一般社団法人日本モバイル建築協会(本社:東京都千代田区内神田2-12-1、代表理事:長坂俊成、立教大学教授)は、7月8日、茨城県境町(茨城県猿島郡・橋本正裕町長)との間に、「災害時における応急仮設住宅等の建設に関する協定」及び「地域防災の向上並びに地方創生に関する包括連携協定」を締結いたしました。
茨城県境町は、モバイル建築(注1)を活用した防災の先駆的な取り組みで知られる町。広く社会的備蓄(注2)を進めたいという日本モバイル建築協会の趣旨に賛同していただき、全国の自治体ではじめての協定締結となりました。
境町役場でおこなわれた締結式後の質疑応答では、モバイル建築の将来性について質問が相次ぎ、また、今夏に予定されているモバイル建築「全国キャラバン(注3)」についても紹介されました。
(左:長坂俊成・日本モバイル建築協会代表理事 右:橋本正裕・茨城県境町町長)
〔注1:モバイル建築〕
完成した建築物を解体せずに容易に基礎から分離し、ユニット単位でクレーン等を用いて吊り下げ、トラック等に積載し、目的の場所に輸送し、迅速に移築することを繰り返し行うことができる構造を有する建築物の総称を意味します。
建築ユニットが標準化されているため複数のユニットを連結・多層化することで様々な間取りや規模、用途、階数の建築物が構成できる。住宅とで利用する場合は、一般住宅と同等以上の安全性、耐久性、断熱性、遮音性、環境性能を有します。
建設後も建物を解体せずにユニット単位で簡単に分離しトラックや船舶で輸送し何度でも再利用が可能なため環境負荷を軽減し、かつ、ライフサイクルコストを考慮すると高い経済性を有する建築物となります。
〔注2:社会的備蓄〕
行政による防災目的の公的備蓄とは異なり、平常時は地方創生に資する社会資源として自治体や民間が使用収益しつつ、災害時は分散型の福祉避難所や応急仮設住宅等、被災地の対策資源として活用することを目的とした官民協働による新たな備蓄の取り組みです。
〔注3:モバイル建築普及のための全国キャラバン2021〕
1 目 的
国難級の災害に備え、モバイル建築を活用した応急住宅の普及とその社会的備蓄の推進を目的として、モバイル建築ユニットをトラックに積載し全国を巡回し展示ならびに意見交換会を開催する。参加費無料。
2 主 催
一般社団法人日本モバイル建築協会
3 協賛・後援・協力等
- 展示会場としてご協力いただける自治体、事業者、大学等研究機関等を予定。
4 事業費
- キャラバンに係る費用は 一般社団法人日本モバイル建築協会の事業費から負担する。
- 当協会の活動に賛同いただける団体、事業者から寄付金、協賛金を受け入れる。
5 対象者
展示ならびに意見交換会の想定される参加者は、地方公共団体の地方創生担当、防災担当等、モバイル建築の製造や販売、宿泊事業、テレワーク事業に関心のある民間事業者、大学等研究機関、NPO/NGO等
6 実施期間
- 第一次として2021年8月上旬から同年9月下旬を予定(開催地等調整中)
- 新型コロナ禍の状況を見ながら第二次を検討中
7 展示会場と方法
- モバイル建築ユニット1棟(幅2.4m×長さ12m。室内は約28平米)を貨物としてトレーラーシャーシに積載し、トラックでけん引して公道を移動する。
- モバイル建築ユニット内部の設備は、グランピング仕様を利用する。ただし、災害救助法の応急仮設住宅として利用可能な仕様を考慮する(基本設備:シャワーユニットバス、トイレ、洗面、キッチン、照明、換気、ベット等)
- モバイル建築ユニットはトレーラーシャーシに積載したまま駐車場等に設置し、見学者は仮設階段を利用してモバイル建築ユニット内に入り内覧していただく(3蜜対策等感染症対策を行い実施)。
- 室内の照明とエアコンは発電機やEV車から給電する。
- 駐車場は40ftコンテナをけん引したトラック1台が進入・駐車可能なスペースであること。加えて、見学者の乗用車20台程度が駐車可能であること。
- 展示場となる駐車場の隣接する施設で会議室を確保し、来場者及び協会会員との意見交換を実施する(新型コロナ禍の状況により意見交換会の開催方法については要調整)
- 展示は一会場あたり一日程度(10時~17時)
- 意見交換会は上記の展示時間内に1~2回程度、1回当たり2時間程度。参加者は一回当たり50人前後。
8 巡回コースと展示会場候補
- 茨城県境町を発着の起点とし現在、以下のルートを想定し関係者と展示会場を調整する。
- 第一次のルートは、茨城県境町を出発した後、行き帰りのいずれかで静岡県、三重県、徳島県等で展示開催し、茨城県境町に戻るルートを予定(調整中)。
- 上記のルート上で展示・意見交換会に協力いただける自治体、民間事業者と会場を調整予定。