10月15日は世界手洗いの日:110億ドルで世界の最貧層が家庭で石けんと水を使った手洗いを実践することが可能に

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水・衛生専門の国際NGOウォーターエイド(日本法人:特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン)は、2030年までに最貧国のすべての人々が家庭で石けんと水を使って手洗いができるようにするには110億ドルの資金が必要であり、すべての人が手洗いを実践できる世界の実現に向けた取り組みを進めるよう政府、企業、ドナーに対し呼びかけています。

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10月15日「世界手洗いの日」に発表されたWHO(世界保健機関)とユニセフの新しい報告書(1)では、世界の最貧国のすべての人が石けんと水を使った手洗いを実践できるようにするために必要な資金は、約110億ドル(およそ1兆248億円)であることが明らかになりました。これは2021年のアマゾン「プライムデー」の世界での売上総額と同程度です(2)。もし、すべての人にとっての手指衛生が実現すれば、人々の暮らしや人生の可能性は大きく変化します。

10月末にG20首脳会合がローマで開催され、世界のリーダーたちが集まり感染拡大への備えを協議・改善するなかで、ウォーターエイドは、下痢性疾患や呼吸器感染症を予防する手段として有効な手洗いをすべての人が実践できるように、政府が取り組むべきだと訴えています。

WHOとユニセフによる最新の統計(3)によると、世界の10人に3人が家庭で石けんと水を使って手を洗うことができず、現在の進捗状況では、2030年までに基本的な手洗い設備を利用できるようになるのは78%にとどまり、依然19億人が取り残されると言われています。

ウォーターエイドが最近発表した報告書「Mission Critical(仮訳:ミッションクリティカル:健康的でグリーンな経済回復のために、水・衛生に投資を)」(4)では、すべての人が基本的な給水設備とトイレを利用し、清潔な水と石けんを使って手洗いすることが可能になれば、今後20年の間で年間450億ドル(5兆1,040億円)の経済利益が見込まれると試算しており、各家庭に給水設備を設置するだけでも年間370億ドル(4兆1,966億円)の利益が発生すると言われています。
 
一方で、「世界手洗いの日」の今日、ウォーターエイドは、その進捗状況が極めて遅いことに警鐘を鳴らしています。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の1つである「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」を実現し、2030年までにすべての人が家庭で手洗いを実践できるようにするためには、各国政府は現在の4倍以上の速さ(5)で取り組みを進める必要があります。しかし、政府、企業、ドナーは、水とトイレ同様に手洗いの経済的価値を大幅に過小評価しており、その結果、慢性的な資金不足に陥っています。

ウォーターエイドは、水・衛生への資金拠出は、政府にとって複数のメリットをもたらし、基本的な水、衛生、トイレに資金を投じることで、その費用の最大21倍の利益(6)を生み出すことができると呼びかけています。

基本的な給水サービスを提供することで、現在、世界中の女性や女の子たちが水くみに費やしている時間(年間でトータル7,700万日分に相当)を解放することができ、生活や仕事の選択肢が増え、ジェンダー平等に大きく貢献します。また正しい衛生習慣が実践されることで、低コストで下痢や呼吸器系の病気を減らし、人々の健康を改善、さらに保健医療費を削減し、生産的な時間の増加につながります。

2040年までにすべての人が衛生習慣を実践できる世界を実現すれば、年間で下痢性疾患を9,600万件、呼吸器感染症を1億6,000万件予防することできます。また、1件の感染を予防するためにかかる費用を10ドル(1,100円)未満に抑えることができます。ウォーターエイドの調査によって、これにより最大で390億ドル(4兆4251億円)の生産性の損失を防ぐことが可能であることが明らかになりました。

ウォーターエイドの保健に関するアドボカシーアドバイザーであるアニー・ムソーサは次のように述べています。

「手指衛生への投資は、家庭、保健医療施設、学校、いずれにおいても、『後悔しない』投資です。ポストコロナの回復、そして将来起きうる感染症への備えは、手指衛生の普及なしでは実現できません。豊かな未来、より健康的な暮らし、危機に対応できる社会を確保する上で、政府が賢明な選択をするか否かがカギとなります。

「手洗いの普及は費用対効果が高いことが証明されています。石けんを使った手洗いが基本的な計画に含まれていなければ、保健や教育、水供給の改善などの取り組みをすべて台無しにします。政府は、将来起こりうる危機に備えて、国民の健康と福祉、そして経済の回復力のために賢明な投資を行うべきです。」

ウォーターエイドのグローバル・キャンペーン・ディレクターであるクレア・シーワードは次のように述べています。

「G20が開催されるにあたり、政府やドナーは、水・衛生への投資が、将来の健康と経済的発展のための命を守る投資であるという事実に注目すべきです。水・衛生への取り組みはシンプルかつ不可欠な施策でありながら、あまりにも長い間、その価値が見過ごされてきました。その結果、経済に大きな損害を与え、何百万人もの人々、特に女性と女の子たちを貧困と不健康によって苦しめてきました。

「今こそ、行動を起こすべきです。各国政府は、衛生行動の変容を促し、2030年までにすべての人の手指衛生を実現するための明確なロードマップを策定し、それを実現するための資金を確保するべきです。また、衛生用品・サービスのサプライチェーンを強化するには、企業とのパートナーシップが不可欠です。ドナーは、手指衛生が感染拡大への備えや薬剤耐性への対応に重要な役割を果たすことを理解し、低・中所得国への財政支援を急速に拡大する必要があります」。

(1)https://www.unicef.org/reports/state-worlds-hand-hygiene
(2)https://www.digitalcommerce360.com/article/amazon-prime-day-sales/
(3)https://www.who.int/news/item/01-07-2021-billions-of-people-will-lack-access-to-safe-water-sanitation-and-hygiene-in-2030-unless-progress-quadruples-warn-who-unicef
(4)https://www.wateraid.org/jp/news/bring-trillions-of-dollars-to-developing-country-economies-with-clean-water
(5)https://www.unwater.org/sdg6-update-the-world-is-off-track/
(6)https://washmatters.wateraid.org/publications/mission-critical-invest-water-sanitation-hygiene-healthy-green-recovery

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