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株式会社イノフィス調査 ~ビジネスケアラーの身体的負担編~
腰の負担を軽減するアシストスーツ「マッスルスーツEvery」等を製造・販売する株式会社イノフィス(東京都八王子市、代表:乙川 直隆、以下「イノフィス」)は、働きながら介護をしているビジネスケアラーを対象に、「ビジネスケアラーの身体的負担」をテーマにした調査を実施しました。本プレスリリースでは、前編「身体的負担編」として、ビジネスケアラーの腰痛や肩こりなどの身体的負担の実態をまとめてご報告します。
ビジネスケアラーの身体的負担や精神的負担が及ぼす仕事への影響や、会社・人事への要望をまとめた後編「仕事と介護の両立編」は別紙プレスリリースをご覧ください。
- 調査結果概要
●ビジネスケアラーの63.4%が身体的負担ありと回答。半数が腰痛を抱えている
●イライラや不安感を抱えるビジネスケアラーが半数。3割が「眠れない」と回答
●身体的負担は要介護度との相関性なし。どの介護レベルでもビジネスケアラーの負担は大きい
●治療や服薬などにかかる平均費用は月8,789円。1万円以上が約3割
- ビジネスケアラーの63.4%が身体的負担ありと回答。半数が腰痛を抱えている
ビジネスケアラーとは、仕事をしながら介護も両立しているビジネスパーソンを指します。少子高齢化と共働き世帯の増加を背景に、今後ビジネスケアラーが増えると見込まれており、経済産業省が3月14日に公表した「産業構造審議会」の試算によると、2030年までにビジネスケアラーは約318万人にのぼるとされています(引用11)。現在はビジネスケアラーにとって介護と仕事の両立しやすい環境が完全に整っているとはいえず、仕事を続けられず介護離職に追い込まれる人が増える懸念があり、介護サービスの受け皿の整備や企業の支援体制の強化が重要視されています。
ビジネスケアラーの仕事との両立が懸念される中、あまり指摘されていないのが「介護による身体的負担の影響」です。介護は肉体的な作業が多く、様々な身体への負担が生じます。そうした実態を明らかにするため、「ビジネスケアラーの身体的負担」をテーマにした調査を実施しました。
アンケートに回答したビジネスケアラーのうち、63.4%の方が身体へのダメージや負担を感じていると回答しました。具体的な負担の内容を聞くと、50%以上の回答者が腰痛をあげたほか、肩こり、関節痛、筋肉痛と回答。2002年に京都大学医療疫学分野と福島県立医科大学整形外科が共同して行った腰痛に関する調査によると、20歳~80歳の男女の腰痛有病割合は30.6%というデータもあります(引用2)。今回の弊社が行った調査とは年齢等の対象が異なるものの、ビジネスケアラーで腰痛を感じていると答えた比率は、平均よりも高いと推察されます。また、本調査では腰痛を感じている人のうち肩こりを感じている人が81.3%、関節痛が85.5%、筋肉痛が89.0%と、複数の身体的負担を感じている人が多いことが分かりました。
- どの身体的負担も5割以上が「じっとしていても痛む」
さらに、具体的な身体的負担の深刻度について各負担別に尋ねました。「じっとしていても強く痛む」と「じっとしていても少し痛む」を合わせると、腰痛で58.7%、肩こりや関節痛ではそれぞれ69.4%、68.7%となり、どの負担項目においてもじっとしていても痛みを感じている人が半数以上という結果になりました。
既に述べた複数の身体的負担を感じている方が多い状況と併せて鑑みると、ビジネスケアラーの身体的負担は複合的で、じっとしていても痛みを感じていることから慢性的に負担になっていることが分かりました。
- 最も日常生活や仕事の支障になるのが「腰痛」。8割が“日常生活と仕事との両立”に支障あり
身体的負担の内容別に「日常生活への支障」「仕事との両立に対する支障」「精神的負担を感じているか」について尋ねたところ、どの質問に対しても腰痛が最も深刻であることが分かりました。特に、腰痛が日常生活と仕事の両立に支障があると答えたのは約8割と突出して高い結果となりました。体の要である腰が仕事や日常生活に与える影響はほかの症状に比べても大きく、腰痛を感じてしまうと影響が多岐に及ぶことが分かりました。さらに、身体的負担によって精神的な負担を感じるかを尋ねたところ、腰痛については58.0%と約6割の方が精神的負担も感じているという結果となりました。
厚生労働省の「業務上疾病発生状況等調査」では、業務上疾病(労災)の理由として毎年最も多いのが腰痛です(引用3 ※2020年以降の新型コロナウイルスによる病原体起因を除く)。
この結果と合わせて考えると、腰痛を発症すると日常生活や仕事などの日々の暮らしに与える負担が大きいことが推察できます。
- 身体的負担を抱えるビジネスケアラーは、42.2%が睡眠に支障を抱えている
身体的負担を感じているビジネスケアラーに限定して、身体的負担が日常生活に及ぼす影響と具体的な内容を尋ねたところ、最も支障があると答えたのが睡眠(42.2%)でした。次いで着替え(39.8%)、近所への外出(37.0%)と続き、有効回答数のうちの82.5%は支障があると回答しました。
- 介護によりイライラや不安感を抱えるビジネスケアラーが約半数。3割が「眠れない」と回答
負担の有無で限定せず、今回のアンケート全対象者に介護による精神的な負担を尋ねたところ、約半数が「イライラする」「不安感がある」と回答しました。また、3割が「眠れない」「仕事のやる気がおきない」と回答しています。「精神的負担を感じていない」と回答したのは19.2%でした。介護は身体的負担だけでなく精神的な負担を抱えている人も多いことがわかります。
また、「身体的負担を感じる」と答えた人の中で、精神的負担を感じている割合を集計したところ、いずれの項目でも精神的負担を感じている割合が9割を超えました。このことから、身体的負担を感じる方は精神的な負担も同時に感じている場合が多く、双方に対するケアが必要であることがわかります。
- 身体的負担は要介護度との相関性なし。どの介護レベルでもビジネスケアラーの負担は大
「身体的負担を感じる」と答えた人を要介護度別で集計したところ、要介護度と身体的負担を感じる人の割合に相関性はありませんでした。つまり、要介護2だから要介護5の人より身体的負担が少ないということはなく、どの介護レベルでもビジネスケアラーの負担は大きいことがわかります。また、「身体的負担を感じる」と答えた人の介助内容を調べたところ、「歩行時の移動介助や車いすの移動介助」が最も多く、次いで「食事の介助(67.3%)」「着替えの介助(65.4%)」「トイレやおむつ交換などの排泄介助(57.3%)となっています。肉体的な負担の大きい移動・移乗介助が最も負担になっていると推察されます。
- 腰痛を抱えるビジネスケアラーの82.6%が、治療や服薬など体のケアをしている 治療や服薬などにかかる平均費用は月8,789円。1万円以上が約3割
腰痛に対するケアを尋ねた質問では、82.6%が何かしらの対応を行っていると回答しました。対応の内容は「ドラッグストアで薬や湿布を購入している(51.7%)」、「サポーターを購入して使用している(32.0%)」、「栄養ドリンクを飲んでいる(29.1%)」「病院や整骨院に通い、治療を受けている(25.6%)」、「マッサージ店や鍼灸院に通っている(19.8%)」などがありました。また、身体的負担に対するケアをしているのは腰痛に限らず、肩こりでも84.3%、関節痛は89.2%、筋肉痛は87.9%が何かしらの対応を行っていると回答しました。これらの身体的負担のケアのため月当たり支払っている費用は、平均して8,789円でした。単純計算で年間105,468円にもなり、介護は介護サービス費用だけでなく、介護当事者の身体ケアにかかる金銭的負担も大きいことがわかりました。身体的な負担が増えるほど医療機関への受診や服薬の必要があるため、ビジネスケアラーは身体的負担を未然に予防し、対策をとることが必要です。
- 腰への負担を感じていらっしゃる方へ
介護などでお身体、特に腰への負担を感じていらっしゃる方に、介護施設などでも採用されている「マッスルスーツ」をご提案しております。現在、マッスルスーツの無料トライアルを実施しております。介護される皆さまを支えるために、お身体のつらさ、お悩みがございましたら是非お試しください。
【お問い合わせ】
コールセンター:0120-046-505(平日10:00 ~ 18:00)
お問合せフォーム:https://musclesuit.co.jp/contact/
【マッスルスーツHP】
https://musclesuit.co.jp/
- 【専門家の声】ケアマネジャー「介護をすることも大切だけど、自分のことも守らなくてはいけない」
(社会福祉法人友愛十字会 砧介護保険サービス 管理者・主任ケアマネジャー 広本正子さん)
親や兄弟等の介護を自分ですることが当たり前だと考えているご家族様は多い印象があります。終わりの見えない介護が続くと、自分の生活や仕事に影響を及ぼしたり、長期化して精神的にも身体的にも疲れてしまわれる方も少なくないとお見受けします。ただし、介護に対する考え方は少しずつ変化しているのも感じています。以前は、「介護を人に頼むには悪いこと」というイメージがある方が多く、ヘルパーやデイサービス等の在宅支援サービスの利用を控えるケースも多かったですが、現在は「介護することも大切だけど、自分のことも守らなくてはいけない」という考えが少しずつですが浸透してきているように思います。ぜひこの考え方が広まり、一人で抱え込む人が少なくなればと思います。介護が辛い時には、家族でも仕事の同僚でも、誰でもいいので「助けて」と言ってください。周りにはその「声」を待っている人がたくさんいます。どうか自分自身の人生も大事にしてください。
- アシストスーツの会社がなぜ「ビジネスケアラーの実態調査」を行ったか
経済産業省は2023年3月14日に産業構造審議会経済産業政策新機軸部会で、2030年に家族介護者が833万人となり、その内ビジネスケアラーが318万人。また、その場合の経済的損失は約9兆円にのぼる見込みと発表しました。
イノフィスは、中腰姿勢を保つ、重い物を持ち上げる、人を抱え上げるといった作業時に腰の負担を軽減する「マッスルスーツ Every」をはじめとする様々なアシストスーツを製造・販売しています。「マッスルスーツ Every」は、電⼒を使用せず、圧縮空気を使用した人工筋肉が最大25.5kgfの補助⼒で動作をパワフルにアシストします。中腰姿勢で作業をすることが多い介護職では、腰痛は“職業病”とも言われており、離職や仕事の質の低下の原因になっています。「マッスルスーツ Every」は、そんな介護職員の方の腰の負担を軽減する目的で開発され、介護現場における職員の退職理由のひとつとされる「腰痛」に真正面から取り組んでまいりました。現在では、全国の介護施設で導入されています。
介護による身体的負担に悩むのは介護職員に限らず、自宅で介護をするビジネスケアラーも同様です。弊社が「マッスルスーツ®」シリーズ各製品の営業活動をする中で、企業の人事の方とお話すると、「ビジネスケアラーの従業員のために何かしたいが、何に悩んでいるかわからない」というお悩みを伺う機会が増えました。そこで、腰の負担を軽減する「マッスルスーツ®」を企業に貸出し、福利厚生として活用する取り組みを考えました。今回はそんなビジネスケアラーの身体的負担の実態を調査する目的で実施しました。
- キーワード:ビジネスケアラーとは
ビジネスケアラーとは、仕事と介護を両立するビジネスパーソンのことです。介護を理由に退職する、いわゆる「介護離職」は、ここ数年は年間10万人と横ばいですが、仕事と介護の両立に取り組むビジネスケアラーは、2030年には318万人になるとされています。ビジネスケアラーは40~50代が多く、会社や同僚にプライベートなことを相談しづらいと感じているケースも多く、企業側も突然の離職に至るリスクとして近年注目されています。
- 調査概要
調査手法:インターネットリサーチ(無記名式)
調査実施日:2023年3月17日(金)~2023年3月22日(水)まで
調査対象者:ビジネスケアラーの30代~60代男女333名
※本調査における調査対象者の条件:
・公務員、経営者・役員、会社員、自営業者、自由業者(パート・アルバイト、学生などを除く)
・65歳以上の高齢家族と同居しており、その介護をしている
・被介護者の要介護度が要介護2以上
- プレスリリース内画像のダウンロードはこちら
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https://br-a01.hm-f.jp/index.php?action=R1&a=212&s=2&f=10&fa_code=6e2435e95930c35d8103332cc61d5838
- リリース内引用
引用1 第13回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会「資料3 新しい健康社会の実現」
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/013.html
引用2 日本職業・災害医学会「日本職業・災害医学会会誌」第63巻第6号「日本人勤労者を対象とした腰痛疫学研究」P.330
http://www.jsomt.jp/journal/pdf/063060329.pdf
引用3 厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09976.html
イノフィスは「生きている限り自立した生活を実現する」をミッションとし、少子超高齢社会における課題先進国の日本から世界へ向けて、より多くの方が生涯にわたって活躍し続けられるよう、今後も人によりそった製品の開発、提供に努めてまいります。