「水と衛生」最新報告書:コロナ禍でも世界の3割が家で手洗いできず【プレスリリース】

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Displaced children utilise a UNICEF-supported water point in Haddi IDP camp near Borama, Somaliland on the 10th February 2021.

水、トイレ、手洗い設備の普及加速が急務

「水と衛生」最新報告書:コロナ禍でも世界の3割が家で手洗いできず【プレスリリース】のサブ画像1_ユニセフの支援でHaddi避難民キャンプ設置された手洗い場で、手を洗う子どもたち。(ソマリア、2021年2月撮影) © UNICEF_UN0414850_Naftalinユニセフの支援でHaddi避難民キャンプ設置された手洗い場で、手を洗う子どもたち。(ソマリア、2021年2月撮影) © UNICEF_UN0414850_Naftalin

【2021年7月1日 ジュネーブ/ニューヨーク発】

ユニセフ(国連児童基金)と世界保健機関(WHO)は本日、水と衛生に関する共同監査プログラム(JMP)による最新報告書『家庭の水と衛生の前進2000-2020(原題:Progress on household drinking water and sanitation and hygiene 2000 – 2020)』を発表し、前進の速度を4倍に加速させなければ、2030年になっても、世界の何十億もの人々が家庭で安全に管理された飲料水、衛生設備(トイレ)、衛生サービスを利用できないだろうと指摘しています。

本報告書はまた、家庭での安全に管理された飲料水、トイレ、衛生サービスへのアクセスに関する、過去5年間の推計値を示し、2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)の目標6「2030年までにすべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」の達成に向けた進捗状況を評価しています。そして、月経時の健康に関する新たな国別データを初めて紹介しています。

2020年には、約4人に1人が自宅で安全に管理された飲料水を得ることができず、世界人口の半数近くが安全に管理されたトイレを使用できていませんでした。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、適切な手指衛生をすべての人が行えるようにすることが緊急の課題として浮き彫りになりましたが、パンデミックの発生時点では、世界の10人に3人は自宅で石けんと水を使って手を洗うことができませんでした。

■進捗と課題
本報告書では、基本的な水・トイレ・衛生習慣(WASH:Water, Sanitation and Hygiene)サービスに誰もがアクセスできる世界の実現に向けて、その進捗が報告されています。2016年から2020年の間に、自宅で安全に管理された飲料水を利用できる人の割合は世界の70%から74%に、安全に管理されたトイレを利用できる人の割合は47%から54%に、石けんと水を備えた手洗い設備を利用できる人の割合は67%から71%に増加しました。

2020年には初めて、下水道に接続ではなく、排泄物を効果的に封じ込めて処理できるピット式トイレや浄化槽などのオンサイト衛生設備を利用する人が増えました。政府は、糞尿汚泥の管理を含む、安全に管理されたオンサイト衛生設備への十分な支援をする必要があります。

■喫緊に必要な投資
本報告書はまた、現在の傾向が続くと、何十億もの子どもたちや家族が、命を守る重要なWASHサービスを受けられず取り残されることになるとしています。例えば以下の推計が示されています。

  • 2030年までに、世界人口の81%は自宅で安全な飲料水を利用できるようになる一方、16億人は取り残される
  • 2030年までに、安全なトイレを利用できるようになるのは67%に留まり、28億人が取り残される
  • 2030年までに、基本的な手洗い設備を利用できるようになるのは78%のみで、19億人が取り残される

 

「水と衛生」最新報告書:コロナ禍でも世界の3割が家で手洗いできず【プレスリリース】のサブ画像2_ボリバル州で、2つのコップを手に持つ子ども。新しく設置された水タンクの水(左)と、設置以前に飲んでいた川の水(右)がそれぞれ入っている。(ベネズエラ、2020年7月撮影) © UNICEF_UNI356134_Tineoボリバル州で、2つのコップを手に持つ子ども。新しく設置された水タンクの水(左)と、設置以前に飲んでいた川の水(右)がそれぞれ入っている。(ベネズエラ、2020年7月撮影) © UNICEF_UNI356134_Tineo

また、報告書では、弱い立場にある子どもや家族が最も苦しんでいる、という大きな不平等も指摘しています。2030年までに誰もが安全に管理された飲料水を利用できるようにするためには、後発開発途上国における現在の進捗率を10倍にする必要があります。また、不安定な状況下では、安全な飲料水を得られない可能性が2倍高く、進捗を23倍にする必要があります。

ユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは、「パンデミック以前から、何百万人もの子どもたちや家族が、清潔な水や安全なトイレ、手を洗う場所もなく、苦しんでいました」と述べています。「こうした命を守るサービスの拡大に向けた、これまでの目覚ましい進展にも関わらず、深刻なニーズの高まりは私たちの対応能力を上回り続けています。今こそ、COVID-19のような感染症との闘いを含め、健康と幸福を支える最も基本的なニーズをすべての子どもと家族に提供するための取り組みを大きく加速させる時です」

その他、報告書は以下の重要な点も指摘しています。

  • 基本的な給水サービスを受けられない10人中8人は農村部で暮らしています。一方、安全に管理されたトイレは、世界の都市人口の62%に普及していますが、農村人口では44%しか普及していません。
  • サハラ以南のアフリカは、世界で最も進捗が遅れています。安全な飲料水を利用できる人は54%に過ぎず、不安定な状況にある地域ではわずか25%です。
  • 月経時の健康に関する新たなデータによると、多くの国で、かなりの割合の女性と女の子が月経時の健康ニーズを満たすことができず、特に貧困層や障がい者などの弱い立場にある人々の間で大きな格差が生じています。

WASHの普及を加速させるには、国際機関、政府、市民社会、民間セクターの最高レベルの意思決定において、優先事項とされる必要があります。 そのためには、各国が進捗状況を把握できるように、ハイレベルの政治会合でWASHが定期的にアジェンダとして取り上げられなければなりません。これは、水と衛生に関する国連会議としておよそ50年ぶりとなる、「水の国際行動の10年」の中間レビューが2023年に控えているという状況においても重要です。

※補足
ユニセフとWHOによる水と衛生に関する共同監査プログラム(JMP)は、SDGsの目標とターゲットおよび、水・トイレ・衛生習慣(WASH)に関する指標に対する世界の進捗状況をモニタリングする役割を担っており、家庭、学校、保健・医療施設におけるWASHの進捗について、国、地域、世界の推計値を算出しています。

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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

 

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