小笠原村との保全活動として、1年間お預かりして大切に育てます
当館は、2012年の開業時より東京都小笠原村と提携し、絶滅危惧種アオウミガメの保全活動に参画しています。その活動の一環として、小笠原で生まれた赤ちゃんを、外敵に襲われにくい大きさまで当館で約1年間大切に育て、故郷の海へ放流する活動を行っています。昨年お預かりした2匹のアオウミガメは、1年間で甲長が約9cmから約23cmに成長し、本年も10月以降に飼育スタッフの手で小笠原の海に還します。
「ウミガメ水槽」では、アオウミガメの赤ちゃんが水中を過ごすようすや、ゴハンを食べるようすを間近で観察できます。水槽の壁面には、赤ちゃんの毎日の甲長・体重などの測定データ、成長グラフ、飼育スタッフの手描きの観察メモなどをパネルで掲示します。
成長の過程を見守っていただくことで、アオウミガメの育つ小笠原の豊かな自然や保全活動を知るきっかけになっていただければと思っております。
今年お預かりする7月に生まれた赤ちゃん2匹の名前は、10月上旬に館内や公式ウェブサイト、SNSでの発表を予定しています。
アオウミガメの赤ちゃんは成長が早いため、水族館を訪れるたびに大きさや顔つきが変わっていきます。成長を見守り、何度も会いに来たくなるような展示をお楽しみください。
- 「アオウミガメの赤ちゃん」一般公開 展示概要
1.展示について
展示期間 | 2021年10月2日(土)~2022年8月下旬予定 |
展示場所 | 6階 サンゴ礁エリア「ウミガメ水槽」 |
展示内容 | 今年の7月20日に小笠原で生まれた、甲羅の長さが約10cmのアオウミガメの赤ちゃん2匹を迎え、小笠原の海に還すまでの約1年間「ウミガメ水槽」で公開します。水槽では赤ちゃんがゴハンを食べるようすを間近で見たり、飼育スタッフの飼育メモと見比べながら、赤ちゃんの1年間成長を見守ってください。 ※いきものの体調などにより展示内容は予告なく変更する場合があります。 |
2.放流のようすを館内にて放映
展示日程 | 2021年10月9日(土)~ |
展示場所 | インフォメーション横 館内モニター |
展示内容 | アオウミガメは、約1年間飼育することで体が大きくなり、外敵に襲われるリスクが下がります。昨年9月13日から約1年間すみだ水族館で過ごし、甲羅の長さが約9cmから約23cmに成長した「コペペ」を、10月5日(火)に故郷である小笠原の海へ放流する際のようすを撮影し館内で放映します。成長を見守っていただいた多くのお客さまに、大海原に還っていく「コペペ」の姿をお届けする予定です。 ※ジョンは右上腕骨の骨折で治療中のため、完治し次第、飼育スタッフが小笠原の海に還しにいきます。 |
<備考>常設展示「小笠原大水槽」
東京都唯一の世界遺産である小笠原の海を再現した大水槽「小笠原大水槽」では、小笠原からやってきた約45種450点のいきものたちをご覧いただけます。国内の水族館で唯一※、小笠原で生まれたシロワニをご覧いただけるほか、小笠原独特の濃く、深く、どこまでも青く透き通った海の色「ボニンブルー」を再現する照明演出を行っています。
※日本動物園水族館協会登録より
<この取組について>
2011年6月に世界自然遺産に登録された小笠原諸島は、国内最大のアオウミガメの産卵地であり、現地での保全、放流活動が行われています。すみだ水族館は小笠原の活動に賛同し、お客さまにアオウミガメの赤ちゃんのかわいらしい姿や希少性をお伝えるため、アオウミガメの赤ちゃんをお預かりして約1年間育て、小笠原諸島の海へ放流する活動※を行っています。例年は水族館飼育スタッフが小笠原までウミガメの赤ちゃんをお迎えに行きますが、今年は、小笠原村立小笠原小学校5年生のみなさんが赤ちゃんを測定して送り出してくれました。また現在2匹の赤ちゃんの名前を考えていただいており、10月上旬に館内や公式ウェブサイト、SNSでの発表を予定しています。
※小笠原村が所有する小笠原海洋センターでウミガメの保全活動を行っている認定NPO法人エバーラスティング・ネイチャーが主催する、ウミガメジョイントブリーディングプログラム。
<アオウミガメについて>
アオウミガメはIUCN(国際自然保護連合)及び環境省により絶滅危惧種としてレッドリストに登録されています。
小さい頃は雑食性ですが大きくなると主に海藻や海草を食べ、甲羅の大きさが最大約100cm、体重約200kgまで成長します。
毎年春から夏にかけて浜辺で産卵し、約2か月後に孵化します。一度に100個以上の卵を産みますが、1年以上生きられるものはごくわずかで、成熟するまでには約40年かかると言われています。