物価高騰で灯油が買えない、シリア難民の子どもたちの学校に暖房用灯油を届けるレバノン北部アルサール越冬寄付キャンペーン

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目標金額150万円、2023年2月15日まで

国際協力NGOパルシック(所在地:東京都千代田区、代表理事:穂坂光彦)は、冬の寒さが厳しいレバノン北部アルサールでシリア難民とレバノン人の子どもたちが通う学校に、3か月分の灯油を届ける寄付キャンペーンを開始しました。募集期間は、2023年2月15日まで。目標金額は150万円です。
URL: https://www.parcic.org/news/21292/

 

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  • レバノン北部アルサール 過酷な環境のシリア難民キャンプ 

レバノン北部のアルサールは、標高約1,500メートルの山間部に位置し、冬は雪が積もり、気温は氷点下になることもあるほど寒さの厳しい地域です。2011年3月にシリア内戦が始まって以降、シリアと国境を接するアルサールには多くのシリア難民が避難し、現在も3万2,000人が先の見えない過酷な生活を余儀なくされています。

 

物価高騰で灯油が買えない、シリア難民の子どもたちの学校に暖房用灯油を届けるレバノン北部アルサール越冬寄付キャンペーンのサブ画像2_雪の積もるアルサールのシリア難民キャンプ雪の積もるアルサールのシリア難民キャンプ

レバノンには、岐阜県と同じぐらいの面積に人口約600万人が住んでいますが、そのうちシリア難民は150万人いるといわれています。アルサールのあるバアルベック地方はシリア難民の数が多く、アルサールはバアルベック地方のなかでも特にシリア難民の多いエリアです。

 

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図1:色はその地方全体にいるシリア難民の総数で色分けされており、赤いほど人数が多い。グレーの丸は、大きさによってその区域(日本での市区町村)ごとにいるシリア難民の数を表しており、丸が大きいほど人数が多い。アルサールはいちばん大きな丸で、20,000~34,000人のシリア難民がいることを表している(出典:OCHA, “SYRIA REFUGEE RESPONSE LEBANON“ Syrian Refugees Registered 30 June 2022)
 

  • パルシックの教育支援 難民の子どもたちを「失われた世代」にしないために

レバノンに滞在するシリア難民のうち、半分以上は18歳未満の子どもであるといわれています。しかし、レバノンにおける6歳から14歳のシリア難民の就学率は2021年度で52%にとどまっています。レバノン政府は、シリア難民の子どもたちにも教育機会を提供するために、公立学校の授業を午前と午後の二部制にして、午前はレバノン人、午後はシリア人と分けていますが、学校の数も教員の数も足りず、学校に通えない子どもがたくさんいます。さらに、「学用品を購入できない」、「通学費を払えない」、「働かないといけない」などの理由でも、子どもたちは学校に通っていません。

シリア難民がレバノンにやってきて10年以上が経過してします。内戦は徐々に落ち着いてきているものの、戦争によって家が破壊されたり、帰っても仕事が無かったり、また迫害の恐れがあったりなどの理由から、難民のシリアへの帰還は進んでいません。子どもたちが教育の機会がないまま過ごすことは、たとえ帰還できたとしても、子どもたちの将来、そしてシリア社会にも大きな影を落とすことになるでしょう。

パルシックは2020年から、ジャパン・プラットフォームの助成を受け、シリア難民の子どもたちが少しでも教育の機会を得られるよう、アルサールにあるアルヌール私立学校の施設を借りて、シリア難民の子どもたちへの教育支援を行っています。
 

物価高騰で灯油が買えない、シリア難民の子どもたちの学校に暖房用灯油を届けるレバノン北部アルサール越冬寄付キャンペーンのサブ画像4_12月、パルシックの支援するクラスの新学期がスタートしました12月、パルシックの支援するクラスの新学期がスタートしました

  • 厳しい寒さがすぐそこに。悪化の一途をたどるレバノンの経済危機のなかで

しかし現在、同校に通い教育を受けている6~14歳の約875人のシリア難民とレバノン人の子どもたちが、このままでは今冬、5度以下にまで下がる凍えるような教室で授業を受けなければならないという危機に直面しています。なぜなら、ストーブの燃料である灯油を購入する金銭的余裕がないからです。

現在レバノンは、シリア難民の流入に起因する前途多難な経済危機に加え、新型コロナウイルスやベイルート大規模爆発、さらにはウクライナ戦争の影響により、未曽有の経済危機に陥っています。2019年10月から2022年10月までの3年ほどで貨幣価値は26分の1以下まで下がり、物価の高騰、深刻な燃料不足による発電所の未稼働、さらには首都ベイルートでも1日1時間も電気がくるか否かといった停電が常態化している状況です。暖房に使う灯油も例にもれず、価格が3年前と比較するとレバノンポンド建てで約30倍に上昇しています。

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図2:緑の線(矢印)が灯油の金額。経済危機前の2019年は20Lで14,000レバノンポンド前後だったが、2022年10月には431,000レバノンポンドと約30倍に値上がりしている。 (Lira Rate App | USD to LBP | Fuel Price Lebanon | Sayrafa Rate)

レバノンにおけるシリア難民は、経済危機の始まった2019年以降、その9割が最低限生存に必要な金額(*1)以下の支出で生活しています。特にアルサールで暮らすシリア難民の大半は、木材で作った枠に薄いビニールシートを覆っただけのテントでの過酷な生活環境の中で暮らしており、就学に関しても、学齢期の子どもの4割しか教育を受けられていません。
 

物価高騰で灯油が買えない、シリア難民の子どもたちの学校に暖房用灯油を届けるレバノン北部アルサール越冬寄付キャンペーンのサブ画像6_雪で覆われたアルサールの難民キャンプのテント雪で覆われたアルサールの難民キャンプのテント

ホストコミュニティーで生活するレバノン人も経済危機の打撃を受け、2021年時点で既に、7割以上が多次元貧困(*2)に陥っており、その割合は増え続けていると見られます。レバノン全土において、国籍問わず120万人以上の学齢期の子どもたちが教育へのアクセスが既になく、現に教育を受けていても、経済的理由で学校をドロップアウトしてしまう子どもが少なくありません。灯油に関しても、仮に学校が無理に灯油を購入してその費用を学費に上乗せすれば、さらに多くの子どもたちが学費の支払いが困難で教育をあきらめざるを得なくなるでしょう。

このような過酷な状況下であっても、多くのレバノン人とシリア難民の親たちは、子どもたちに教育を受けさせることが将来のための数少ない希望と信じ、子どもたちも学校に通って勉強に励むことを切望しています。学校は学びの場であると同時に、日常生活の慢性的なストレスから解放される心の拠り所だからです。

*1生きるのに最低限必要な1日当たり2,100キロカロリーを満たす食料、料理用燃料等を購入するのに必要な金額
*2健康、教育、生活水準に関する加重指標の3分の1以上で貧困状態にある人びとを指します
 

  • 極寒の学校に灯油を届ける寄付キャンペーン

パルシックは、シリア難民とレバノン人の子どもたちが極寒の冬期を、少しでも暖かい教室で学び勉強を続けられるよう、緊急で寄付キャンペーンを立ち上げ、アルヌール学校の29教室(875人)に3か月分の灯油を届けます。
 

物価高騰で灯油が買えない、シリア難民の子どもたちの学校に暖房用灯油を届けるレバノン北部アルサール越冬寄付キャンペーンのサブ画像7_昨冬に灯油ストーブで体を温めながら授業を受ける子どもたち昨冬に灯油ストーブで体を温めながら授業を受ける子どもたち

■寄付キャンペーン概要

レバノン北部アルサールでの越冬支援「極寒の地で勉強に励むシリア難民とレバノン人の子どもたちに、暖房用灯油を届けたい!」

URL:https://www.parcic.org/news/21292/
・目標金額:150万円
・期間:2023年2月15日まで
・使途:アルヌール学校の29教室(875人)に3か月分の灯油を届けます

■ご寄付の方法

クレジットカード、銀行振り込みにて上記Webサイトよりご寄付いただけます。

*パルシックは認定NPO法人です。パルシックへのご寄付は寄付金控除の対象となります。

温かいご支援をどうぞよろしくお願いします。

<新学期を迎えたアルヌール学校からのメッセージ>

(YouTube ParcicChannelより: 1分19秒)

 

■本件に関するお問い合わせ
特定非営利活動法人パルシック(認定NPO法人) 広報担当 今村仙子
E-mail: [email protected]

▼パルシックとは https://www.parcic.org/
特定非営利活動法人パルシックは、地球の各地で暮らす人と人が、国家の壁を越えて助けあい、支えあい、人間的で対等な関係を築くことを目指して活動するNGOです。国際協力とフェアトレードを主な活動内容としています。現在は、 東京のほかに、パレスチナ、レバノン(シリア難民支援)、東ティモールに事務所があります。現地の方たちが農業や加工食品などで生計をたて、経済的自立はもちろん、誇りをもって、生活を送るためのサポートをしています。最近では特に、外国の占領や侵略あるいは紛争の下で、自立的な発展を阻まれた人びとが暮らしを取り戻す活動に力を入れています。
 

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