大日本印刷とトーハン 生活者起点の出版流通改革に向けて全面的に提携

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返品率削減による廃棄極小化などにより、環境に配慮した出版流通基盤の構築を目指す

大日本印刷株式会社(本社:東京 代表取締役社長:北島義斉 以下:DNP)と株式会社トーハン(本社:東京 代表取締役社長 近藤敏貴)は、生活者を起点とする出版流通改革に向けて、全面的な提携を行うことに合意し、具体的な取り組みを開始します。

【今回の提携主旨】
DNPとトーハンは、両社の強みを活かして、「読者に、読みたい本を確実に届け、読者の裾野を広げていく」ため、出版流通を持続可能なものとすることを目指し、生活者起点の出版流通改革「出版デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組むこととし、2021年4月1日に合意書を締結しました。

【出版流通の現状と課題】
日本の出版流通に関わる出版社・取次・書店等のステークホルダーは、従前から流通の継続・維持と収益改善に努め、一部に返品率削減などの改善効果も表れ始めています。一方、市場全体の売上減少傾向は続いており、さらにネット通販の拡大等による物流ネットワークの逼迫と相まって、出版流通全体の変革が求められています。
こうした状況に対して、 DNPとトーハンの両社は、あらためて生活者を起点とした全体最適の視点に立ち、出版流通の基盤を再整備する必要があると捉えています。この再整備に最優先で取り組むことにより、物流の合理化や出版社の返品在庫の廃棄極小化を図り、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にもつなげていきます。

【課題解決に向けた「4つの改革」】
出版流通関連の各ステークホルダーが全体最適の視点で出版流通改革の実現に向けて協力し、以下の4つの改革を実施して出版流通基盤を再構築することで、生活者の購読機会を拡大するとともに、その結果としてステークホルダー各社の収益改善につなげていきます。
①製造・物流改革 : 製造と物流の連携による適時・適量の配本体制の確立
②情報流通改革  : 読者の需要情報(注文・購買)や書店・出版社の在庫を共有する情報基盤の確立
③商流改革     : 読者の需要に応じたマーケットイン型販売体制の確立
④販促改革     : 書店の顧客向けのマーケティング力の強化、新たな読者獲得手法の提供

■「4つの改革」の具体的な取り組み
○取り組みの第一弾として、これまでDNPが丸善ジュンク堂書店と共同で整備してきた書籍流通センター(SRC)を、新たにトーハン桶川SCMセンター内に設置し、トーハンの倉庫・物流機能との連携を強化して、「①製造・物流改革」を推進します。設置時期は2022年夏~秋を予定しています。
○また、1冊から製造可能なDNPの書籍製造一貫工場(白岡工場)との連携強化や、出版社倉庫との連携拡大により、「②情報流通改革」としての適時・適量の配本を実現します。
○これらの取り組みを土台とし、「③商流改革」の一環として、読者ニーズを起点とした共同仕入の取り組みを進めるとともに、「④販促改革」として書店での販売力の向上を図っていきます。
○まず、トーハン及びDNPのグループ書店でテストを実施し、その後、両社グループ以外の書店の参入を促進し、全国規模での出版流通改革の実現を目指します。

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【今後の展開など】
DNPは2015年度に、グループの丸善ジュンク堂書店と連携し、書店や出版社等での在庫と連動したフレキシブルな物流拠点として、タイムリーに書籍をお届けする書籍流通センター(SRC)を整備しました。製造から物流・販売までのリードタイムを短縮し、「欲しい時に欲しい本を手に入れたい」という読者の需要に柔軟に対応してきました。
トーハンは2019年度より中期経営計画『REBORN』をスタートし、重要施策としてマーケットイン型出版流通の構築に取り組んでいます。読者や書店のニーズを起点とした流通を実現し、人々が必要な時に必要な本を手軽に入手できるインフラを整備し、これからも出版文化の普及向上に貢献していきたいと考えています。
今回の両社の連携により、マーケットの需要に応じた配本を強化し、出版流通市場全体で書店の欠品をなくして、販売機会の増大を実現していきます。すでに、出版社ではオーム社・偕成社・河出書房新社・新星出版社・ポプラ社・有斐閣等、書店では三省堂書店から、当取り組みに対する参画の意思表明をいただいています。

 現在のコロナ禍において、出版物の存在価値や必要性があらためて明確になってきました。自由かつ多様性に富んだ出版文化が将来にわたって存続し、誰もが望む時に本を楽しむことができる環境は、社会の発展に必要不可欠なものだと両社は考えており、今回の提携を通じて、こうした環境の整備を進め、さらなる出版文化の発展を推進していきます。

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