実施概要「奥尻島ホソメコンブ調査隊~海と日本プロジェクト~」
・開催概要 小学生がホソメコンブを通じ、海に関して学ぶ。主な学習内容…天然と養殖昆布の違い、水産資源管理、食材としてのホソメコンブ、漁業と漁港整備、森と川と海の関係、など
・日程 2021年8月5日(木)~6日(金)
・開催場所 北海道奥尻町
・参加人数 小学生12人(函館エリア6名の小学5~6年生、奥尻町6名の小学1~6年生)
・協力団体 奥尻地区海藻生産・活用調査検討協議会(構成団体:奥尻町、ひやま漁業協同組合奥尻支所、国土交通省北海道開発局、海藻活用研究会、公益財団法人函館地域産業振興財団、北海道檜山振興局、奥尻地区水産技術普及指導所/オブザーバー:北海道経済産業局)
縄文時代から日本海の要所であった奥尻島の「幻の献上昆布」
奥尻島(おくしりとう)は北海道南西部の日本海上に浮かぶ島。その歴史は古く、縄文時代から人が住んでいました。ホソメコンブは北海道の日本海沿岸に適した種で、奈良時代には朝廷への献上昆布とされていましたが、細く短い見た目から利用が減少し、近年、その流通量は昆布総生産の0.1%以下にまで落ち込んでいます。しかし、ホソメコンブに含まれるネバネバ成分(フコイダン)が健康に良いことや、濃厚な味がとれるという特徴をもつことから、「幻の献上昆布」としてブランド化して町おこしにつなげようという取組みがスタートしました。今回の講座は、その取組みを推進する「奥尻地区海藻生産・活用調査検討協議会」と当会が協働し、ホソメコンブをテーマにした小学生向けの海洋教育ツアーを企画し、初めて実施したものです。
養殖ホソメコンブを持つ参加児童。養殖は大きく育ち、細めではなく太め。その立派さにビックリ。
天然ホソメコンブは「ウニをおいしくする」ので収穫せず、新たに養殖を開始
奥尻島の特産品は甘くて美味しいウニ。なぜ甘くなるのかというと、ウニが海の中でホソメコンブを食べているからです。ホソメコンブには”粘性多糖類”というネバネバ成分が多く含まれており、ウニはこの成分を体の中で分解してエネルギーに変え、その際に粘性多糖類がに単糖に変化するので、ウニが甘くなります。
奥尻町ではウニの餌としての水産資源保護および海の生態系維持の観点から「天然ホソメコンブは収穫しない」ことをルール化し、同時に地域の漁業の未来を考えて、ホソメコンブの養殖を始めました。
ホソメコンブ料理体験を通じて、食材としてのホソメコンブについても学ぶ
ホソメコンブはさっとゆでた後、叩いて刻むとネバネバがでます。「これは、コンブが身体を守ろうとする防衛反応のひとつです。このネバネバに含まれる成分は、血圧を下げたり、血栓やガンの予防に役立つことが分かっています。」(講師:海藻活用研究会 渡辺さん)。
森・川・海のつながり。海の栄養は森からやってくる!
児童たちが最後に訪れたのは「奥尻21世紀復興の森」。島の北央部にひろがるブナの原生林です。
「奥尻町は小さな島ですが、この森が天然の貯水池の役割を果たしているため、水が豊富。お米も作っているんですよ。皆さんの足元には、ブナの葉っぱがたくさん落ちていますね。葉っぱが混ざってできた土を『腐葉土』と言います。このフカフカな腐葉土に落ちた雨水は、栄養たっぷりの水になって地下水にしみこみ、川を通じて海に注がれます。森と川、海はつながっていて、森の栄養がウニや魚などを育てているんです。」(講師:奥尻町水産農林課の横田さん)
詳細レポートは、はこだて海の教室ブログへ。10月には報告会を実施!
「奥尻島ホソメコンブ調査隊~海と日本プロジェクト~」全行程のレポートを、はこだて海の教室ブログに掲載しました。興味を持った方はぜひご覧ください。10月末には、函館蔦屋書店にて、参加児童による報告会を予定しています。報告会の日程も後日、ブログで発表します。
→ はこだて海の教室ブログ https://blog.canpan.info/hakodate-umi/archive/68
団体概要
団体名称 :はこだて海の教室実行委員会
団体所在地 :函館市旭町6-14
電話番号 :0138-86-7602
会長 :菅原雅仁
設立 :2018年12月1日
URL :https://www.hakodate-umi.com/
活動内容:函館朝市ミニ水族館の運営、海に関連した「子ども向け講座」を実施
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/