ジェイテクト、電動化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.」を新開発

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ジェイテクト、電動化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.」を新開発のメイン画像

~eAxleの更なる小型化、高出力密度化に貢献~

株式会社ジェイテクト(本社:愛知県刈谷市、社長:佐藤和弘、以下「ジェイテクト」)は、今後のBEV(電気自動車)市場拡大を見据え、従来のデファレンシャル(以下「デフ」)を超小型化した「JTEKT Ultra Compact Diff. (以下「JUCD」)®」を新たに開発しました。
※JTEKT Ultra Compact Diff. 及びJUCDはジェイテクトの登録商標です。

【eAxleの小型化ニーズについて】

自動車の電動化が進む中、インバータ、モータ、デフを含む減速機を一体化させたeAxleと呼ばれる電動駆動システムの開発・採用が急激に拡大しており、より良いBEV実現のためにはその駆動源の心臓部であるeAxleの小型化・高出力密度化が求められています。

この市場ニーズに対応すべくこれまで広く一般的に使われてきたベベルギヤ式デフに代え、eAxle幅寸法短縮や減速機小径化などに寄与する超小型デフの需要が伸びると見込まれています。

【JUCDの開発経緯】

ジェイテクトでは、eAxleへの搭載に適した、超小型かつ高耐久性を持つデフ「JTEKT Ultra Compact Diff.」を開発しました。デフとは、自動車の旋回時など走行中に発生する左右輪間の回転差を吸収しつつ、両輪と駆動源をつなぎトルク伝達を行う差動装置です。

従前の高出力4WD車やスポーツ車向け高機能デフとして実績あるトルセンLSD技術に、新たな歯車設計・加工技術の知見を加えて更に進化させ、特長ある複合プラネットギヤを小モジュール化することで幅・径方向の小型化を図りeAxle向け汎用の超小型デフとしてリボーンさせました。
※LSD:Limited Slip Differential 差動制限機能付きデフ
 

ジェイテクト、電動化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.」を新開発のサブ画像1_JTEKT Ultra Compact Diff.JTEKT Ultra Compact Diff.

ジェイテクト、電動化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.」を新開発のサブ画像2_JUCD差動ギヤ構造JUCD差動ギヤ構造

ジェイテクト、電動化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.」を新開発のサブ画像3_ベベルギヤ式デフ事例ベベルギヤ式デフ事例

【開発品の特長と嬉しさ】

① 高トルク密度と高耐久性の両立、シリーズ化
JUCDは差動ギヤ構造を一新し、ベベルギヤ式デフと比較して差動ギヤの各かみ合い歯幅と出力ギヤとのかみ合い数を増加したことで差動ギヤ機能部の容積が同等ならデフ強度は2倍以上、デフ強度が同等なら必要容積が半分以下の高トルク密度化を図りました。また、デフケースと出力ギヤ間のトルク伝達を行うピニオンギヤの差動摺動支持部の各負荷をベベルギヤ式デフより低減させたことで高耐久性も確保しました。

さらにプラネットギヤセットは共通仕様とし、出力ギヤ歯数およびデフ外径の増やPGセット数増の選択により、デフ容積増を抑制しつつ幅広いトルク要求に対応するシリーズ化を図ります。

これらによりeAxleの様々な減速機構造やトルク要求に最適な超小型デフ提案を可能とし、eAxleの更なる小型・高出力密度化に貢献し、eAxleの車両搭載性の自由度を大きく向上します。

ジェイテクト、電動化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.」を新開発のサブ画像4_小型デフ搭載条件でのトルク密度比較小型デフ搭載条件でのトルク密度比較

ジェイテクト、電動化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.」を新開発のサブ画像5_各デフ構造の容積と強度の比較各デフ構造の容積と強度の比較

② BEVの電費向上、安全・安心性能の向上

JUCDは特長ある構造に由来するマイルドな差動制限特性を併せ持ち、滑りやすい路面での発進や登坂などでタイヤスリップ発生時に介入する摩擦ブレーキの負荷軽減や、減速時の車両挙動安定効果による回生ブレーキ適用領域拡大に貢献します。これらの効果で電費向上が期待できます。

また差動制限特性は直進安定性の向上にも寄与し、直進定常走行時のハンドル微調整が軽減され、ドライバーの疲労低減と乗り心地の向上に貢献します。

【今回の開発品を通じて達成可能なSDGsの目標とターゲット】

ジェイテクト、電動化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.」を新開発のサブ画像6

 

【7.3】2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
【9.4】2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。

【今後の展望】

ジェイテクトグループでは2021年11月に「Gear Innovation Center」を開所し、総合ギヤビルダーとして、お客様のニーズに対応した高性能歯車を超短期でご提案する体制を整えました。

自動車部品・軸受・工作機械で培った解析技術とモノづくりを融合することで、独自の3D歯面修整加工技術を確立し、小型かつ高耐久、低騒音の高性能な歯車および減速機の提案を実現しています。

引き続き、ジェイテクトが有する減速ギヤ・軸受・歯車加工技術の3つのシナジー効果を追求し、ギヤモジュールとして競争力を強化することで、「地球のため、世の中のため、お客様のため」となるモノづくりを通じて、低炭素社会の実現に貢献します。

【参考:ジェイテクトにおけるギヤビジネスの取り組みについて】

・ジェイテクトグループ 総合ギヤビルダーとしてGear Innovation Centerを開所
https://www.jtekt.co.jp/news/210930.html

・JTEKT STORIES ~大変革時代への挑戦総合ギヤビルダーとして「Gear Innovation Center」を新たにオープン~
https://www.jtekt.co.jp/stories/

以上

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