温泉熱を活用した木材乾燥設備導入の新工場を開設 国産広葉樹の利用拡大とCO2排出削減でSDGsに貢献

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飛騨産業株式会社(本社:岐阜県高山市 代表取締役:岡田明子/以下当社)は、岐阜県 奥飛騨温泉郷において地域資源である温泉熱を利用した木材乾燥室を備えた「奥飛騨 栃尾工場」を新設しました。この設備を導入することで、国産広葉樹の乾燥時間を大幅に短縮し、国産広葉樹の利用拡大を推進してまいります。

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|事業背景と概要 |

国産材の活用と温泉熱を利用した木材乾燥設備の導入

岐阜県 奥飛騨温泉郷では、豊富な温泉熱を有するものの、過疎地域のため温泉利用の低下が懸念されています。また、飛騨地域は、日本を代表する木製家具の産地であり、1970年代までは地域の豊富な広葉樹資源を活用することで発展してきましたが、国産材が枯渇し木材使用量が増加するに従い、原材料の多くを輸入木材に依存してきた背景があります。近年、国の政策の後押しもあって国産材の活用を推進する動きが広がり、枯渇したと思われていた国産広葉樹が山林に蓄積されていることが判ってきました。しかし国産広葉樹の流通が一度途切れてしまったことから、川下である家具メーカに届いていない現状があります。

そこで当社では「森と歩む」企業として国産材の流れを取り戻すため、乾燥を目的とした温泉熱利用の木材乾燥設備を導入いたしました。これにより、岐阜県産材を中心とした国産材の活用と地域資源である温泉熱の利用、さらには地域の雇用確保にもつながります。また、温泉熱を利用することにより、従来の化石燃料を使った乾燥に比較し、年間で灯油の使用量が678,591Lの削減となり、二酸化炭素に換算すると1,689t-CO2の削減となります。(当社試算による。図2 環境改善効果 参照)

※この事業は「令和4年度森林・林業対策事業」として岐阜県より認定されています。また資金の一部は北陸銀行の「グリーンローン」を活用して調達しております。

乾燥設備の特徴と効果

① 乾燥期間の大幅短縮

導入設備で乾燥させるのは、周辺地域の資源でもある国内産の広葉樹材です。温泉熱を熱源とする乾燥室を15室作り、個別の温度設定をしながら4~6週間乾燥させます。

広葉樹材の乾燥は、割れ、狂いの発生を抑えるために、天然乾燥を10か月程度実施したあとに人工乾燥を行うのが一般的です。今回当社が開発した乾燥方法は、乾燥にかかる期間を大幅に短縮することに加え、木材の含水率を高度な水準である8%程度まで下げることができます。乾燥に当たっては外気の影響はもちろん、材種やその含水率によって乾燥時間は変わります。温度安定化対策として、温泉の温度を電熱器にて調整します。

② 設備導入後の木材生産量

設備導入初年度(2023年10月1日~2024年9月30日)は年間600㎥。3年後の(2026年10月1日~2027年9月30日)には年間1,000㎥の製材品の乾燥を計画しています。

③ 小学校の跡地の利用と温泉熱の活用

建設地は小学校の跡地です。建物は一般住宅レベルの基礎の木造建設のため建設時の環境への影響は極めて限定的です。温泉熱の利用に際しては、自然温泉の湯から熱交換して熱源を得るのみで湯には何も加えず川へ放流するため、水質汚染等の懸念はありません。また、近隣住民への説明会を開催し理解を得ています。

④ 地域雇用

国産材の製材と乾燥設備運営のため上宝・栃尾地区より3名を新規雇用いたしました。

建物概要

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名称:奥飛騨 栃尾工場

所在地:岐阜県高山市奥飛騨温泉郷栃尾439-18-1及び458-2-1

敷地面積:1360㎡

建屋詳細:乾燥装置 木造 90㎡×3棟 270㎡ ストックヤード 鉄骨造 120㎡

着工:2023年4月

 竣工:2023年10月

生産能力:1000㎥(製材品)/年

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本体設計:斐太プランニング

本体施工:丸中建設

乾燥設備設計施工:メカトロニクス

図1 温泉熱利用略図

温泉熱を利用して熱交換プール内の山水の温度を上昇させ、その温水で乾燥室の温度を管理します。

※乾燥室温度を上昇させるため、温泉熱に加え、電力による加温を行います。

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図2 環境改善効果

本事業による環境改善効果は、以下の通りです。

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