスタッフ数を満たすなどの考慮が必要なため、約100名のスタッフの勤務シフト作成に熟練した管理者でも11時間以上を要していました。

また、一般的な勤務シフト作成ツールは、必要人員数の調整は可能ですが、勤務条件を十分に満たすことができず人手による修正が発生し、全体工数が増えてしまうことが課題です。このツールを用いて100名規模のシフトを作成する場合、修正作業やスタッフとの調整を含めて20時間を要しました。さらに、特定スタッフの勤務時間帯に偏りが出るシフトが生成され、不公平感からスタッフの理解が得られないといった課題もありました。

このたび、この課題を解決し業務の効率化を図るため、3社で本実証に取り組みました。

KDDIは、株式会社KDDI総合研究所の協力のもと、量子コンピューティング関連技術を用いて勤務シフトを作成するための計算手法を研究しています。また、日立は量子コンピューティングを模した日立独自の計算技術「CMOSアニーリング(注2)」を使用した「勤務シフト最適化ソリューション(注3)」を提供しています。KDDI、日立両社の量子コンピューティング関連技術に関する知見を共有し、実勤務に適用可能なレベルを確保するため実証内容について議論・協創してきました。

本実証ではKDDIエボルバの北海道地区事業所約100名のスタッフの1カ月分の勤務シフトを作成しました。勤務条件に関するデータの準備やスタッフとの最終調整も含め約5時間で作成を完了することができました。また、本実証では量子コンピューティング関連技術によってシフト作成にかかる工数削減だけではなく、特定スタッフに偏りの出ない勤務シフト作成が可能となりました。

日立、KDDI、KDDIエボルバは、シフト作成業務の負荷軽減とスタッフの業務効率改善に向け、量子コンピューティング関連技術を使った勤務シフト作成の実導入を目指していきます。
 

  • (注1)  組合せ最適化問題をQUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization:二値の二次式で表される最適化問題)で表現し、量子コンピューターを含むイジングマシン(組合せ最適化問題を解くための技術)を用いて計算するための仕組み。
  • (注2)  量子を使わず半導体上でイジングモデルの振る舞いを擬似的に再現した、日立が開発した技術。組合せ最適化問題を効率良く解くことが可能。
  • (注3)  お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するLumadaソリューションの1つ。https://www.hitachi.co.jp/lumada/

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