バイオプロセス×AIのdigzyme、放線菌宿主によるカンナビノイド化合物生産システム実証プロジェクトがNEDO事業に採択

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in silicoデザインを活用したカンナビノイド化合物のバイオプロセス開発を加速

バイオインフォマティクスを基盤技術とする東工大発ベンチャー「株式会社digzyme(ディグザイム、東京都港区、代表取締役CEO渡来直生、以下digzyme)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)が実施した2022年度「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発/産業用物質生産システム実証(※)」(最大助成額:2億4000万円(委託フェーズ/2年:4000万円、助成フェーズ/3年:2億円))に関わる公募において採択されました。
※NEDO事業:https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100170.html

助成事業の名称:放線菌宿主によるカンナビノイド化合物生産システム実証
事業期間:2022年度履行開始日〜2026年3月末日予定
委託フェーズ:2年、助成フェーズ:3年
※委託フェーズ終了後、ステージゲート審査あり
再委託先:産業技術総合研究所

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■digzymeのミッション
digzymeは、バイオインフォマティクスを基盤技術として物質生産プロセスに変革を起こし、環境と経済を両立することをミッションとして掲げている東工大発ベンチャーです。近年、石油依存の化合物生産法はエネルギーコストが高く、低炭素化社会の実現に向け、SDGやESG投資の観点からも転換が求められています。その解決策としてバイオプロセスが注目されています。従来のバイオプロセス開発は、研究者が、勘と経験など属人的な判断に頼っており、さらなる効率化が求められています。そこでdigzymeは、課題を解決するために、研究開発の初期から効率化を見据えた最適なバイオプロセス戦略を提案することで、顧客のペインを解決します。

■本プロジェクトの事業内容
【背景】カンナビノイドは、大麻草由来の有用成分の総称で、潜在的な医薬品、健康食品、化粧品として注目を集めている。特に、大麻草において最も高濃度の成分の1つであるカンナビジオール(CBD)は精神作用や中毒性がなく、抗酸化作用、抗炎症効果、リラックス効果などの作用が期待され、食品や化粧品として販売されています。一方でCBDと同等の高濃度成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)は、精神活性作用や依存性があり、日本においては大麻取締法で規制されています。

【解決すべき課題】カンナビノイド生産は大麻草からの抽出が最も多いが、カンナビゲロール(CBG)を含む希少カンナビノイドについては、大麻草含有量が非常に少ないため、抽出法での大量生産は難しいです。そこで、化粧品や食品用途などでも扱いやすく、かつ安定的に、安価にカンナビノイドを合成できる可能性があるバイオ合成法が注目されています。基礎研究レベルでは、酵母や大腸菌に大麻草由来の合成遺伝子を導入することで生産に成功しているが、実用化にはほど遠い状況です。(表1)また、有用カンナビノイドとTHCを特異的に作り分ける酵素の開発は進んでおらず、新たな技術や生物資源の開発が求められています。

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【解決手段】麻によるカンナビノイド生合成経路について、先行研究により多段階の酵素反応であることが解明されています。従来のバイオ合成戦略においては、この麻由来の生合成経路をそのまま宿主微生物に導入しカンナビノイド合成を検討しています。しかし、植物と微生物では代謝システムや細胞器官が異なるため、この手法は発酵生産に対して必ずしも適合しているとは言えません。本事業では多様な二次代謝機能を持つ放線菌を利用し、微生物由来の二次代謝遺伝子資源の中から目的に合致する酵素を探索・最適化して、放線菌に導入することでカンナビノイド化合物の生産を目指します。委託フェーズとして①微生物代替酵素等を駆使した放線菌宿主によるカンナビノイド化合物生産菌の確立、及び②in silico 解析による酵素探索・改変および代謝改変の予測法の開発と実践を実施します。(図1)委託フェーズでは、最終的にCBGA 100 mg/Lでの生産を目指します。助成フェーズでは、③ジャーファーメンターでの高生産性株およびタンク培養レベルでの製造法の開発を実施します。③では、①、②により取得したカンナビノイド高生産菌を用いて段階的にスケールアップしつつ、高生産するための培養条件等の検討を進めます。本工程ではCMOやバイオファウンドリ拠点を活用し、最終的にCBGA 1000 mg/Lでの生産を目指します。

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■本事業からの展開

本事業の対象であるCBGは、ほとんどのカンナビノイドの前駆体になります。本事業の成果を活用して、CBDの開発を並行して進めていきます。CBDの合成において、副生物質として微量のTHCが合成されることが報告されています。digzymeは、独自のin silico技術を駆使して、THCを合成しない、特異性の高いCBD合成酵素開発していきます。また将来的には、THCVなどの希少カンナビノイドへ事業展開していくことを検討しています。製造や販売でのパートナーも随時募集しておりますのでお気軽にお問合せください。

会社概要
社名:株式会社digzyme
代表者:代表取締役CEO 渡来直生
所在地:東京都港区新橋1丁目16−6新橋柳屋ビル5F
創業:2019年8月
事業内容:バイオインフォマティクスによる酵素開発
化合物生産及び分解のバイオプロセス開発
ウェブサイト:https://www.digzyme.com/
本件に対するお問い合わせ(担当:和泉):[email protected]

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