国連広報センターは、本日、メディアの力を通じて気候変動対策のアクションを呼びかけるキャンペーン「1.5℃の約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」の動画コンテンツを全国12都市の街頭ビジョンで一斉に放映を開始します。動画は、札幌、仙台、東京、横浜、金沢、名古屋、大阪、神戸、広島、松山、福岡、那覇で、本キャンペーンが9月19日(月)からに2カ月間の強化期間に入るのに先立ち、本日より放映されます 。
街頭ビジョンで放映される動画は、国連広報センターが制作したキャンペーン告知動画「あと0.4℃」です。本動画は、世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比較して1.5℃に抑えるためには、人類にわずかな猶予しか残されていないことを説明しています。
12都市の放映場所・日程は以下のとおりです。
(本動画の放映に関して、媒体社・ビジョン事業社への問い合わせはお控えください)
- 札幌 札幌駅前ビジョン 9月16日(金)-10月15日(土)
- 仙台 仙台駅西口 LABI仙台 9月16日(金)-10月15日(土)
- 東京 屋外大型ビジョン(全3基) 9月16日(金)-9月19日(月)
- 横浜 横浜駅きた西口 YOKOHAMA VISION 9月16日(金)-10月13日(木)
- 金沢 香林坊大和ビジョン 9月16日(金)-10月15日(土)
- 名古屋 NAGY 9月16日(金)-10月15日(土)
- 大阪 道頓堀 トンボリステーション 9月16日(金)-10月15日(土)
- 神戸 ミントビジョン 9月16日(金)-10月15日(土)
- 広島 紙屋町本通り交差点 NAVIA 9月16日(金)-10月15日(土)
- 松山 松山市駅コンコース 9月16日(金)-10月15日(土)
- 福岡 JR博多シティビジョン 9月16日(金)-10月15日(土)
- 那覇 国際通り 那覇てんぶすビジョン 9月16日(金)-10月15日(土)
「1.5℃の約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」キャンペーンは、国連とメディアとのグローバルな連携の枠組みである「SDGメディア・コンパクト」に加盟するメディア有志が、国レベルで共同キャンペーンを展開する世界で初めてのキャンペーンです。参加を表明したメディア数は6月17日のキャンペーン開始時の108社から、9月6日時点で136社に増えました。
国連広報センターは、このほど街頭ビジョンで放映する「あと0.4℃」の他にも2つのキャンペーン告知動画を制作しました。それらは、気候変動に歯止めをかけるための具体的なアクションを提示する「考えてみよう」、そして異常気象など気候変動が日本にもたらしていると推測される影響を伝える「夏ってこんなに暑かったっけ?」です。キャンペーン告知動画は、国連広報センターのSNSやウェブサイトから発信されると同時に、参加メディアがキャンペーン展開の中で広く活用することを目的に制作されました。全ての動画、最新のキャンペーン参加メディア一覧は、国連広報センターの下記のウェブページで紹介しています。
「1.5℃の約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」関連コンテンツ、参加メディア一覧の詳細はこちらから
https://www.unic.or.jp/news_press/info/44236/
これらの動画は、本キャンペーンをサポートしている、国連グローバル・コンパクト署名企業である株式会社博報堂DYホールディングスのクリエイティブボランティア支援と、株式会社朝日新聞社、朝日放送グループホールディングス株式会社の協力を受けて制作しました。
また、ラジオ局などが使用できる音声コンテンツも、株式会社博報堂DYホールディングスのクリエイティブボランティア支援と株式会社ニッポン放送の協力を得て制作しました。
さらに、国連広報センターはこのたび、個人レベルでの気候アクションをグローバルに呼びかける国連のキャンペーン「ActNow」が提示する「個人でできる10の行動」のリーフレットを制作しました。1.5℃目標を維持するために、世界は2030年までに2010年比で二酸化炭素排出量を45%、2050年ごろに正味ゼロにまで削減し、メタンなどその他の温室効果ガスの排出も大幅に減らす必要があります。低炭素社会に移行するには、市民の参加、とりわけ先進国に暮らす人々の参加が不可欠です。この三つ折りリーフレットでは、家庭での節電や長距離の移動手段の変更、環境に配慮した製品の購入、そして声を上げることなど、日本社会の個人レベルから行うことのできる、環境に負荷を与えにくい選択を、イラストを交えてわかりやすく紹介しています。
ActNow「個人でできる10の行動」リーフレットはこちらから
https://www.unic.or.jp/files/actnow.pdf
キャンペーン参加メディアは、これら10の行動などの具体的なアクションを提示し、日本中の人々に「1.5℃の約束」を守るためのアクションを取ることを呼びかけます。
目次
「1.5℃の約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」キャンペーンとは
本キャンペーンは、メディアの情報発信を通じて、なぜ世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して1.5℃に抑えることが必要なのかについて理解を促進し、地球温暖化をはじめとする気候変動に歯止めを掛けるための具体的なアクションを提示し、個人や組織に行動変容を促すことを目的としています。
キャンペーンタイトルの「1.5℃の約束」には、日本を含む国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国が、昨年11月に開催された気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で示した、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えることを事実上の目標とする決意をあらゆる個人と組織がともに支え、実行する決意が含まれています。スローガン「いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」には、その目標に向かって具体的なアクションを取る必要性を訴えるメッセージが込められています。
本キャンペーンは各国首脳や世界のリーダーたちが米国 ニューヨークに集結する第77回国連総会ハイレベルウィーク初日の9月19日(月)から、エジプト シャルム・エル・シェイク で開催される気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)の最終日(予定)である11月18日(金)までの2カ月間をキャンペーン強化期間とし、情報発信を強化します。
本キャンペーンの参加メディアは番組や編集コンテンツ、自社のウェブサイトやSNS、イベント等の発信の場を通じて、気候変動の現状を伝えるとともに、対策を拡大、加速するためのアクションなどを提案し、個人や組織に「1.5℃の約束」を自分事化してもらうことを目指します。また参加メディアには、企業としての自社の気候アクションの取り組みも強化することが期待されています。
「1.5℃の約束 – いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」キャンペーン始動(2022年6月17日付 プレスリリース)
https://www.unic.or.jp/news_press/info/44283/
なぜ今「1.5℃」なのか?
世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えることは、2015年12月に採択されたパリ協定で努力目標として掲げられ、昨年11月に英国・グラスゴーで開催された気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で国連気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国の事実上の目標とする決意が示されました。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2018年に発表した特別報告書『1.5℃の地球温暖化』(Global Warming of 1.5℃)で示された通り、地球温暖化を2℃以上ではなく、1.5℃に抑えることによって、多くの気候変動の影響が回避できるためです。
この1.5℃目標を維持するために、世界は2030年までに2010年比で二酸化炭素排出量を45%、2050年ごろに実質ゼロにまで削減し、メタンなどその他の温室効果ガスの排出も大幅に減らす必要があるとIPCCは示しています。しかし、昨年11月にUNFCCC事務局が発表した「自国が決定する貢献(NDC)」に関する統合報告書(Nationally Determined Contribution synthesis report)(アップデート版)によると、現時点での各国の温室効果ガス削減目標では排出量が2030年には2010年比で14%近く増加することになります。
この緊急事態には、IPCCによる第6次評価報告書をはじめ、科学の声が強い警鐘を鳴らしています。昨年8月に発表されたIPCC第1作業部会の報告書『気候変動2021:自然科学的根拠』(Climate Change 2021: The Physical Science Basis)では、世界の平均気温はすでに1.1℃上昇しており、この上昇は人間活動による温室効果ガスの排出に起因するという分析結果が報告されました。さらに、 国連の世界気象機関(WMO)は今年5月に発表した報告書『WMO Global Annual to Decadal Climate Update for 2022-2026』のなかで、2022年から2026年までの5年の間に気温上昇が1.5℃を超えてしまう可能性は50%近くと発表し、世界に衝撃を与えました。
深刻化する気候変動は、毎年のように襲う熱波や大型台風などの異常気象や気候関連災害として日本にも甚大な影響を与えていますが、今年2月に発表されたIPCC第2作業部会報告書『気候変動2022:影響・適応・脆弱性』(Climate Change 2022: Impacts, Adaptation and Vulnerability)によると、今後気候災害が激甚化し、より頻発すると予測されています。
国連環境計画(UNEP)が2020年に発表した『排出ギャップ報告書2020』(Emissions Gap Report 2020)によると、日本は国別の温室効果ガス排出量では世界第5位です。あらゆる担い手が気候変動対策のためのアクションを取って社会システムを大きく変革することが急務となっている今こそ、メディアの力を通じて日本で気候アクションを動員していくことは世界全体にインパクトを持つと期待されます。
SDGメディア・コンパクトとは
2018年9月、アントニオ・グテーレス国連事務総長が31社の創設メンバーとともに立ち上げた「SDGメディア・コンパクト」は、世界中の報道機関とエンターテインメント企業に対し、その資源と創造的才能をSDGs達成のために活用するよう促すことを目的としています。現時点でアフリカ、アジア、米州、オーストラリア、欧州、中東から300社近くがSDGメディア・コンパクトに加わっています。事実やヒューマンストーリー、ソリューション(解決策)を発信することにより、同コンパクトはSDGsに関するアドボカシーと行動、説明責任の強力な原動力となっています。
SDGメディア・コンパクトの詳細はこちらから
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdg_media_compact/
ActNowとは
ActNowは、個人レベルでの気候アクションをグローバルに呼びかける国連のキャンペーンです。このキャンペーンは、気候変動に対する認識と野心を高め、対策を強化するとともに、パリ協定の履行を加速するための国連による協調的取り組みに欠かせない要素です。ActNowは、個人を啓発し、主として消費パターンやライフスタイルの見直しなどによる行動変容を促すことを目標としています。人々が日常生活で下す決定は、地球全体に影響します。人々の習慣や決まり事を変え、環境に対する悪影響が比較的小さい選択を行うことにより、人々は気候変動という課題に立ち向かう力を得られるのです。
国連広報センターとは
国連広報センター(UNIC)は、国連事務局のグローバル・コミュニケーション局(DGC)に所属。日本において、国連とその活動について人々の関心を高め、理解を深めるための活動を展開しています。その活動は幅広く、日本語資料の作成、記者会見やメディア・インタビュー設定、ウェブサイトやソーシャルメディアによる情報発信、イベントの企画・開催など、多岐にわたります。